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個人事業主の所得は、収入から「必要経費」を差し引いて計算されます。独立した事務所や店舗で事業を行っている場合だけでなく、自宅兼事務所、自宅兼店舗等の場合も、事業使用割合に応じて「必要経費」になります。

(参考記事:自営業者が住宅ローン審査を通るポイントとは

「必要経費」は事業のために必要な費用

個人事業主の所得税は、1年間(1月~12月)の総売上から「必要経費」を差し引いた課税対象額に税率を掛けて計算されます。収入金額が同じなら、必要経費が多いほど納めるべき税額は少なくなります。

「必要経費」として認められるのは、事業のためにかかった費用(収入を得るために必要な売上原価や販売費、管理費など)です。たとえば、事業のために借りている事務所の家賃や水道光熱費、従業員に払う給料、交通費、消耗品費など。業務用の資産を購入した場合には、そのローンの利子も必要経費になります。

必要経費になるのは、すべての部分を事業に使用している場合だけではありません。個人事業では、交際費や地代家賃、水道光熱費のように、1つの支出がプライベートと業務の両方に関わりがある場合もありますよね(家事関連費)。事業主が個人的に使用した費用は必要経費になりませんが、取り引きの記録などに基づいて、「業務遂行上直接必要であったこと」が明らかに区分できる金額は必要経費にすることができます。

※参考:国税庁タックスアンサー やさしい必要経費の知識

住宅ローンの利子も、事業使用割合に応じて「必要経費」に

家事関連費のうち、事業に使用している部分の「必要経費」を計算するためには、まず、事業使用割合を求めます。自宅兼事務所に関する費用であれば、一般に、面積で事業使用割合を決めます。事業で使う部分とプライベートな部分を分けて、事業使用部分が自宅の総面積の何割にあたるのかを、計算してみてください。

賃貸住宅の場合は、家賃額に事業使用割合をかけた金額が必要経費になります。

持ち家の場合は、住宅ローンの利子(住宅ローンの元本部分は必要経費にはなりません)や減価償却費、固定資産税も事業に使用する割合に応じて必要経費になります。

水道光熱費や通信費、火災保険料、地震保険料なども、事業使用割合に応じて必要経費になります。

参考:自営業の方でも申し込める、ARUHIフラットのメリットとは

「住宅ローン控除」は、居住用部分にしか受けられない

このように、住宅に関する費用も事業使用割合に応じて必要経費にできますが、住宅ローン控除を受ける場合には注意が必要です。

<住宅ローン控除とは>
対象となる住宅の取得等に係わる住宅ローン等の年末残高の1%が、住み始めた年分以後の各年分の所得税額から10年間差し引かれる制度(平成26年1月1日から平成33年12月31日までの場合)。

たとえば、対象となる住宅の住宅ローンの年末残高が2,000万円だった場合、納めるべき所得税額から20万円を差し引くことができます。

<住宅ローン控除例>

対象となる住宅の住宅ローンの年末残高 納めるべき所得税額から差し引き可能な控除額
2,000万円 20万円

住宅ローン控除を受けるためには複数の条件を満たすことが必要ですが、条件のひとつに、下記のような床面積の条件があります。床面積の2分の1以上の部分が「専ら自己の居住の用に供するもの」でないと、住宅ローン控除は受けられないのです。

店舗等併用住宅でも住宅ローン控除は受けられますが、事業使用割合が2分の1を超えると、住宅ローン控除を受けられないことになります。事業用として必要経費を計上するよりも、住宅ローン控除を受けたほうが、負担する税額が少なくなる場合もあるので比較検討する必要があるでしょう。

<住宅ローン控除を受けるための床面積の条件>

(3)新築又は取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること。
(注)この場合の床面積の判断基準は、次のとおりです。
イ 床面積は、登記簿に表示されている床面積により判断します。
ロ マンションの場合は、階段や通路など共同で使用している部分については床面積に含めず、登記簿上の専有部分の床面積で判断します。
ハ 店舗や事務所などと併用になっている住宅の場合は、店舗や事務所などの部分も含めた建物全体の床面積によって判断します。
ニ 夫婦や親子などで共有する住宅の場合は、床面積に共有持分を乗じて判断するのではなく、ほかの人の共有持分を含めた建物全体の床面積によって判断します。 ただし、マンションのように建物の一部を区分所有している住宅の場合は、その区分所有する部分(専有部分)の床面積によって判断します。

国税庁タックスアンサー 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)より抜粋

住宅ローン控除を受ける条件を満たしていた場合でも、控除の対象は年末の住宅ローン残高のうち、店舗や事務所などの業務用の部分をのぞいた居住部分に対応する部分のみです。事業で使う面積が増えるほど、住宅ローン控除が受けられる面積が減っていきます。たとえば、年末のローン残高が2,000万円だった場合、居住割合が50%の場合には、住宅ローン控除の対象となるのは1,000万円、納めるべき所得税額から差し引き可能な控除額は10万円ということになります。

<年末のローン残高が2,000万円だった場合>

居住割合※業務用の部分を除いた割合 住宅ローン控除の対象 納めるべき所得税額から差し引き可能な控除額
50% 1,000万円 10万円

なお、事業使用割合が10%以下の場合は100%居住用として取り扱われるので、年末のローン残高全額が住宅ローン控除の対象とみなされます。

参考:国税庁タックスアンサー 店舗併用住宅を新築した場合

このように、住宅関連の費用も「事業遂行上必要な部分」は、必要経費になります。確定申告の季節を迎える前に、必要経費とみなされる条件や必要経費にならないのはどんな費用なのかなど、国税庁のホームページや税務署の窓口、税理士等に確認しておかれるとよいでしょう。

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大林香世 ファイナンシャル・プランナー

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP(R)認定者

ライフプランから見て無理のない住宅購入計画やローンプラン、保険や相続、資産運用などの相談支援業務を行っている。各種セミナー講師、新聞・Webサイト等へのコラム執筆でも活動中。

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