住宅ローンの事前審査に通ったのに、本審査に落ちた! その理由とは?

事前審査はOKなのに本審査で落ちてしまうケースとは?

本審査では、事前審査の結果を受けてさらに厳しい審査が行われます。たとえば、「事前審査で提出された書類の内容に間違いがないか公的な書類で裏付けを取る」、「物件の担保価値に本当に問題がないか改めてチェックする」など、厳しく審査が行われるのです。金融機関による事前審査の結果を、保証会社(【フラット35】の場合は住宅金融支援機構)がさらに厳しくダブルチェックしていると言うことができるでしょう。

その結果、事前審査はOKでも、本審査は通らなかったというケースも生じています。

必要書類を例にあげると、事前審査の場合、会社員では源泉徴収票1年分、自営業者では確定申告書3年分の提出を求められるケースが多いですが、本審査はその裏付け書類として、納税証明書の提出が求められます。

また、あわせて本人確認として印鑑証明や住民票、また必要に応じて通帳や自己資金を確認できる資料、所有している金融資産の資料などの提出を求められることもあります。

例えばですが、確定申告書の数字と納税証明書の数字が違っていた場合、たとえ悪意がなかったとしても、「虚偽の申請をした」と判断されることも考えられます。そうなれば、申込者に対する信頼は損なわれ、本審査で落ちてしまうことも起こり得るのです。

2回の審査が行われる意味はそれだけではありません。マイホームの購入や建築は、ほとんどの場合、住宅ローンの融資を受けることが前提になっています。仮に、売買契約や工事請負契約を結んだものの住宅ローンが借りられなかったということになれば、数千万円もの金額になる契約を中止にしなければなりません。

そのため、契約を結ぶ前に事前審査を行うことで、契約中止となるリスクを軽減できると考えれば、融資を申し込む側にとっても、住宅の販売や建築を行う不動産会社・建設会社にとっても、2度の審査を行う意味は十分にあると言えるでしょう。

【審査に必要な書類の例】

   事前審査  本審査  必要書類
 申込書類  ○  ○  住宅ローン借入申込書
 -  ○  団体信用生命保険申込書 兼 告知書
 本人確認書類  ○  ○  運転免許証・健康保険証またはパスポート等
 -  ○  住民票
 -  ○  印鑑証明証
 収入証明書類  ○  ○  源泉徴収票
 -  ○  住民税決定通知書または課税証明書
 ○  ○  確定申告書の写し(個人事業主など)
 ○  ○  決算報告書(法人代表者の場合)
 他に借り入れがある場合  ○  ○  償還予定表や残高証明書
物件の確認書類  ○  ○  パンフレット・チラシ等
 -  ○ 売買契約書・重要事項説明書
-  ○  登記事項証明書(※物件の種別によって扱いが異なります)

※必要書類は金融機関ごとに違いがありますので実際の借り入れにあたっては必ず金融機関に確認してください

本審査では、団体信用生命保険の審査も行われる

住宅ローンの本審査では、健康状態の審査もあります。保険会社が行う団体信用生命保険(団信)の審査です。

団信とは、住宅ローンの契約者(債務者)が、万一、返済中に死亡した場合や高度障害になった場合、ローンの残債を保険金で完済してくれる生命保険です。【フラット35】では団信の加入は任意ですが、ほとんどの民間の住宅ローンでは団信の加入が必要とされています。つまり、団信に加入できないと民間の住宅ローンを組むことはできません。

この団信の審査ですが、具体的には、「告知書」という健康状態を申告するための書類提出することで行われます。告知する内容は、保険会社によって多少の違いがありますが、おおむね次の3点になっています。

[1]最近3ヶ月以内に医師の治療や投薬を受けたことがあるかどうか
[2]3年以内に特定の病気で手術を受けたことがあるか。または2週間以上にわたる医師の治療や投薬を受けたことがあるかどうか(心筋梗塞、脳卒中、糖尿病など)
[3]手・足の欠損または機能に障害があるかどうか

これらの告知事項に該当するものがなれば特に問題はないはずです。

ですが、もし該当する項目があった場合であっても、即、団信に加入できなくなるわけではありません。あくまでも保険会社の審査基準にしたがって、団信に加入できるかどうかが判断されるため、告知事項に該当する人であっても、その健康状態によっては審査に通る可能性があります。

むしろ、告知の際に事実を伝えないと告知事務違反となり、団信に加入できたとしても保険金が支払われなくなってしまいますので、必ず事実をありのままに告知することが大切です。

本審査で落ちた場合、支払った手付金はどうなる?

