外国人が日本で住宅購入するには?【後編】海外在住者の注意点と売却時のポイント

日本の住宅を購入する外国人には、居住目的の場合と、投資目的の場合があります。2020年の東京オリンピック開催の決定により、都内の不動産はさらに価格の上昇が期待され、海外の投資家に注目されているのです。しかし、海外に暮らしながら日本の不動産を購入するのは、より手続きや準備が複雑になります。外国人が不動産を購入するまでの流れや、海外在住者が特に注意したい点、売却する際のポイントをARUHIマガジン編集部が調べてみました。

前編はこちら:永住者ビザがなくても大丈夫⁉ 外国人が日本で住宅購入するには?

不動産購入の流れ

・物件の下見
希望に合った物件が見つかったら、必ず下見に行きましょう。海外在住者の場合も、来日して、自分の目で確かめることが大切です。日本に滞在できる期間は国によって変わってきます。例えば中国人ならビザ取得(香港、台湾除く)が必須で滞在期間は90日、韓国人はビザ不要で90日です。この期間内で物件を見て、購入手続きまで完了させる必要があります。時間が限られていますので、下見の際は間取りや設備だけでなく、駅まで歩いてどれくらいかかるか、近くに病院やスーパーはあるかなど、周辺状況もしっかり確認し、納得のいく物件か見極めましょう。

・買付証明書の提出
物件の購入を決定したら、購入意思を示すため、不動産仲介業者または物件の売主に買付証明書を提出します。書類には、購入希望価格・手付金・契約希望日・引き渡しの希望日・住宅ローンを利用する場合はその額などを具体的に記入します。

・重要事項の説明
物件購入の確定後、物件に関しての重要事項の説明を受けます。物件の概要や権利関係、代金の支払い方法、売買契約解除の場合の規約など、重要事項説明書に基づいて説明を受けます。わからないこと、気になることがあれば、きちんと確認しましょう。

・売買契約
物件について納得がいき、売主とも意思の合致ができたら、正式に売買契約を結びます。その際に、印鑑と印鑑証明書(またはその代わりとなる書類)、印紙税が必要です。また、売買契約時に物件購入価格の10~20%程度の手付金を支払うことになります。契約を締結した後、自分の都合で契約を解除してしまうと、手付金は戻ってきません。そのことも踏まえて、しっかり検討した上で契約を結びましょう。

・住宅ローン
外国人が住宅ローンを利用することも可能です。多くの金融機関が「永住者ビザ」を持っていることを第一条件としているので、「就労ビザ」や「定住者ビザ」から申請し直すのもいいでしょう。また、永住者ビザを持っていなくても、国によっては外資系ノンバンクの住宅ローンが利用できたり、一定の条件を満たしていれば国内銀行の住宅ローンを利用できたりする場合もあります。利用したい場合は不動産会社に相談してみましょう。

(参考:外国籍の方でも申込みができる。 ARUHIフラットのメリットとは

・決済、登記
売買契約が成立したら、決済と、不動産の所有が移転したことを登記します。登記の際に在留カード、住民票(またはそれに代わる書類)、印鑑証明書(またはそれに代わる書類)、印鑑などが必要になります。登記はインターネットで自分でもできますが、複雑で難しいため、司法書士に依頼するのがよいでしょう。

また、外国人が日本の不動産を購入した場合、財務大臣に報告することが義務付けられています。決済や登記が完了し、正式に不動産を取得した後20日以内に、日本銀行を経て財務省に事後報告しましょう。(※ただし、海外からの送金が1回あたり3,000万円を超える場合に必要な報告であること、親族居住用の場合は報告の必要がないなど、報告不要の条件もありますので、詳しくは、日本銀行のホームページを参照してください)

不動産購入の注意点

海外に住んでいる外国人が投資目的に日本の不動産を購入する場合、海外から様々な手続きをしなければなりません。不動産購入後に発生する以下の点に特に注意をしましょう。

・売買代金の支払い方法

海外在住者が売買代金を支払う場合、「海外送金」「住宅ローン」等の方法があります。順に説明していきます。

まず「海外送金」についてですが、海外在住者が日本に口座を持っていない場合には、海外から送金する必要があります。その場合の送金先は、不動産会社の口座に海外送金することが多いようです(事前に仲介業者などの預かり金口座へ売買代金を送金しておき、決済日にはその口座から売主の口座へ売買代金を送金してもらう方法など)。

いくら支払い、それがきちんと着金したか根拠を示すため、海外送金前には不動産業者から送金依頼明細書、送金後は送金先の銀行から外国為替計算書を、受け取るようにしましょう。(※不動産業者が書類を用意できない場合もありますので、事前に不動産業者へご確認ください)

また、海外の銀行によっては、他の銀行を経由してから日本の銀行に送金されるため、日数がかかることがあります。決済までに余裕を持って、1週間から2週間前までに送金手続きを済ませましょう。

なお、「住宅ローン」を利用したい場合は、前述のとおりですのでここでの説明は割愛します。

・登記識別情報の扱い
不動産が決済され、登記手続きが完了すると、法務局から「登記識別情報通知」が発行されます。これにはアルファベットや数字を組み合わせた12桁の暗号が記されており、所有した不動産を手放す際など、登記手続きを行うときに必要となる大事なものです。居住国に郵送してもらうか、管理会社に管理してもらうかを事前に決めておきましょう。

・納税管理人制度
不動産を取得すると、不動産取得税や固定資産税を納付しなければなりません。また、投資目的で不動産を購入した場合の家賃収入や、売却した際の譲渡所得を確定申告する必要もあります。これらの手続きを代わりに行ってくれる納税管理人を設定しなければなりません。日本在住の友人がいれば、お願いしてみるとよいでしょう。もし見つからなかった場合は不動産会社に相談してみましょう。

・確定申告
先ほども触れましたが、不動産の家賃収入や譲渡所得を確定申告しなければなりません。納税管理人に代行をお願いするか、税理士に依頼することもできるので、不動産会社に税理士を紹介してもらいましょう。

売却はどうする?

取得した日本の不動産を売却することも、もちろん自由にできます。以下の書類を準備し、不動産会社に相談しましょう。

・登記識別情報通知書
・委任状(司法書士が作成するもの)
・固定資産税評価証明書
・住民票(またはそれの代わりとなる書類)
・印鑑証明書(またはそれの代わりとなる書類)

これらは、外国籍でなくても必ず必要となる書類です。ただし、外国人の場合は書類の準備に数ヶ月かかることもあるため、売却を考え始めたら、早めに準備に取り掛かりましょう。

まとめ

外国人が日本の住宅を購入するのも、売却するのも自由にできますが、トラブル回避のためにも事前にしっかり準備しておくことが大切です。特に、申請から取得まで日数のかかる書類の手配は、早め早めに取り掛かるのが肝心。どのタイミングで、何が必要かをしっかりチェックして準備を進めましょう。

●外国人が日本で住宅購入するには?
【前編】外国人が日本で家を買うための物件の探し方
【後編】海外在住者の注意点と売却時のポイント

(最終更新日:2019.10.05)
※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合がありますので、それぞれのホームページなどで最新情報の確認をお願いします。
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