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住宅ローンは必ず自宅の土地と建物を担保にするのが当たり前!と思っている方も多いと思います。しかし、借入額や返済期間などによって、実は“無担保”で住宅ローンを借りることも可能です。「有担保住宅ローン」と「無担保住宅ローン」の違いをしっかりと押さえて、無担保住宅ローンを利用するメリットとデメリットを知り、具体的な事例で利用のポイントを考えてみましょう。

有担保住宅ローンと無担保住宅ローンの違い

有担保住宅ローンは、金融機関に2,000万円、3,000万円という高額な融資をしてもらうのと引き換えに、自宅の「土地」と「建物」を担保として差し入れます。具体的には、金融機関または保証会社を第一順位とする抵当権を設定し、もし返済ができなくなった時は、お金に代わって自宅を売却した代金で優先的にローンを返済することになります。そのためローン審査では、ローン契約者の返済力だけでなく、物件の担保価値の審査も行います。

これに対し、無担保住宅ローンは自宅を担保とせず融資を受けられます。登記簿謄本にも抵当権設定の履歴が残りません。金融機関は、有担保住宅ローンのように優先的に自宅を売却して返済してもらう保証がありません。そのため金融機関側のリスクが高くなり、融資額の上限が1,000万円や1,500万円と少なく、融資期間も15年から20年と短くなるのが一般的で、金利も高めに設定されています。

無担保住宅ローンのメリットは?

では、無担保住宅ローンを借りる具体的なメリットは何でしょうか?

1. 自宅に抵当権の設定がされない。
2. 担保審査がないため、申し込みから融資実行までの手続きが簡単でスピード感がある。
3. 抵当権の設定がないため登録免許税や司法書士への報酬がなく、初期費用が軽減できる。
4. 融資額が少ないため新規借り入れより借り換えにむく。自宅の担保評価がローン残高を下回っていても、返済力によっては借り換えが可能。
5. リフォーム資金や空き家の解体費用などに利用できる金融機関もある。

有担保住宅ローンの場合、借入額にかかわらず「自宅の土地」と「建物全体」に、第一順位で金融機関または保証会社が抵当権を設定します。返済が滞れば自宅を売却してローンを返済することになります。これに対し無担保住宅ローンの場合、抵当権は設定されませんが、一般的に保証会社や金融機関の保証は必要です。延滞が続けば個人信用情報機関に履歴が登録され、最終的に自己破産などで自宅を差し押さえられる可能性はあります。

また、手続き上は自宅の担保価値の審査や抵当権設定の手間や費用が掛かりませんので、有担保に比べると提出する書類も少なく、審査の期間も短くなります。自宅の担保評価が低く借り換えができなかった人でも、自分自身の返済力(安定収入等)があれば、借り換えられるチャンスが出てきます。

無担保住宅ローンの資金の使い道としては、住宅ローンの借り換えに限定している金融機関もありますが、リフォーム資金を上乗せした借り換えに使える金融機関もあります。また、労働組合や生協の組合員等であると金利優遇がある全国の「ろうきん」の中には、新規の住宅購入や借り換えを伴わないリフォーム資金、空き家解体費用など広範囲に資金を使える場合もあります。自分が住んでいる地域の「ろうきん」のホームページで確認してみましょう。

(参考記事:“新規借り入れ”も“借り換え”もOK! 「ろうきん」の住宅ローンとは?

無担保住宅ローンのデメリットは?

