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住宅は人生で最大の買い物です。後悔したくないと思うのは当然のことでしょう。ですが、いざ物件を探し始めると、予算よりも高い物件を「気に入ったから」といって、まるで衝動買いのように購入してしまう人もいます。そうなると金額が大きいだけに、将来の生活が狂ってしまうこともあり得ます。そこで、住宅ローンとマイホーム購入で後悔しないために、賢い住宅購入の方法と考え方をお話しします。

住宅ローンとマイホーム購入で後悔したくない

「後悔先に立たず」と言われるように、もし失敗をしたならば、それを肥やしにして、次は失敗をしないようにすればいいのです。しかし、こと生涯で一番高い買い物と言われている住宅購入に関しては、「次は失敗をしないように」ではすみません。もし失敗すれば、その人だけでなく家族まで巻き込んで、将来の生活が狂ってしまうこともあります。

そこで、住宅ローンとマイホーム購入で後悔しないために、購入前に知っておいていただきたい基本的なことをお話ししていきましょう。

まず住宅購入の予算を決める

住宅購入で後悔しないためには、まず「予算」を決めることです。そして、一度決めた予算はしっかりと守ることが大切です。

住宅購入の予算について相談にいらしたお客さんに、ライフプランと家計の収支をお聞きし、将来の家計状況をシミュレーションして、住宅購入の予算と住宅ローンの借入額をご提案することがあります。

<予算の決め方>

1.ライフプランを立てる
2.家計の収支を洗い出す
3.将来のシミュレーション
4.住宅購入予算決定
5.住宅ローン借入額算出

このような相談にいらした人の中には、たとえば、「住宅ローンの借入額は4,000万円まで」とご提案しても、実際に購入物件を探し始めたところ、「気に入った物件が見つかったけれど、5,500万円と予算オーバーしてしまっている」と相談にいらっしゃる人がいます。実際に物件を目の当たりにすると、どうしても欲が出てきてしまうものだからです。

よくあるのは、不動産会社やハウスメーカーの営業担当者から、「その物件は他にも検討している人がいるので、購入するかどうか早急に返事がほしい」と言われて焦ってしまっているケースです。営業担当者も早く物件を売りたいので、そうしたセールストークを展開することが少なくないのです。

このような場合、しっかりとシミュレーションして4,000万円という金額をご提案しているわけですから、私としては「他の物件を探しましょう」とお答えするほかありませんし、予算を超えた物件を無理して購入すれば、将来、後悔することになる可能性は高いと言わざるを得ません。

(関連記事:マイホーム購入のための10のステップ

予算オーバーの物件を購入してしまうと?

言い換えると、他の物件を探すようアドバイスしたにもかかわらず、予算オーバーの物件を購入してしまう人がいます。

そういった人の中には、「どうしてもその家に住みたい」と覚悟を決めて、それまでの生活費を半分以下にまで減らして、何とか返済を続けている人もいます。しかし、それ以上に多いのは、購入から2,3年経った後に「やはり返済ができない、どうしたらいいのか」と私のところに連絡してくる人なのです。

住宅という生涯で一番高額な買い物をするわけですから、どれだけ準備をしてもし過ぎることはなく、たとえ営業担当に煽られたとしても、衝動買いをしてしまうのはもってのほかです。

まず家族でどんな家が欲しいかイメージする

では、後悔しない住宅の買い方というのは、どういうものなのでしょうか。

物件選びについては、まずは「どんな家に住みたいのか」ということを家族でイメージして決めるところからスタートします。

最初に決めたいのは、「マンション」か「戸建て」かといった“物件種別”と“間取り”です。家族構成を考えて間取りを決めることで、購入する家の大きさも決まってきます。

子どものころからマンションや社宅などの集合住宅に住んでいた人の中は、「住み慣れているのでマンションがいい」という人もいれば、「土いじりにあこがれていたので庭のある戸建てがいい」という人もいます。

また、年配の人のなかには、郊外の戸建て住宅に長年住んでいたけれど、自宅の老朽化、交通の便やセキュリティを考え、その家を売却して街中のマンションに住み替えたいという人もいます。

同時に、そうした人の中には、いざ街中のマンションを購入して住んではみたものの、「近所付き合いがなくなって寂しい」とか、「どうしても土に触れていたい」という理由から購入したマンションを賃貸に出して、戸建て住宅を再度購入した方がいらっしゃるのも事実です。

購入する住宅の価格も大切ですが、それと同じように、どのような家に住みたいかをしっかりと決めておくことも大切なのです。

固定か変動か金利タイプを決める

予算と住みたい家のイメージが決まったら、次は、物件探しと並行して住宅ローン選びを進めます。

住宅ローンの金利タイプには、【フラット35】に代表される、返済期間中の金利が変わらない「全期間固定金利型」の他、2〜10年といった一定期間中の金利が固定されている「当初固定金利選択型」、それに、「変動金利型」があります。

【金利タイプごとの特徴】

 金利タイプ  金利変動リスク  家計管理  金利
 全期間固定金利型  なし  しやすい  高め
 当初固定金利選択型  あり  固定金利期間の終了後は不透明  固定金利期間が短いほど低い
 変動金利型  あり  しにくい  低い

「全期間固定金利型」は、金利が返済期間中一定のため、返済開始時に毎月の返済額や総返済額がわかるのが特徴で、家計収支のシミュレーション、ライフプランニングや家計管理がしやすいというメリットがあります。ただし、一般的に変動金利タイプより、金利が高めに設定されています。

「当初固定金利選択型」は、固定金利期間終了後に変動金利型や、再度、固定金利選択型を選ぶことができ、その時点の金利でその後の毎月返済額が再計算されます。変動金利型とは異なり、金利変動幅や毎月の返済額の上限などの設定はないため、将来大幅に金利が上昇すれば、返済額も増えることになります。

