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この記事は、今需要が伸びてきている「二世帯住宅」に焦点を当て、快適に暮らせる間取りについて紹介する全2回の連載コラムです。後編はこちら>>「二世帯住宅、快適に暮らすためにはどのくらいの広さが必要?

共働きの夫婦が増え、子育てをサポートしてくれる親世帯と同居できる「二世帯住宅」を希望する家庭が増えています。親世帯も、万が一介護が必要となった際に安心ですし、長年暮らした我が家をリフォームしようにも、年齢や収入面で住宅ローンが組めないこともあり、ならば二世帯住宅に建て替えて、子世帯に住宅ローンを組んでもらって資金援助する方がスムーズだと考える方も多いようです。

両者にとってメリットの多い二世帯住宅ですが、生活習慣の違う世帯がともに暮らすため、気疲れすることが多いのも事実。そこで、注目を集めているのが「完全分離型」の二世帯住宅です。今回は、完全分離型の二世帯住宅にフォーカスし、さらにタイプ別によってどんな暮らしがかなうのかをARUHIマガジン編集部が調べてみました。

二世帯住宅は同居型、一部共用型から完全分離型へ

二世帯住宅には3つのタイプがある

従来の二世帯住宅で多かったのは、親世帯と子世帯が寝室以外のすべてのスペースを共用する「同居型」。しかし、親世帯と子世帯では、帰宅や食事、入浴などの生活時間が異なるため、このズレがストレスになる事もあります。

そこで、お互いに気兼ねなく暮らしていくために、玄関やLDKなど、住まいの一部を共用する「一部共用型」の人気が高まり、さらには、すべてを完全に分離し、2つの住宅を廊下や玄関など一部のみでつないだ「完全分離型」が注目を集めるようになりました。

【二世帯住居タイプ比較】

二世帯住宅 
同居型  親世帯・子世帯が、寝室以外のすべてのスペースを共用
一部共用型  玄関やLDKなど、住まいの一部を共用
完全分離型  すべてを完全に分離し、2つの住宅が廊下や玄関など一部のみでつながっている

一番メリットがある二世帯住宅タイプはどれ?

建築コストや土地代が抑えられることでもメリットの高い二世帯住宅ですが、「同居型」「一部共用型」「完全分離型」の3タイプの中で、もっとも建築コストがかかるのが「完全分離型」です。

しかし、それでもニーズが高まっているのは、“お互いの生活パターンを変えることなく同居できる最もスムーズな住居スタイル”だからです。

さらに、別居と同等のプライバシーを確保しながら、税金面では二世帯住宅ならではのメリットもあります。親世代が亡くなると、家や土地などの遺産を相続する際に相続税がかかります。2015年には相続税対策基礎控除額のしくみが変更となり、基礎控除額が4割も縮減(※1)。これにより、今まで納税対象外だった人の多くが納税対象者になるといわれています。

しかし、「小規模宅地等の特例制度」という減額制度があり、その条件の一つに、「親と同居していること、生計が一緒であること」があります。つまり、二世帯住宅ならば相続税が減額される、または発生しない可能性があるのです。「完全分離型」ならば、二世帯が長く、気持ちよく安心して暮らせ、さらに節税対策にもなりとてもメリットが大きいです。

ただし、「小規模宅地等の特例制度」を受けるには様々な要件を満たさなければならず、二世帯住宅であれば必ずしも対象という訳ではありません。詳しくは専門家に相談してみるとよいでしょう。

 

【完全分離型】の特長 
特長 “お互いの生活パターンを変えることなく同居できる最もスムーズな住居スタイル”でニーズが高まっている
メリット 別居と同等のプライバシーを確保できる
相続税が減額できる、もしくは発生しない可能性がある
デメリット 建築コストが高い

※1 国税庁「相続税」仕組み

おすすめは「左右分離タイプ」の完全分離型!

完全分離型の分離タイプは「上下」「左右」どちらが良い?

