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住宅取得時に、親から資金援助を受けることができれば、自己資金を一気に増やすことができ、その分住宅ローンの借入額を抑えることができます。ただ、資金援助は親から子どもへの贈与となり、贈与税がかかります。しかし、一定の要件を満たせば、最高1,200万円までの贈与が非課税になる優遇税制があります。

親から1,000万円の贈与を受けると、子どもが払う贈与税は177万円

一般社団法人不動産流通経営協会の「不動産流通業に関する消費者動向調査第22回(2017年度)」によると、住宅取得者のうち、「親からの贈与」の利用率は新築住宅購入者で19.5%、既存住宅購入者で15.6%、その利用平均額は、新築住宅購入者が766.4万円、既存住宅購入者は723.1万円となっています。

<「親からの贈与」利用状況>

  利用率 利用平均額
新築住宅購入者 19.5% 766.4万円
既存住宅購入者 15.6% 723.1万円

※一般社団法人不動産流通経営協会:「不動産流通業に関する消費者動向調査第22回(2017年度)

住宅資金は、教育資金や老後資金と並ぶ「人生の三大資金」のひとつと言われています。上記の調査結果は、住宅取得をきっかけに、親からある程度まとまった資金の援助を受けている人が一定数いることがわかります。

1月1日から12月31日までの1年間で110万円を超える財産の贈与を受けた人は、贈与税申告をして税金を払う必要があります。この贈与税の仕組みを「暦年贈与」といい、たとえ親から子どもへの贈与であっても税金はかかります。

例えば、親が子ども(1月1日時点で20歳以上)に1,000万円の贈与をすると、子どもは177万円の贈与税を払わなければなりません。そのため、親からもらったお金のうち、子どもが実際に使えるのは823万円(=1,000万円-177万円)になります。せっかく資金援助を受けても、その中から税金を払わなければならない「暦年贈与」は、まとまった金額の贈与を受ける場合に使いにくい仕組みだと言っていいかもしれません。

「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」を使うと、最高1,200万円まで贈与税が非課税

住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」を活用すると、一定金額までの贈与には税金がかかりません。この制度の適用を受けるには、さまざまな要件を満たす必要がありますが、子どもが親から非課税で資金援助を受けるには、とても便利な仕組みです。

【「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」の主な要件】

 贈与者(贈与する人)  直系尊属(実の父母や祖父母)
 受贈者(贈与を受ける人)  贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上。贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下。贈与を受けた翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
 贈与できる財産  住宅用の家屋の新築、取得、増改築等をするための「資金」※敷地の取得資金を含む
 住宅用の家屋の主な条件  登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の住居として活用されること 等
 非課税限度額

1、下記2以外の場合

 住宅用家屋の新築等の契約締結日  省エネ等住宅(注1)  左記以外の住宅
 2016年1月1日~2020年3月31日  1,200万円  700万円
 2020年4月1日~2021年3月31日  1,000万円  500万円
 2021年4月1日~2021年12月31日  800万円  300万円

2、消費税率10%の物件の場合

 住宅用家屋の新築等の契約締結日  省エネ等住宅(注1)  左記以外の住宅
 2019年4月1日~2020年3月31日  3,000万円  2,500万円
 2020年4月1日~2021年3月31日  1,500万円  1,000万円
 2021年4月1日~2021年12月31日  1,200万円  700万円

(注1)省エネ等住宅とは、省エネ等基準(1.断熱等性能等級4もしくは一次エネルギー消費量等級4以上であること、2.耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上もしくは免震建築物であること又は3.高齢者等配慮対策等級(専有部分)3以上であること)に適合する住宅であること等

 贈与税申告  必要贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日まで
 暦年贈与との併用  可能

※その他、さまざまな細かい要件も設けられていますので、詳細は税務署や税理士にご確認ください。

たとえば、住宅を取得するために2018年中に建築請負契約あるいは売買契約を締結し、親から資金援助を受ける際、その住宅が省エネ等住宅の場合は1,200万円まで、その他の住宅の場合は700万円までの贈与には贈与税がかかりません(その他の要件をすべて満たしている場合)。

夫婦がそれぞれ自分の親から資金贈与を受ける場合には、それぞれ1,200万円、700万円が限度額になるため、夫婦合わせて非課税限度額の合計は、2,400万円、1,400万円になります。

住宅取得という目的に限定されるものの、この制度は、親からまとまった額の資金援助を受けても税金を払わなくてすむとても有利な仕組みです。

「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」の主な注意点

この制度は、ゆとりの資産を持っている親・祖父母世代から、子ども・孫世代への早期の資金贈与を促すために、非課税限度額を段階的に縮小しています。また、消費税率が10%に上がって住宅需要を冷え込ませないように、消費税率が10%に上がる半年前の2019年4月1日から非課税限度額を大幅に拡大しています。

なお、個人から中古住宅を購入する場合は消費税がかかりません(消費税率0%)。そのため、2019年4月1日以降の契約締結でも、非課税限度額は「1、下記2以外の場合」の表が適用されます。

また、省エネ等住宅がどうかで非課税限度額が異なっているため、取得しようとする物件の非課税限度額を建築業者や不動産会社等にあらかじめ確認しておく必要があります。

さらに、この制度の適用を受けるためには、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までの間に、最寄りの税務署に贈与税申告をする必要があります。贈与税非課税の適用を受けるために、細かい要件をすべて満たしていることを示す書類等を添付する必要もあります。慣れない贈与税申告の手続きをスムーズに行うためにも、申告前に税務署に確認をしておくほうがいいでしょう。

マイホームを取得しようとする時に、親や祖父母からまとまった資金を援助してもらえそうなときは、ぜひこの有利な制度を積極的に活用していただきたいものです。

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この記事の筆者
中村宏 ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、住宅ローンアドバイザー

個人相談、セミナー講師、新聞や雑誌・Webの記事執筆や取材協力が主な業務。
暮らしのお金に関するお役立ち情報として、無料のメールマガジン「生活マネー ミニ講座」(平日:毎日)を配信中。

FPオフィス ワーク・ワークス代表

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