住宅ローンを借りたい! あなたに合った金利タイプの選び方は?

住宅ローンには3つの金利タイプがありますが、金利タイプ選びは住宅ローン選びにおける大きなポイントです。金利タイプによって総返済額に大きな差が出る可能性もあるからです。ここでは3つの金利タイプの特徴とメリット・デメリットの解説に加え、今後、金利が上昇した場合、返済額がどう変わるかもシミュレーションしてみましょう。その上で自分にあった金利タイプの選び方を考えてみましょう。

住宅ローンの金利タイプとは?

住宅ローンを借りる時、申し込んだ金融機関の審査に通るか心配ですが、それ以前に数多くある住宅ローン商品のうち、どの商品を借りて何年で返済したらいいのか悩むところです。特に金利タイプについては、住宅ローン選びにおいて大きな比重を占めているといっていいでしょう。

そこで、代表的な金利タイプの選び方をお伝えします。

住宅ローンには、主に全期間固定型、変動金利型、当初固定金利型と3つの金利タイプの商品があります。商品ごとに金利も違いますので、どのタイプで融資を受けるかによって総返済額も違ってきます。

そこで、まず各金利タイプをまとめてみました。

【3つの金利タイプのメリット・デメリット】

  全期間固定型 変動金利型 当初固定金利型
特色 借入時の金利が返済終了まで変わらないため、毎月返済額と総返済額が借入時に確定する 年に2回金利の見直しがあり、毎月の返済額が見直されるのは5年ごと。金利が大きく上昇した場合も、毎月の返済額は直前1.25倍までしか上昇しない 2年、3年、5年、10年など一定期間金利が固定される。固定期間が短いほど金利は低い。固定期間終了後は、変動金利型か再び固定金利の期間型を選びその時点の金利が適用される
メリット 毎月返済額が借り入れ当初から決まっているので、将来の家計収支の見通しがつけやすい 他のタイプよりも金利の設定が低いため、借り入れ当初の返済額が抑えられる 一定期間の返済額が変わらないため、当面の家計収支の目安がつけやすい
デメリット 市中金利が下がっても、借り換えをしないと当初の金利のままで返済を続けることになる 金利が上昇すれば返済額が増える。未払い利息(※)が発生した場合には返済しても元金が減らない可能性もある 固定期間終了後の金利が大きく上昇していると、返済額が大幅に増える場合がある
金利の低い順番 3 1 2

変動金利型のデメリットの中で記述した「未払い利息」とは、毎月の利息額が毎月返済額を上回ってしまうことで払いきれなくなった利息のことです。変動金利型の金利は、通常半年ごとに見直されますが、毎月の返済額(元本+利息)を見直すのは通常5年ごとです。そのため、急激に金利が上昇して適用金利が引き上げられた場合でも、毎月返済額が見直されないままになるケースが出てきます。その結果、利息部分の返済額が毎月返済額よりも多くなってしまい、未払い利息が発生するケースがあり得るのです。

将来金利が上がったらどうなるの?

次に返済額の違いを考えてみましょう。

全期間固定金利型を除いた2つの金利タイプでは、将来、金利が上がると返済額にどのような影響が出るのか心配なところです。そこで、この3つのタイプでの総返済額の違いをシミュレーションしてみましょう。

借入金額は3,000万円、返済期間は35年間とします。

【借入額と返済期間】

 借入金額  3,000万円
 返済期間  35年間

【金利】

 全期間固定型  1.09%(全期間一定)
 変動金利型  借り入れ当初は0.62%、5年ごとに0.5%上昇することとする
 当初固定金利型  10年固定金利商品とする、借り入れ当初0.90%、10年間の固定期間終了後も10年固定金利で返済し、10年ごとに金利が1.0%ずつ上昇することとする

金利の上昇が極端すぎると思われるかもしれませんが、景気が回復すれば市中金利が10年間で1.0%上昇することはあり得ないことではなく、むしろそれ以上に上昇する可能性があります。したがって、この程度の上昇幅を見ておくべきだと私は考えています。

それぞれの金利タイプについて、35年間でどれくらい返済額の違いが出るかをまとめたのが下の表です。

【毎月返済額の推移】

 経過年数  全期間固定型  変動金利型  当初固定金利型
 金利  毎月の返済額  金利  毎月の返済額  金利  毎月の返済額
 1~5年  1.09%        8万5,950円        0.62%  7万9,477円  0.90%   8万3,295円
 6~10年  1.12%  8万5,402円
 11~15年  1.62%  9万600円  1.90%   9万3,728円
 16~20年  2.12%  9万4,962円
 21~25年  2.62%  9万8,386円  2.90%   10万603円 
 26~30年  3.12%  10万772円
 31~35年  3.62%  10万2,021円  3.90%  10万3,113円
 利息総額  約609万円  約909万円  約950万円
 返済総額  約3,609万円  約3,909万円  約3,950万円

