家は「賃貸」と「購入」はどっちがお得? 年代別に徹底比較!

家は「賃貸と購入、どちらが得なのか」は“永遠のテーマ”です。住む人が何歳まで生き、どんな生活をするか、どんな住まいを求めるかで結果は簡単に変わってしまいます。寿命は誰にも分かりませんが、現在の年齢や予定しているライフステージに沿って、自分にとって賃貸と購入のどちらがいいのか、予測をすることはできるため、きちんとライフプランをイメージする事が大切です。年代別のポイントをまとめました。

家を「賃貸」と「購入」で比較、どちらがお得かシミュレーションをしてみて分かること

賃貸住宅に住み続けるか、マイホームを購入するか考えるにあたり、月々の住宅ローン返済額と家賃を比較する人は多いでしょう。実際に、「住宅購入者ストーリー」でインタビューに答えていただいた方々の多くが「家賃を捨てている感覚がありもったいないと感じた」「シミュレーションの結果、現在の家賃と月々の住宅ローン返済額が同等だったので購入を決めた」と語っています。

(参考記事:無理のない借り入れ計画がカギ。千葉県習志野市の新築戸建てを購入したYさん:住宅購入者ストーリー)

<購入と賃貸の負担額比較表>

出所:ARUHIマガジン「マイホームを購入する? 賃貸を選ぶ?どっちがお得か“3つの視点”で徹底比較

上記は、都内でタワーマンションを借りた場合と購入した場合の比較です。それぞれの負担額を比較すると、概ね30年程度が損益の分岐点となります。

ただし、これはあくまで一例に過ぎません。頭金を潤沢に用意できれば購入した方がよりお得ですし、住宅ローン控除の恩恵をどれだけ受けられるのか、その方の年収や購入した物件によって大きく変わります。

引越しの有無やリフォームの回数によって生涯で住宅にかけるコストも変わりますし、購入するエリアや広さによって資産価値も異なります。つまり、設定次第で結果はいかようにもなるということ。損得で判断するよりも、自分が現在、どのライフステージにいるのか考えながら計画を立てた方が良いでしょう。

(関連記事:賃貸に住み続けるのと住宅購入、どちらがお得?【第1回マイホームの探し方】

20代:余裕のある資金計画が立てやすい反面、ライフステージが変化するリスクあり

年収=年功序列という時代ではなくなりましたが、基本的に年収は勤務年数を経て上がっていく傾向にあります。働き始めてから年数が浅い20代の収入は、一般的に低め。住宅購入に向けてまとまった頭金を準備するハードルも高く「家を買いたくても買えない」というケースも多いでしょう。

住宅ローンを利用して家を購入する場合、早い段階から支払いが始まる分、無理のない返済計画が立てられることはメリットです。ただし、家は手に入れた後、少しずつ経年劣化します。20代で家を買うと、50年以上住み続けることを想定する必要があります。家を買うなら、リフォームや建て替え、住み替えのための資金も視野に入れて計画を立てるべきでしょう。

【20代の「賃貸」vs「購入」メリデメ比較】

<メリット>
・無理のない返済計画が立てられる
<デメリット>

・住宅購入に向けてまとまった頭金を準備するハードルが高い
・リフォームや建て替え、住み替えのための資金も視野に入れて計画を立てる必要がある

また、結婚・出産などライフステージの変化に応じて必要な広さや部屋数が変わりやすい時期でもあります。そうした変化に対して住み替えがしやすいように、しばらく賃貸で様子を見る、もしくは買い替えを前提として、買値に近い金額で売却しやすい駅近の中古マンションを購入するのも手です。

30代:年収や家族構成の見通しがついてくる。転勤や子どもの進路などに応じて判断

収入がある程度増え、既婚者は家族構成の見通しがつき始める30代。転勤はあるのか、お子様の教育資金はどの程度必要で、いつ独立するのかといった問題を踏まえながら、ライフスタイルに合った住宅を選びやすい年代と言えます。

定年を迎えるまでに完済するなど、老後も含めて資金計画をしっかり立てやすいでしょう。繰り上げ返済の活用も念頭に入れつつ、教育資金はどれだけ必要になるかといった人生設計を立てた上で、無理のない返済計画を立てる必要があります。

一方、「転勤の可能性がある」「将来実家を相続する見込みなので家は買いたくない」といった理由で、当面は賃貸生活を続けたい方も多いでしょう。40代以降で住宅購入の可能性があるならば頭金の準備を、賃貸住宅に住み続けたい場合も、インフレで家賃相場が上がる可能性も考慮して資金の備えがあると安心です。

【30代の「賃貸」vs「購入」メリデメ比較】

<メリット>
・既婚者は家族構成の見通しがつき始めるため、ライフスタイルに合った住宅を選びやすい
<デメリット>

・転勤、実家を相続等で賃貸住宅を続ける場合、将来に備えた資金の蓄えが必要

40代:収入が安定してくる時期。老後までに住宅ローンを完済できるかがカギ

20代・30代と比較して高い年収を得られるようになる方が多い40代。働き盛りでお子様はある程度成長している家庭が多く、「そろそろマイホームを買おうかな」と思う方も多いでしょう。その反面、リタイアまでの期間を気にしなければならない時期に入ってきますので、住宅を購入する場合は住宅ローンの返済期間を短めに設定したいところ。20年前後で完済できる範囲内の予算を組むようにしましょう。また、40代の住宅購入は「終の棲家」としての視点も必要。日常の買い物スポットや病院までの距離など老後も生活しやすい住環境なのか、段差の有無なども確認しましょう。

「一生賃貸」を決意している方は、老後の生活費に加えて住宅費の備えも必要です。定年後、年金生活になってから30年分程度の家賃を捻出できそうか計算し、難しそうな場合は現在の収入・支出内容を見直しましょう。

【40代の「賃貸」vs「購入」メリデメ比較】

<メリット>
・20代・30代と比較して高い年収を得られるケースが多い
・子育てもひと段落するタイミング
<デメリット>

・購入の場合、住宅ローンの返済期間は短めに設定する必要がある
・賃貸生活を続ける場合、老後の生活費に加えて住宅費の備えも必要

住宅を購入するにしても、賃貸に住み続けるにしても、備えあれば憂いなし!

今回は20代、30代、40代にスポットをあてましたが、「子どもが独立した50代でコンパクトな住まいに住み替えを検討したい」「仕事が一段落した60代に、セカンドライフに向けた城としてマイホームが欲しい」などと考える方もいらっしゃるでしょう。「老後こそ、好きな場所を転々としたい」という方だっていらっしゃるはず。購入段階で頭金などまとまった資金が必要な住宅購入と、老後に向けた資金の備えが重要な「一生賃貸」のいずれを選択しても、決断に応じた蓄えが必要です。

「一生賃貸」の場合、例えば65歳から20年程度、月10万円の家賃を払うならば、単純計算で10万円×12ヶ月×20年で2,400万円分、住宅を購入した人と比べてプラスアルファで備える必要がある訳です。老後に焦ることがないよう、早いうちから資金計画を立てると良いでしょう。

(最終更新日:2019.10.05)
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