「変動金利型」は、通常年に2回、金利が見直されます。ただ、毎月の返済額の変更は5年ごとで、返済額が増える場合は、それまでの返済額の1.25倍以内に止めるというルールがあります。そのため、金利が大きく上昇すると利息の支払いばかりで元本が減らないということもあり得ます。

いったん住宅ローンを組めば、金融機関によっては、繰り上げ返済や借り替えをするごとに手数料が必要となる場合もあります。子どもの教育費や自分たちの老後資金などの積立など、将来の収支を考えながらその家庭に適した金利タイプで住宅ローンを組むことが大切です。

(関連記事1:住宅ローンは固定?変動? どっちを選ぶほうがいいの?
(関連記事2:住宅ローン、全期間固定金利型と当初固定金利型の違いは?

借り過ぎで後悔しないために

融資を受け過ぎないこと、つまり借り過ぎないことも大事なことです。

金融機関ごとに、年収に応じた年間返済額の割合が定められています。この割合のことを「返済比率」といいます。

【フラット35】を例に挙げると、年収400万円未満は30%まで、400万円以上は35%までとされています。

【【フラット35】の返済比率】

 年収400万円未満  年収400万円以上
 30%  35%

たとえば、年収500万円の人が、【フラット35】で金利1.36%、返済期間35年で、3,000万円の融資を受けた場合、毎月返済額は8万9,812円になります。年間返済額は約107万円(8万9,812×12ヶ月)となり、返済比率を計算すると、21.4%(107万円÷500万円×100)となります。

一般的に、返済比率は25%以内に抑えるべきと言われていますので、返済比率だけを見れば妥当な借入額といえるでしょう。

一方、同じく年収500万円の人が、上と同じ条件で返済比率の上限額を借りた場合はどうなるでしょうか。ここでは計算方法は省きますが、金利1.36%、返済期間35年で、年収500万円の人が返済比率35%ぎりぎりまで借りた場合の融資額は4,800万円、毎月返済額は14万3,699円となります。

念のために、この場合の返済比率も計算しておきましょう。

年間返済額は約172万円(14万3,699円×12ヶ月)となり、返済比率は34.4%(172万円÷500万円×100)です。年収500万円の人が、金利1.36%、返済期間35年で【フラット35】を借りる場合、計算上は4800万円まで借りることができるというわけです。

【返済比率で返済額はどう変わるか(年収500万円の場合)】

   返済比率  融資額  年間返済額  毎月返済額  家計に残る金額
 適正な借入額の場合  21.4%  3,000万円  約107万円  89,812円  約27万円
 上限まで借りた場合  34.4%  4,800万円  約172万円  143,699円  約22万円
 返済額の差  ———  ———  約65万円  53,887円  ———

(関連記事:住宅ローンの適正な返済比率は? “借りられる金額”と“借りていい金額”はどう違う?

借り過ぎで後悔しないために

ここで大きな問題があります。それは、返済比率21.4%の場合と34.4%の場合との家計収支への影響の違いです。一言でいうなら、本当に、毎月滞りなく返済もできるかということが問題なのです。

額面年収500万円の場合、手取り額は、単純に計算して約435万円、毎月にすると約36万円になります。

返済比率が21.4%の家庭であれば、単純に計算して毎月約9万円ずつ返済していくことになるため、毎月、約27万円が家計に残ります。一方、返済比率が34.4%の家庭であれば、毎月約14万円ずつ返済していくことになるため、家計に残るのは約22万円です。

ここから毎月生活費などを出費し、また毎年の固定資産税の納付も必要です。

上の図表からわかるように、収入は同額でも、支出の差(返済額の差)は1ヶ月で5万3,887円、1年間で約65万円、10年間では約650万円となります。

前述したように、一般的に返済比率は25%以内に抑えるべきと言われていますし、実際にこれだけの支出の差があることを考えると、金融機関が貸してくれるからと返済比率ギリギリまで借りてしまうことは避けるべきといえるでしょう。

専門家に相談するのも一つの方法

ここでお伝えしてきたことは、冷静に考えていただければ、決して難しいことではないと思います。

ですが、しっかり住宅購入の知識をつけないままに、住宅購入という初めてのフィールドに上がってしまうと、思わぬ落とし穴に落ちてしまうことになりかねません。

家電や消費財を購入するのであれば、同じ製品がいろいろなところで売られているので、価格を比較したり、口コミを調べたりした上で、納得して購入することができます。ですが、住宅はひとつとして同じものはありませんし、価格も単純に比較できるものではありません。

そして、金額が大きい買い物だけに、しっかりとした資金計画を立てなければ、後で悔やむことになる可能性は大きいものです。

不安なことや、わからないことがあれば、そのままにして住宅を購入するのではなく、専門家に相談してみることもひとつの方法です。第三者的な立場から、購入物件や住宅ローンの融資額について相談し、アドバイスをもらうことも良いでしょう。

たとえば、住宅問題に強いファイナンシャル・プランナーを探すのであれば、特定非営利活動法人(NPO法人)日本ファイナンシャル・プランナーズ協会のホームページから見つけることもできます。初回は無料相談という場合も多いので、まずは無料相談で自分のニーズに応えてくれそうかどうか確認してみてはいかがでしょうか。

住宅は人生最大の買い物です。購入後、こんなはずではなかったと、後悔をしないための万全な準備が必要です。

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この記事の筆者
牧野寿和 ファイナンシャル・プランナー

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP(R)認定者
「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務の他、不動産投資、賃貸経営のアドバイスも行っている。著書に「銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法」(河出書房新社)がある。

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