「完全分離型」の二世帯住宅には大きく分けて、1階を親世帯・2階を子世帯が暮らす空間とする「上下分離タイプ」と、両方の世帯が暮らす空間を並列で均等に造る「左右分離タイプ」があります。「上下分離タイプ」は平面が広く使え、間取りの自由度が高いのが魅力ですが、生活音や振動が気になるという声もよく聞きます。

左右分離タイプのメリットとデメリット

そこで、おすすめしたいのは「左右分離タイプ」です。2つの居住空間を廊下やウッドデッキで緩やかにつないだり、リビングなど隣接した部屋を扉一枚で自由に出入りできる造りにする場合が多く、「上下分離タイプ」よりはお互いの生活を干渉することなく暮らせます。玄関もそれぞれに設けられるので、帰宅が遅くなりがちな子世帯も気兼ねなく使えます。

ただ、道路に近い場所に玄関を設けようとすると、それぞれの玄関が近くなってしまいます。それぞれの世帯の独立性にこだわるのなら、玄関はできるだけ離した方が無難でしょう。また子世帯は2階に子ども部屋を設ける場合が多く、階段の昇降も頻繁になります。その際の音や振動も、左右分離タイプならば気になりません。

左右分離タイプで気を付ける点

左右分離タイプであっても、コストがかかりがちな「キッチン」と「バスルーム」は共用することが多いようですが、二世帯住宅で一番トラブルの元となりやすいのが「キッチン」です。シンクの高さ、食器や調理器具の収納位置など、使い勝手は親世帯・子世帯で違っているうえ、食事の用意は毎日、複数回あるため、キッチンが使いにくいことは大きなストレスになるのです。

できるだけキッチンも分離し、それぞれに使い勝手を追及できれば理想的ですが、難しい場合は、「キッチンを使う回数が多い世帯に使い勝手を合わせる」「食費の負担は食べる量に応じて●対●にする」など、きちんと話し合っておくことが大切です。

「バスルーム」は、基本は共用とし、バスルームのない世帯にはシャワールームを設けるようにすると、使用時間の混雑を回避できますし、遅い時間も気兼ねなく使用できます。リビングは、完全に共用としてしまうと、それぞれが友人を呼びたい時などに不都合が生じてしまいます。隣接させて壁で仕切り、扉一枚で自由に行き来できるようにすれば、コミュニケーションも取りやすく、プライベートも守られます。また、親世帯の生活空間は、より使いやすいよう、全体をバリアフリーにするのもおすすめです。

 

二世帯住宅の分離タイプ比較
上下分離型  1階を親世帯・2階を子世帯が暮らす空間とすることで、平面が広く使え、間取りの自由度が高い。ただし、互いの生活音や振動が気になることも
左右分離型  両方の世帯が暮らす空間を並列で均等に造り、廊下やウッドデッキでつなげたり、リビングなど隣接した部屋を扉一枚で自由に出入りできたりする住居。それぞれの世帯のプライベートがより守られる

左右完全分離タイプのメリット、デメリット

それぞれのライフスタイルを確立したまま同居できるのが、左右完全分離タイプの最大のメリットです。さらに、親世帯が他界したり、子世帯が転勤等で引っ越したりして一方の世帯の生活空間が空いてしまった場合に、他人に賃貸に出すことができるのも大きな利点。賃貸で収入を得ることができれば住宅ローンの返済も楽になりますし、暮らす人がいる方が家も傷みません。

ほかのタイプの二世帯住宅では共用部分が多いためこのような活用は難しく、一世帯だけで暮らすことになった場合、使わない部分にまで修繕や維持管理に費用がかかり、広すぎる家を持て余してしまうことになります。左右完全分離タイプは、初期費用はかかりますが、長い目で見た時、より暮らしやすい二世帯住宅といえるかもしれません。

まとめ

ひと口に二世帯住宅といっても様々なタイプがあり、タイプによって住み心地も、家族構成の変化に応じた順応性も、大きく異なってきます。家族が協力しあって暮らせる心強さ、父母とは異なる祖父母の愛情を身近に感じられる子育て環境など、二世帯住宅ならではのメリットを享受しながら、さらに家族みんながストレスなく生活していくためにも、どのタイプを選ぶのかは重要です。二世帯住宅を建てる予定なら、注目を集めている左右完全分離型を検討してみてはいかがでしょうか?

<連載>二世帯住宅を快適に暮らせる間取り
前編:二世帯住宅、理想の間取りは?需要が伸びている“完全分離型”を徹底解剖!
後編:二世帯住宅、快適に暮らすためにはどのくらいの広さが必要?

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