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住宅ローンの“借り換え”をする際に気になるのは「どのような条件であれば借り換えメリットがでるの?」という点かと思います。一般的には、ローン残高1,000万円、金利差1%、残期間10年以上、の3つが借り換えメリットの出る条件と言われていますが、実際はどうなのでしょうか?ケースごとに見ていきましょう。

全期間固定金利型から全期間固定金利型への借り換えメリット

借り換えのメリットを考える場合、「金利差」「残存期間」「ローン残高」といった条件はもちろん大切ですが、“どの金利タイプからどの金利タイプに借り換えるのか”という要素を考慮することも非常に大切です。というのも、例えば、全期間固定金利型から変動金利型ローンに借り換える際には、借り換え後の金利の推移がメリットに大きな影響を及ぼすからです。

まずは、メリットの比較がしやすい「全期間固定金利型」から「全期間固定金利型」への借り換えパターンから考えましょう。

【現在の住宅ローンの状況】
返済方法:元利均等型返済
当初借入金額:3,000万円
借り入れ期間:30年
金利タイプと金利:全期間固定金利型 1.80%
返済額:当初月返済額:10万7,909円、当初総返済額:3,884万7,253円 ※5年経過後に借り換えを検討中
ローン残高:2,605万3,455円
残存期間:25年
借り換え前の残りの総返済金額:3,237万2,713円

【借り換えシミュレーション】(借り入れ期間30年のうち、残存期間25年の場合)

 借り換え金額  借り換え後の金利  借り換え後の月返済額  借り換え後の残総返済額  借り換えメリット
 2,600万円  1.5%  10万3,983円  3,119万4,880円  117万7,833円
 1.6%  10万5,209円  3156万2,687円  81万26円
 1.7%  10万6,444円  3,193万3,148円  43万9,565円

※試算は概算であり、実際の計算とは異なる場合があります。

上記の結果からみると、借り換えメリットそのものは0.1%の金利差でも借り換えメリットは出てきます。借り換えの諸費用や手間も考えると0.3%程度の金利があれば借り換えメリットがあるといえるでしょう。ただし、上記の例はあくまでも残存期間が25年もあるケースです。

では、仮に0.3%の金利差があった場合で、残存期間が短い場合や住宅ローン残高が少ない場合にはどうなるのでしょうか?

【現在の住宅ローンの状況】
返済方法:元利均等型返済
当初借入金額:3,000万円
借り入れ期間:30年
金利タイプと金利:全期間固定金利型 1.80%
返済額:当初月返済額:10万7,909円、当初総返済額:3,884万7,253円 ※20年経過後に借り換えを検討中
ローン残高:1,184万2,511円
残存期間:10年
借り換え前の残りの総返済金額:1,294万9,093円

【借り換えシミュレーション】(借り入れ期間30年のうち、残存期間10年の場合)

 借り換え金額  借り換え後の金利  借り換え後の月返済額  借り換え後の残総返済額  借り換えメリット
 1,180万円  1.5%  10万5,953円  1,271万4,417円  23万4,676円
 1.3%  10万4,916円  1,258万9,942円  35万9,151円
 1.0%  10万3,372円  1,240万4,691円  54万4,402円
 0.8%  10万2,351円  1,228万2,170円  66万6,923円

※試算は概算であり、実際の計算とは異なる場合があります。

上記の例で考えると、残存期間10年で残りのローン残高が1,000万円程度の場合、0.3%程度の金利差ではほとんどメリットがありません。仮に金利差が1%あった場合でも諸費用等を考慮すれば大きな借り換えメリットがないことがわかります。もちろん、もっと金利が低い変動金利型ローンに借り換えをすればある程度の借り換えメリットは期待できます。

仮に、当初期間20年で組んでいた場合で10年後に借り換えすると、金利差が1%あっても借り換えメリットは90万6,713円となります。(下図参照)