先ほども申し上げたように、事前審査に通ったものの本審査に通らず、契約をキャンセルしなければならないケースも中には出てきます。

そうしたケースに備えて、気をつけておきたいのが手付金の取扱いについてです。

事前審査がOKになると、売買契約を締結しますが、その際に手付金(物件価格の10%程度が目安)を支払う場合があります。

もし、契約締結後に本審査で落ちてしまった場合、支払済みの手付金はどうなるのでしょうか。実は、その取扱いについては、「売買契約書」に盛り込むケースが多いです。売買契約を結ぶ時には、必ず、手付金の取扱いについて契約書に記載されているかどうか確認しておきましょう。

中でもポイントになるのが「住宅ローン特約」と言われる条項です。この条項の有無で手付金が戻ってくるかこないかに大きな影響を及ぼします。

「住宅ローン特約」とは?手付金が返ってこない場合はある?

住宅ローン特約とは、住宅ローンの審査に通らず、融資の承認が得られなかった場合に、買い主が支払った手付金を無利息で返還するという特約です。この特約が売買契約書に盛り込まれていれば、住宅ローンの審査が通らず、やむなく売買契約をキャンセルした場合でも、手付金が全額戻ってきます。ただし、虚偽の申告をしていたなど、買い主側に落ち度があった場合は戻ってこないケースもありますので注意してください。

また、契約書に貼った印紙代や物件調査でかかった費用など、すでに支払済みの費用に関しては戻ってこないケースもあります。これらの費用の取り扱いについては、「売買契約書」や「重要事項説明書」に盛り込み、買い主と売り主の双方が確認した上で、契約を取り交わすのが慣例です。

手付金やその他の費用の取扱いについては、契約前に必ず確認しておきましょう。また、不明な点については不動産会社に確認しながら、契約や手付金の支払いは慎重に行うようにしてください。

本審査で落ちたらもう住宅ローンは組めないの?

ある金融機関で本審査が落ちたからといって、他の金融機関でも住宅ローンが組めないということにはなりません。審査内容は金融機関ごとに違いがあるため、A社の審査は通らなかった人でも、B社の審査は通ったということはあり得ます。

ですが、住宅ローン審査で落ちた場合、金融機関がその理由を教えてくれることはありません。だからこそ、審査に落ちてしまった場合には、自分自身で思い当たる理由を考える必要があります。

過去にクレジットカード支払いの延滞をしたことがある、携帯電話の分割払いを延滞したことがあるなど、個人信用情報にキズがあると考えられる場合には、別の金融機関で申し込んでも、審査は通らない可能性が高いといえます。金融機関が個人信用情報を照会する際に利用するデータベースは共通しており、そこに記録が残っているからです。

ただ、落ちた理由が勤続年数や年収といった返済能力に関わるものであれば、金融機関ごとのその審査基準は異なっているため、A社ではダメでもB社ではOKという場合もあります。1つの金融機関で審査が通らなかったからといって、すぐにあきらめてしまう必要はありません。

再度申し込む場合は、落ちた理由を考えて対策をしておこう

金融機関を変更して、再度、住宅ローン審査の申込みをする場合、なぜ審査で落ちてしまったのかその理由を考えて、対策を講じておくことをおすすめします。

どのような対策を取ればいいかは、落ちた理由によって変わってきます。

クレジットカードなどの延滞があった場合、延滞のあったときから約5年間はその履歴が残ってしまいます。5年が経過して履歴が消えるまでは絶対に借りられないというわけではありませんが、金融機関に対して信用を高める必要があるので、数年間は再び延滞などを起こすことのないよう気をつけながら、コツコツ貯蓄をしていきましょう。しっかり貯蓄ができることを証明できれば、金融機関からの信頼は高まります。

また、勤続年数が短いために審査に通らなかった場合は、勤続年数の基準を満たすまで待つことが必要になります。希望の借入金額に対して収入が少ない場合には、借入金額を見直す必要があるでしょう。自動車ローンや消費者金融からの借入れがある場合には、その借入れを返済しておくことも有効な対策になります。

せっかく気に入った物件が見つかっても、住宅ローン審査に通らず、契約をキャンセルすることになってしまえば、本人だけでなく、その物件の売り主や不動産会社にも迷惑をかけることになってしまいます。

だからこそ、ご自身の収入や家計状況については、できるだけ包み隠さずに不動産会社や金融機関に伝えることが必要ですし、場合によってはファイナンシャル・プランナーなど家計の専門家に相談しながら、無理のない資金計画を立てることが何より大切と言えるでしょう。それがマイホーム購入への一番の近道だと私は考えています。

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(最終更新日:2022.05.17)
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