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住宅購入に向けて、気に入った物件が見つかっても、住宅ローンの審査が通らなかったという人もいます。審査が通らない理由や原因にはどんなものがあるのでしょうか。また、そうした事態を避けるにはどうしたらいいのでしょうか。ここでは、金融機関が住宅ローン審査でどんな項目をチェックしているのか、審査を受ける前に講じておくべき対策の他、もしも審査に落ちてしまった場合の対策もお話しします。

金融機関は住宅ローン審査に通らない理由を教えてくれない

マイホーム探しで気に入った物件が見つかると、住宅ローンの事前審査を受けることになります。事前審査が通れば、手付金を払って契約を結び、本審査を受けるわけですが、審査に通って融資を受けることができるか心配な人もいることでしょう。

(参考記事:【新しい家の探し方】物件を見る前に住宅ローン借入可能額を知ろう!

住宅ローンを借りる際に、金融機関の窓口で担当者と相談しながら手続きを進められる場合は、ありのままの状況を話せば、その人の条件に合った融資金額や返済計画を考えることができるので、住宅ローンの審査に通らないことは少ないようです。ただし、後からお話をしますが、逆に借り過ぎてしまうことがあるので注意が必要です。

一方、ネット銀行などで担当者と相談することなく、自らインターネットで申し込みをする場合などは、審査に通らないことが多いようです。

金融機関の窓口であっても、インターネットであっても、審査に通らず、泣く泣く購入を諦める人もいます。なぜ審査に通らなかったのか、その理由を知りたいと思うのは当然でしょうが、実は金融機関はその理由を教えてはくれません。しかし、後から身の回りのことを考えてみると、審査に通らなかった理由として思い当たることがあるという場合も少なくありません。

そこで、住宅ローン審査に通らない理由や原因にはどんなものがあるのか、見ていくことにしましょう。

審査に通らない原因は? 金融機関はここを見ている

まず、金融機関の審査内容についてご説明します。金融機関は、住宅ローン融資の可否を判断する際、「人的審査」と「物的審査」の両面から審査を行います。

「人的審査」とは、融資を受ける人が、“借りたお金を完済できる能力を持っているか”を見るものです。

主な審査項目は、国土交通省の「平成28年度民間住宅ローンの実態に関する調査」の結果報告書の18ページに記載されています。

90%以上の割合の金融機関が審査を行う項目として、「完済時年齢」(98.8%)、「健康状態」(97.6%)、「借入時年齢」(97.6%)、「勤続年数」(97.2%)、「年収」(94.4%)、「連帯保証」(93.5%)があげられています。

また、この調査では「雇用形態」(78.2%)を考慮する金融機関の割合が増加傾向にあるとしています。「雇用形態」については、正社員だけでなく、派遣社員や契約社員という非正規雇用で働く人が増えてきたため、金融機関の審査でも勤続年数や契約更新回数を考慮してくれる場合もあるようです。

物的評価とは、住宅購入物件に担保価値があるかを審査します。上記の結果報告書でも「担保評価」は97.2%の金融機関が審査をしています。

【9割以上の金融機関が審査している項目】

 審査内容  審査項目  審査する金融機関の割合
人的審査  完済時年齢  98.8%
 健康状態  97.6%
 借入時年齢  97.6%
 勤続年数  97.2%
 年収  94.4%
 連帯保証  93.5%
 物的審査  担保評価  97.2%

借り入れできないケースとは?

金融機関は上記のような項目について審査するわけですが、借り入れができないケースとして考えられるのは、まず、物的審査に通らない場合があげられるでしょう。具体的には、購入しようとしている住宅が、融資できるだけの担保価値がないと金融機関が判断した場合です。

たとえば、3,000万円の融資を受けようと思っていても、金融機関がその物件には1,000万円の担保価値しかないと判断したような場合です。このような場合は、その物件を購入すること自体を止めたほうがいいです。

また、消費者金融など住宅ローン以外の借り入れがある場合、水道、電気やガス代などの公共料金や税金、それにクレジットカード、携帯電話料金の未払いや遅延をしたことがある場合は、健康状態や完済時年齢に問題がなくても、借り入れの審査を通るのは難しくなります。

(参考記事: 携帯電話料金と住宅ローンの関係は? 延滞すると審査が通らない?

住宅ローン借り入れは返済比率に要注意

上の表には含まれていませんが、金融機関は返済比率(年収に占める借入金の割合)に上限を定めています。つまり、借りる人の年収に応じて融資額の上限を決めているのです。ちなみに、先の調査では88.0%の金融機関が返済比率を計算して融資を行う際に考慮する項目としてあげています。

この返済比率について、【フラット35】では次のような基準を設けています。

年収400万円未満 年収400万円以上
30%以下 35%以下

ここで問題になることは、その返済比率の上限額まで借りてしまうと、借りることはできても無理なく完済することが難しくなるということです。

一般的に、返済比率は20〜25%程度に抑えるべきといわれています。たとえば、年収600万円の人の場合、年間の住宅ローン返済額が120万円(毎月返済額10万円)であれば、返済比率は20%(120万円÷600万円×100)となり、適正な返済比率といえるでしょう。