【現在の住宅ローンの状況】
返済方法:元利均等型返済
当初借入金額:3,000万円
借り入れ期間:20年
金利タイプと金利:全期間固定金利型 1.80%
返済額:当初月返済額:14万8,939円、当初総返済額:3,574万5,452円 ※10年経過後に借り換えを検討中
ローン残高:1,634万5,408円
残存期間:10年
借り換え前の残りの総返済金額:1,787万2,772円

【借り換えシミュレーション】(借り入れ期間20年のうち、残存期間10年の場合)

 借り換え金額  借り換え後の金利  借り換え後の月返済額  借り換え後の残総返済額  借り換えメリット
 1,630万円  0.8%  14万1,384円  1,696万6,059円  90万6,713円

以上のことから考えると、元利均等型返済で当初借りている場合、時間の経過とともに返済額に占める利息の割合が減っていくため、残存期間が長い場合には金利差が小さくても借り換えメリットが出やすいですが、残存期間が10年程度と短い場合にはローン残高や金利差があってもメリットが出にくいといえますね。

また、当初の借入金利が高ければ、たとえ残存期間が短かったり、残高が少ない場合でもメリットは出てくるので、やはり「ローン残高1,000万円、金利差1%、残期間10年以上」というのはあくまでも目安、個別にしっかり検討していく必要があるでしょう。

全期間固定金利型から変動金利型や固定金利期間選択型への借り換えメリット

当初、全期間固定金利型ローンを利用している場合、近年の変動金利型や固定金利期間選択型のローン金利を見て借り換えを検討することもあるでしょう。将来の金利が変わらないと考えるのであれば、全期間固定金利型よりも変動金利型や固定金利期間選択型の方が金利は低く設定されているので、多くのケースでメリットが期待できます。

ただし、金利タイプが異なるローンへの借り換えでは、将来の金利動向次第では金利差メリットが変わるため金利動向を考慮してメリットを考える必要があります。まず、現状の金利ベースでの借り換えで考えてみます。

【現在の住宅ローンの状況】
返済方法:元利均等型返済
当初借入金額:3,000万円
借り入れ期間:30年
金利タイプと金利:全期間固定金利型 1.80%
返済額:当初月返済額:10万7,909円、当初総返済額:3,884万7,253円 ※5年経過後に借り換えを検討中
ローン残高:2,605万3,455円
残存期間:25年
借り換え前の残りの総返済金額:3,237万2,713円

【借り換え後の住宅ローン】
返済方法:元利均等型返済
借り換え金額:2,600万円
借り入れ期間:25年
金利タイプと金利:変動金利型・通期引下げタイプ:0.439%(基準金利2.775% 全期間基準金利▲2.336%)
返済額:当初月返済額:9万1,525円

【変動金利型への借り換えシミュレーション】(全期間固定金利型1.80%→変動金利0.439%の場合※残存期間:25年)

 借り換え金額  当初金利  金利情勢の変化  借り換え後の残総返済額  借り換えメリット
 2,600万円  0.439%  金利が変わらず  2,745万7,439円  491万5,274円
 金利が5年ごとに0.5%ずつ上昇  2,957万8,853円  279万3,860円
 金利が5年ごとに0.8%ずつ上昇  3,092万6,181円  144万6,532円
 金利が5年ごとに1.0%ずつ上昇  3,185万5,993円  51万6,720円

現状では、変動金利型の金利は非常に低水準なので、仮に、金利が5年ごとに0.8%ずつ上昇した場合でも諸経費を考慮しても借り換えメリットは期待できます。ただし、総返済額でのメリットは出たとしても、金利が上昇すれば毎月の返済額は増えるので、月返済額が増えた場合でも家計に支障がないかを確認しておく必要がありますね。

では、金利差が少ない場合にはどうなるのでしょうか?

