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Q.0歳の息子の教育資金の準備をはじめようと思っています。学資保険に加入するのがお得でしょうか? 学資保険に入る場合は、何を基準に選べばいいでしょうか。(30代/男性)

A.学資保険を利用するなら、「返戻率」で比較してみましょう。家計の状況や教育プランに合わせて、必要な時期に学資金が受け取れるプランを考えましょう。

確実に目標額を貯めやすい「学資保険」

「学資保険(こども保険)」は、お子さんを被保険者、親や祖父母等を契約者として契約する保険商品です。進学時期に学資金を受け取ることができる“貯蓄機能”と、契約者が死亡した場合にも学資金は契約どおりに受け取れるが保険料の支払いが免除されるという“保障機能”を備えています。

ただし、必ずしも「お得」に利用できるとは限りません。

学資保険の貯蓄機能

まず、貯蓄機能の面からみると、商品によって、あるいは、年齢等の要件によっては、受け取れる学資金総額は支払保険料総額を下回る、いわゆる「元本割れ」になる場合もあります。また、学資保険は将来受け取る金額が確定していて安心な反面、景気がよくなり預金金利が上昇しているような状況でも受取額が増えることはありません。授業料等の金額は年々上昇しているので(下記表1)、10年・20年以上先の学資保険金受取時に、期待通りに学資保険金で学費をまかなえない可能性もあります。

また、中途解約時に受け取る解約返戻金は、払込保険料総額を下回る場合がほとんどです。ただし、この「途中でやめるともったいない」仕組みは、「もったいないから、満期まで頑張ろう」という気にさせる効果を生む面もあります。学資保険を利用するなら、満期まで続けられる無理のないプランを組みましょう。

<表1 国公私立大学の授業料等の推移>

   国立大学  公立大学  私立大学
 年度  授業料  入学料  授業料  入学料  授業料  入学料
 平成10年  469,200円  275,000円  469,200円  375,743円  770,024円  290,799円
 平成15年  520,800円  282,000円  517,920円  397,327円  807,413円  283,306円
 平成20年  535,800円  282,000円  536,449円  399,986円  848,178円  273,602円
 平成25年  535,800円  282,000円  537,933円  397,909円  860,266円  264,417円

※年度は入学年度である
※国立大学の平成16年度以降の額は、国が示す標準額である
※公立大学・私立大学の額は平均であり、公立大学入学料は地域外からの入学者の平均である
※文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」より抜粋

学資保険の保障機能

一方、保障機能を重視して、親の死亡リスクに備える保険として利用するには、学資保険の保険料は割高です。下記表2のように、たとえば、30歳の男性が給付総額500万円のJAの“こども共済”を利用した場合、保険料は月額2万円を超えます。しかし「親に万一のことが合った場合に、学資金として500万円を用意しておきたい」のであれば、貯蓄機能のない死亡保障を目的とした保険を利用してもよいですよね。たとえば定期保険を活用すれば、保険料は月額1,000円程度ですむ場合もあります。

<表2 学資保険と定期保険の保険料>

 保険商品  保険の条件  保険料
 学資保険
(給付総額500万円)
JA共済「こども共済」
契約者:30歳男性、被保険者:0歳男性
共済掛金終了年齢18歳・22歳満期
学資金支払開始年齢18歳
(18歳・19歳・20歳・21歳の契約応当日と満期時に100万円ずつ給付)
 2万3,055円/月
 定期保険
(死亡保険金額500万円)
オリックス生命「定期保険ブリッジ」
契約者・被保険者:30歳男性
保険期間・保険料支払期間:25年
 1,087円/月

JA共済共済掛金シミュレーションにて試算
オリックス生命保険料シミュレーションにて試算

このように、学資保険は、死亡に備える保険として利用するには割高なので、貯蓄商品として魅力的かどうかで選んだほうがよいでしょう。保険会社のホームページでは、年齢や希望する学資保険金額、学資保険金を受け取るタイミングなどを選択して保険料の試算ができるので、試算内容をその他の教育資金の準備手段(預金や投資信託など)とも比較して、学資保険を利用するかどうかを検討してみてください。

教育資金の準備方法については、過去のコラムも参考になさってください。
(参考記事:子どもの教育資金準備のために、学資保険に入るべき?

