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Q.今年結婚しました。早く子どもが欲しいと思っているのですが、妊娠する前に医療保険に入ったほうがよいと知人に勧められました。まだ若いし体も丈夫なので、保険料がもったいないような気がするのですが、加入した方が良いでしょうか?(20代/女性)

A.妊娠中や、病気やけがの治療後は保険加入が制限される場合があります。万一のとき、医療保険を利用したいのであれば、妊娠する前に加入を検討したほうがよいでしょう。

病気やけがのリスクは誰にでも

若く、健康に自信のある方にとって、使う機会があるかどうかわからない医療保険の保険料は、「もったいない」気がしますよね。しかし、病気やけがのリスクは老若男女、誰にでもあります。万一の場合の治療費の支払いに備えておくことは必要でしょう。

もちろん、必ずしも保険を利用する必要はなく、万一の病気やけがの治療費を貯蓄で準備しておいてもよいでしょう。そもそも、健康保険制度に加入していれば、病院窓口で支払うのは3割の自己負担分だけですし、医療費が高額になった場合には「高額療養費制度※」もあります。健康保険の自己負担額と、健康保険の対象とならない費用(入院時食事療養費や差額ベッド代や家族の交通費、入院準備費用等)を貯蓄でまかなえれば問題ありません。

※高額療養費制度とは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、後で払い戻される制度。(参考:厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ 

妊娠や分娩のトラブルの治療も、医療保険の給付対象

しかし、若い世代の家計は余裕がない場合も多いので、医療費を貯蓄で準備しておくことは難しいかもしれません。その場合には、医療保険を考えてみてください。

医療保険は、病気やけがの治療のために入院・手術等を行った場合に契約した給付金が受け取れる保険です。正常分娩のための入院は対象になりませんが、妊娠悪阻(重いつわり)や妊娠糖尿病、妊娠高血圧、切迫流産、切迫早産、帝王切開術などの、異常妊娠や異常分娩などの治療のための入院、手術も給付対象になります。女性特有の病気への保障をより手厚くした、女性疾病特約が付加できる医療保険や女性専用の医療保険もあります。

妊娠中や産前産後は、体調の変化も大きく、トラブルに見舞われることもあります。医療保険に妊娠前に加入しておけば、自分に合った保険を多くの選択肢から選ぶことができ、妊娠・出産に伴うトラブルにも備えることができます。

たとえば、近年は分娩件数に対する帝王切開手術の割合が増加しており、平成26年9月の帝王切開手術の割合は、一般病院の場合は24.8%、一般診療所の場合は13.6%です。(厚生労働省平成26年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況

大体5人に1人くらいは、帝王切開手術を受けています。帝王切開で出産した場合の自己負担額は病院によっても異なりますが、処置内容によっては負担が大きくなる場合もあります。

帝王切開の場合は医療保険が適用されるため自然分娩で出産した場合とさほど差がない場合もありますが、医療保険に加入していれば、出産費用がかさみそうな場合にも、お金の面での心配をせずに出産に臨めるのではないでしょうか。

妊娠中や出産後の加入は制限される場合もある

医療保険に加入するなら、妊娠前のほうがよい理由は他にもあります。

まず、妊娠中は医療保険に加入できない場合があること。商品によって条件は異なり、妊娠27週までなら加入可能、妊娠中でも月数は問わず加入可能といった商品もありますが、多くはその妊娠についてのトラブルや異常分娩については保障されない「条件付き」での加入になります。

次に、出産後であっても、加入が制限される可能性があることです。医療保険に加入する際には健康状態の告知が必要になり、告知書では「最近(3ヶ月以内)に医師の診療・検査・投薬を受けたことがあるか」「過去(5年以内)の入院や手術など」、女性の場合は「妊娠しているかどうか」などが問われます。

健康状態の告知欄に入院歴や治療歴などがあると、保険に加入できなかったり、加入が認められても「特定部位不担保」「特定疾病不担保」(特定の部分や特定の病気の場合は、保険給付をしない)という条件つきになったり、料金が高くなったりする場合があるのです。

該当期間に異常妊娠や異常分娩の治療を行っていれば告知欄へ記入することになり、その内容によって、医療保険への加入が制限される可能性があります。

妊娠中でも加入でき、保障される保険もある

そうはいっても、妊娠してから、妊娠中のトラブルやその後の病気やけがが心配になって医療保険に入りたいという場合もありますね。その場合には、妊娠中でも加入可能で、その妊娠に関する給付も受けられる保険が少額短期保険会社(※)で扱われています。

※少額短期保険会社とは、保障が1000万円以下で期間が2年以内の保険だけを販売する保険会社。生命保険契約者保護機構には加入していない。少額短期保険の保険料は、保険料控除の対象外。

たとえば、ABC少額短期保険株式会社の「ABCおかあさん保険」は妊娠19週までに申し込めば、その妊娠における帝王切開等の手術も保障されます。

エクセルエイド少額短期保険株式会社の「普通保険」は週数にかかわらず妊娠中でも加入でき、その出産も保障の対象となります。

エイ・ワン少額短期保険株式会社の「みんなの医療保険エブリワン」は、妊娠28週目までの申し込みなら、その妊娠の異常分娩や帝王切開による入院を保障し、妊娠29週目以降の申し込みだと、その妊娠は不担保になります。

ただし、妊娠中でも加入できる保険であっても、すでに帝王切開手術等の異常分娩の可能性が指摘されていた場合などは、加入できなかったり、保障の対象外となる場合もあります。加入や給付の条件の詳細は各保険会社ご確認ください。

【妊娠中でも加入できる保険の例】

 商品名  申込み期限  特長  URL
 ABCおかあさん保険  妊娠19週まで  ・妊娠19週までに申込めば、帝王切開等の手術保障・保障開始日以後の妊娠の場合は、自然分娩に伴う入院も保障  https://www.abc-hoken.co.jp/mother
 エクセルエイドの普通保険  週数に関わらず申込み可能  ・医師が正常分娩に該当しないと認めた異常分娩による入院は入院保障の対象  http://www.excelaid.co.jp/ninshin/
 みんなの医療保険エブリワン  妊娠28週目まで  帝王切開等の異常分娩、産後の体調不良による入院も保障。  https://a1-iryou.com/ninpu/ninpu_characteristic.html

これらの保険は、妊娠・出産後も更新して継続できます。しかし、妊娠中に入れる保険として、少ない選択肢から選んだ場合は、「他に自分にもっと合った保険があるのでは?」と気になるかもしれませんね。その場合は、体調が落ち着き告知すべき事項もなくなった時に、再度、医療保険の多くの選択肢から、自分により合った保険を選択するとよいでしょう。

このように、医療保険は給付が得られるような状態(病気やけが、異常妊娠や異常分娩等)になる前に加入して備えておくものです。できれば、妊娠する前に、病気やけがをする前に、ご自分に合った保険を選んで加入しましょう。加入の条件や保障内容は商品によって異なるので、不明な点はホームページやフリーダイヤル、代理店の担当者等に、加入を決める前に確認しておきましょう。

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この記事の筆者
大林香世 ファイナンシャル・プランナー

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP(R)認定者

ライフプランから見て無理のない住宅購入計画やローンプラン、保険や相続、資産運用などの相談支援業務を行っている。各種セミナー講師、新聞・Webサイト等へのコラム執筆でも活動中。

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