【変動金利型への借り換えシミュレーション】(全期間固定金利型1.80%→変動金利0.8%の場合)

 借り換え金額  当初金利  金利情勢の変化  借り換え後の残総返済額  借り換えメリット
 2,600万円  0.8%  金利が変わらず  2,869万5,109円  367万7,604円
 金利が5年ごとに0.5%ずつ上昇  3,088万7,727円  148万4,986円
 金利が5年ごとに0.6%ずつ上昇  3,092万6,181円  144万6,532円
 金利が5年ごとに0.7%ずつ上昇  3,180万8,799円  56万3,914円
 金利が5年ごとに0.8%ずつ上昇  3,227万8,903円  ▲9万3,801円

【変動金利型への借り換えシミュレーション】(全期間固定金利型1.80%→変動金利1.0%の場合)

 借り換え金額  当初金利  金利情勢の変化  借り換え後の残総返済額  借り換えメリット
 2,600万円  1.0%  金利が変わらず  2,939万5,918円  297万6,795円
 金利が5年ごとに0.4%ずつ上昇  3,116万9,151円  120万3,562円
 金利が5年ごとに0.5%ずつ上昇  3,162万8,245円  74万4,468円
 金利が5年ごとに0.6%ずつ上昇  3,209万3,741円  27万8,972円

当初の金利差1%では、諸費用を考慮すると5年ごとに0.5%程度の金利上昇、当初の金利差が0.8%になると5年ごとに0.4%程度の金利上昇であれば借り換えメリットが期待できることがわかります。今後の金利上昇ペースを予測することは難しいですが、全期間固定金利型から変動金利型への借り換えの際は、残存期間が長期の場合には金利差1%程度の差では最終的な総返済額の軽減メリットが出てこない可能性もあるといえるでしょう。

では、残存期間が短く、ローン残高が少ないケースではどうでしょうか?

【現在の住宅ローンの状況】
返済方法:元利均等型返済
当初借入金額:当初借入金額:3,000万円
借り入れ期間:期間30年
金利タイプと金利:全期間固定金利型 1.80%
返済額:当初月返済額:10万7,909円、当初総返済額:3,884万7,253円 ※20年経過後に借り換えを検討中
ローン残高:1,184万2,511円
残存期間:10年
借り換え前の残りの総返済金額:1,294万9,093円

【変動金利型への借り換えシミュレーション】(全期間固定金利型1.80%→変動金利0.439%の場合※残存期間:10年)

 借り換え金額  当初金利  金利情勢の変化  借り換え後の残総返済額  借り換えメリット
 1,180万円  0.439%  金利が変わらず  1,206万3,004円  88万6,089円
 金利が5年後に0.2%上昇  1,209万3,585円  85万5,508円
 金利が5年後に0.4%上昇  1,212万4,275円  82万4,818円
 金利が5年後に0.5%上昇  1,213万9,663円  80万9,430円

残存期間が短いケースでは金利上昇による借り換え効果削減の影響は非常に小さいですが、借り換え金額が少ないために、金利差が1.3%以上あっても諸費用を考慮すると借り換えメリットはあまり期待できないことがわかります。

つまり、全期間固定金利型から変動金利型への借り換えでは、金利差はもちろん重要ですが、残存期間やローン残高がどの程度あるかが非常に重要な要素を占めるといえますね。

「ローン残高1,000万円、金利差1%、残期間10年以上」に必ずしもあてはまらなくても、当初の金利タイプや借り換え先の金利タイプ、借り換え先のローンで諸費用がどの程度かかるか、などそのほかの要素でメリットが出てくる可能性はあります。3つの条件に当てはまっていなくてもあきらめずに個別に借り換えを検証してみることをおすすめします。

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この記事の筆者
金子千春 ファイナンシャル・プランナー

千春コンサルティング事務所 代表
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級ファイナンシャル技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー

新生銀行を経て2004年より独立。ライフプランや住宅ローンセミナー、個別相談、宅建講師、企業の従業員向け投資教育、小中学校や児童館での金銭教育など、「知らないで損をする」ことのないようにという観点から、講師や執筆を中心に活動中。

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