【期間ごとの返済額内訳】

   全期間固定型  変動金利型  当初固定金利型
 10年間分の返済額内訳 利息 約287万円 利息 約222万円 利息 約236万円
元本 約742万円 元本 約766万円 元本 約763万円
総返済 約1,026万円 総返済 約988万円 総返済 約999万円
 20年間分の返済額内訳 利息 約489万円 利息 約565万円 利息  約591万円
元本 約1,521万円 元本 約1,536万円 元本 約1,533万円
総返済 約2,010万円 総返済 約2,101万円 総返済 約2,124万円
 35年間分の返済額内訳 利息  約609万円 利息  約909万円 利息 約950万円
元本 約3,000万円 元本 約3,000万円 元本 約3,000万円
総返済 約3,609万円 総返済 約3,909万円 総返済 約3,950万円

金利が上昇していく前提のこのシミュレーションでは、3つのタイプのうち、全期間固定型の返済総額が一番低いという結果になりました。全期間固定金利型であれば、返済中に市中金利が上昇しても返済額が増加する心配もありません。そのため、超低金利で金利がこれ以上、下がるよりも上昇するリスクのほうが大きいと考えられる現在の状況では、最も安心して借り入れができる金利タイプと言えるのではないでしょうか。

ただ、借り入れ当初から10年間という期間で区切って、それぞれのタイプの利息や元本の返済額をみてみると、全期間固定型が金利の高い分だけ他のタイプより支払額が多くなっています。

同様に20年間で区切ってみると、変動金利型と当初固定金利型は、全期間固定型より金利の負担額が多くなっています。とはいうものの、今回のシミュレーションは金利が上昇すると仮定したものですので、シミュレーションの通りに金利が上昇しなかった場合には、この時点でも変動金利型と当初固定金利型のほうが全期間固定型より返済額が少ない可能性も考えられます。

住宅ローン返済には「返済実行計画」を作成する

ここまで返済額の違いについて見てきましたが、返済時にはその額だけでなく、住宅ローン控除という税の優遇施策についても考慮しておくことが大切です。

住宅ローン控除とは、住宅ローンの借り入れ時か10年間、住宅ローンの年末残高の1%が所得税から控除される制度です。この恩恵をできるだけ受けるには、もちろん収入とのバランスも考慮する必要はありますが、借り入れ当初の10年間は住宅ローン残高が多いほうが家計的にはプラスになるかもしれません。

つまり、住宅ローンを借りるのであれば、「返済当初の10年間は住宅ローン控除を優先する」、「11年目以降は利息分の支払いを少なくするため、できるだけ早期に完済する」ことが返済負担を軽減するためのポイントとなります。住宅ローンを借りる時には、この2点を考慮した返済計画を作成しておくべきでしょう。

返済計画の作成にあたっては、住宅ローンの返済資金だけでなく、家族の成長や老後といったライフステージごとに必要になるお金についても考慮しておかなければなりません。たとえば、子どもの教育費や老後の生活資金として、今後どのくらいのお金が必要なのか、その準備はできているのか、準備をしていないなら住宅ローンの返済をしながらどうやって準備するのかといったことを落とし込んだ計画を立て、実行していく必要があります。

自分に合った金利タイプは?

現在の収入や今後の収入を考慮して返済計画を立てれば、どれくらいなら無理ない毎月の返済を続けていけるのかがわかります。住宅購入の際には、つい背伸びをしてしまいがちですが、そういったこともなくなることでしょう。

また、ここで検討した返済計画は、どの金利タイプが自分に合っているか判断する基準にもなります。

上で見た「毎月返済額の推移」と「期間ごとの返済額内訳」をもう一度確認してみてください。

返済当初の負担は多少増えても、金利変動のリスクを避けて完済するまで毎月一定の返済を続けたいという人は、全期間固定型を選べばよいでしょう。

早期に完済することで、軽減できた利息分を貯蓄や運用に回したいと考えるのであれば、借り入れ後11年目から遅くても20年までには完済する計画が必要です。その見通しがついて、しかも住宅ローン返済だけでなく、教育費などの資金調達まで可能なだけの余裕があれば、10年固定金利型がよいでしょう。

また、親からなど資金援助が見込めて、金利上昇のリスクが返済計画に影響しないような短期間(借り入れから5~10年間ほど)で完済できる見通しのある人は、変動金利型でもよいでしょう。

今後のライフプランと家計収支を予測しながら、無理なく返済が可能な金利タイプを選んでください。

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(最終更新日:2019.10.05)
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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