一方、同じ収入の人が、年間の住宅ローンの返済額が180万円(月15万円)の場合、返済比率は30%(180万円÷600万円×100)となります。この返済額でも、【フラット35】の基準である35%以下に該当するので、融資を受けることは可能です。

【年収600万円の返済比率試算例】

  ケース1 ケース2
年間返済額 120万円 180万円
毎月返済額 10万円 15万円
返済比率 20% 30%
※一般的に適正な返済比率 ※【フラット35】の基準内であり、融資可能な返済比率

しかし、年収の600万円から、所得税、住民税や固定資産税などの納税額やその他の経費を引くと、手取り額は年間420万円程度と言われています。1カ月当たりの手取り額は約35万円です。

ここから毎月の住宅ローンの15万円を引くと、毎月の生活費は約20万円となります。この金額で、生活をしていけるか、さらには子どもの教育費や老後の生活資金を貯めることができるか。といった問題が起こってきます。

【年収600万円の返済比率30%における懸念点】

   
毎月の手取り額 約35万円(1カ月当たり)
毎月の住宅ローン返済額 15万円
毎月の生活費 約20万円
※約20万円の中から、食費・水道・光熱費・通信費・交際費などの生活にかかる費用とは別に、「子どもの教育費」「老後の生活資金」などを貯めていく必要がある

先ほど、「逆に借り過ぎてしまうことがあるので注意が必要」と申し上げたのはこのことで、金融機関が貸してくれるからといって適正な返済比率を超えた借り入れをすることは避けるのが賢明です。

住宅ローン審査の前にやっておくべきことは?

金融機関は、長い返済期間にわたって約束通り返済を続けてくれるかどうかを気にします。そのため、住宅ローンの審査時には、「本当に支払い能力がある人なのか」「これまで遅延や未払いがないか」など、「個人信用情報」をチェックしています。この個人信用情報とは、銀行や貸金業者、クレジットカード会社などが共有している個人の履歴のことです。

自分の履歴がどのように登録されているかは、「本人開示制度」で確認できます。シー・アイ・シー(CIC)、日本信用情報機構(JICC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC)の3つの信用情報センターから取り寄せることができます。

【信用情報センター一覧】

 信用情報センター  URL  確認方法
 CIC  https://www.cic.co.jp/index.html  PC、スマートフォン、郵送、窓口
 JICC  https://www.jicc.co.jp/index.html  スマートフォン、郵送、窓口
 KSC  https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/  郵送

念のために、信用情報に記載されていると審査に落ちる可能性がある項目をまとめておきましょう。審査を受ける前にチェックしてみてください。

【遅延や未払いをしたことはないかチェック】

チェック欄 チェック項目
クレジットカードの支払いを遅延、または未払いにしたことがある
公共料金の支払いを遅延、または未払いにしたことがある
カードローン、自動車ローンなど、ローンの支払いを遅延、未払いにしたことがある
携帯電話やスマホ代の支払いを遅延、または未払いにしたことがある
奨学金を滞納、または未払いにしたことがある

住宅ローンの融資を受けるつもりがあるのなら、普段からクレジットカードや公共料金、カードローンなど、支払期限に遅れることのないよう注意しておきましょう。

遅延や未払いがない場合でも、返済比率を少しでも引き下げるために、カードローンや自動車ローンなど他の借り入れがある場合には、できるだけ返済しておくことをおすすめします。

また、住宅ローンを借りることそのものに不安があるのなら、金融機関や不動産会社などに属していない、独立したファイナンシャル・プランナーに相談してみるのもいいでしょう。家計状況を診断して、適正な借入額や返済計画などについてアドバイスがもらえるはずです。

審査に通らなかった場合はどうする?

それでも審査に通らなかったという場合には、まずは審査に落ちた理由を考えましょう。むやみに他の金融機関に当たるのではなく、まずは落ちた理由を考えて、しっかりと対策を講じた上で次に臨みましょう。

たとえば、収入に対して融資希望額が多すぎたのか、転職回数が多いことが響いたのか、何かしら理由が思い当ればいいのですが、自分には何も問題がないはずと思っている人は意外と多いものです。

理由が思い当たらない場合でも、よく思い出してみると、たとえば、「携帯電話代の支払いに遅延があった」とか「レンタルDVDの返済を忘れていた」など、細かいキズがあったという場合もあるものです。気になる場合は、「個人信用情報」をチェックしてみてください。

もし、個人信用情報に遅延などの履歴が登録されているようであれば、まずは住宅ローンを借りる以前に、借金に対する考え方や、ルーズな金銭感覚を改めるべきでしょう。そうしないと、たとえ住宅ローンの審査に通って融資を受けることができても、また別の借金をしてしまい、最後はマイホームを手放すことになってしまった、などということになってもおかしくありません。

そして、頭金の準備をするなど、目標をもって貯蓄をしながら、個人信用情報のキズが消えて、住宅ローンの審査が通るようなるまで、数年くらいは待つことをおすすめいたします。

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この記事の筆者
牧野寿和 ファイナンシャル・プランナー

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP(R)認定者
「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務の他、不動産投資、賃貸経営のアドバイスも行っている。著書に「銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法」(河出書房新社)がある。

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