「返戻率」で、学資保険の貯蓄性を比較する

さて、貯蓄性を重視して学資保険を選ぶなら、注目するのは「返戻率」です。返戻率は払った保険料に対して受け取れる保険金額の割合で、「受取学資保険金総額÷払込保険料総額×100」で求められます。返戻率が、100%以上なら払い込んだ保険料以上に学資金額が受け取れるということですし、100%未満ならいわゆる「元本割れ」ということになります。

この「返戻率」は、商品によっても、年齢や払込期間によって違います(下記表3)。一般に、契約者や被保険者の年齢が高いほど保険料は高くなり、返戻率は低くなります。また、保険期間が同じなら、短期間に保険料払込を終えたほうが、毎月の保険料は高くなりますが、返戻率は高くなります。

<表3 年齢や払込期間で、返戻率は異なる>

<設定条件>
フコク生命「みらいのつばさ ジャンプ型 大学進学に重点的にそなえるプラン」
22歳満期、受取総額200万円(大学入学祝金100万円、満期保険金100万円) 

[1]契約者:30歳男性、被保険者:男子0歳の場合

 保険料払込期間  11歳  14歳  17歳
 毎月の保険料  14,354円  11,467円  9,614円
 戻り率  105.5%  103.8%  101.9%

[2]契約者:40歳男性、被保険者:男子5歳の場合

 保険料払込期間  11歳  14歳  17歳
 毎月の保険料  26,687円  18,063円  13,819円
 戻り率  104.0%  102.5%  100.5%

フコク生命みらいのつばさ かんたん保険料試算にて試算

また、返戻率は、学資金を受け取る時期、回数等の条件によっても異なります。運用期間が長いほど、一時金で受け取るよりも分割して受け取る方が、返戻率は高くなります(下記表4)。

<表4 学資保険の受け取りタイミングによる返戻率の違い>

<設定条件>
ソニー生命「学資保険(無配当)」
保険料払込期間:10歳まで
保険料払込方法:個別扱月払い

契約者:30歳男性、被保険者:男子0歳の場合

  学資保険(無配当)
I型17歳満期
学資保険(無配当)
Ⅱ型17歳満期
学資保険(無配当)
Ⅲ型22歳満期
 学資金受取総額  192万円  200万円  200万円
 学資金受取時期・金額 12歳・36万円
15歳・36万円
17歳・120万円
 17歳・200万円 18歳・40万円
20歳・40万円
21歳・40万円
22歳・40万円
 毎月の保険料  1万5,792円  1万6,020円  1万5,540円
 返戻率  約101.3%  約104.0%  約107.2%

ソニー生命学資保険シミュレーションにて試算

必要な時期に学資金を受け取れるかも、必ず確認

このように、学資保険を利用するなら、学資保険金額・受け取るタイミング・保険料払込期間など、条件を変えて試算して比較検討してみましょう。どんな条件でも返戻率が低いようなら、学資保険にこだわらず、預金や投資信託等での準備を考えた方がよいでしょう。

なお、返戻率が高いに越したことはありませんが、教育資金として使うのですから、必要な時期に利用できることも大切なポイントです。中学・高校での私立進学を考えていて教育資金の準備が間に合うか不安なら、多少返戻率が低くなっても、中学・高校の進学時にも学資金を受け取れるプランのほうがよいかもしれません。早生まれの子の場合は、学資金受取時期が「18歳」だと、学費納入に間に合わない場合もあります。学資保険金を受け取れる時期は保険商品によって異なります。家計の状況やお子様の誕生日、教育プランに合わせて、利用しやすい条件であるかも確認して、学資保険を選びましょう。

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この記事の筆者
大林香世 ファイナンシャル・プランナー

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP(R)認定者

ライフプランから見て無理のない住宅購入計画やローンプラン、保険や相続、資産運用などの相談支援業務を行っている。各種セミナー講師、新聞・Webサイト等へのコラム執筆でも活動中。

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