まず、「有担保に比べて金利が高い」「借入期間が短い」「融資額の上限が少ない」ということです。

金利については有担保住宅ローンのような大幅な金利優遇はなく、2017年8月現在で2%台の金融機関が多くなっています。また、変動金利のみの取り扱いとなる金融機関もあるため、この場合は低金利を活かして固定金利で借り換えるということはできません。

しかし、金融機関によっては2017年8月時点で変動金利0.975%、固定金利も1%台など、有担保の住宅ローンと変わらない金利設定もあります。資金の使い道や期間、収入など自分の条件が当てはまれば積極的に活用したいところです。

借入期間は15年から20年が上限、借入限度額も1,000万円、1,500万円が上限といった金融機関が多く、新規の購入やローン借り入れ後間もない方の借り換えには向きません。しかし、全国の「ろうきん」の中には最大2,000万円、借入期間最長25年と大型の無担保住宅ローンもあります。「ろうきん」はお住まいの地域が限定されますので、地域の「ろうきん」のホームページなどで商品内容をご確認ください。

他にも繰り上げ返済の手続きがネットでできず窓口申込みとなり、5,400円程度の手数料がかかる場合があるなど、こまめな繰り上げ返済を考えている方は事前にしっかりと確認が必要です。資金の使い道も借り換えや、リフォーム資金を上乗せした借り換えに限定している金融機関も多いため、各金融機関ホームページで必ず確認してから申し込みましょう。

具体的な活用例は?

メリットもデメリットもそれぞれの無担保住宅ローンですが、具体的にどのような活用例があるか考えてみましょう。

【ケース1 金利差で借り換える】

<A銀行:無担保住宅ローンの条件>
有担保住宅ローンと同じ金利、融資額100万円以上1,000万円以下、返済期間1年以上15年以内、使い道は住宅ローンの借換資金・同時に申し込めるリフォーム資金、保証料不要・登記料不要・融資手数料5万4,000円

   現在借入中の住宅ローン  無担保住宅ローン
 ローンの条件等  残り10年  借入期間10年
 金利  3%(固定)  1.2%(当初10年固定)
 借入残高  800万円  800万円
 毎月返済額  7万7,249円  7万780円
 毎月返済額の差額  -  ▲6,469円
 10年間の返済額の差額  -  ▲77万6,280円

10年以上前の全期間固定金利は3%を超えていることがほとんどでした。低金利の今、借り換えしたいけれど手続きがめんどうだと思っていた方も、担保設定にかかわる審査がないため、スピーディーに手続きができます。

また、上記事例のシミュレーションでは、有担保住宅ローンと同じ金利で借りられる金融機関であるため、現在借入中の住宅ローンとの金利差が1.8%あり、800万円の借入額に対して10年間で約78万円の利息軽減効果があります。

【ケース2 リフォーム資金上乗せで借り換える】

<ケース1と同じA銀行の場合>

   現在借入中の住宅ローン  リフォーム資金上乗せ借り換え  現在借入中の住宅ローン+リフォームローン
ローンの条件等  残り10年  借入期間10年  借入期間10年
金利  3%(固定)  1.2%(当初10年固定)  3%(固定)+2.45%(固定)
借入残高  800万円  800万円  800万円
リフォーム資金  -  200万円  200万円
毎月返済額  7万7,249円  8万8,475円  9万6,057円(7万7,249円+1万8,808円)
毎月返済額の差額  -  1万1,226円  1万8,808円(有担保との差額)+ 7,582円(上乗せ借り換えとの差額)
総返済額の差額  -  134万7,120円  225万6,960円(有担保との差額)+ 90万9,840円(上乗せ借り換えとの差額)

現在のローン残高に200万円のリフォーム資金を上乗せし、1,000万円で借り換えをしたケースです。現在借入中のローンに別途リフォームローンを200万円借りた場合と比べると、無担保住宅ローンにリフォーム資金を上乗せして借り換えた場合のほうが、毎月の返済額は7,582円少なく、10年間の総返済額は約91万円軽減されます。

築20年、25年たって大規模なリフォームを行う時、現在借りている住宅ローンの残高や残年数によって、リフォーム資金の準備と住宅ローンの借り換えを無担保住宅ローン1本で行うことができます。

【ケース3 借入額の上限が大きく返済期間も長い「ろうきん」の無担保住宅ローン】

<「ろうきん」の一例>
融資金額:最高2,000万円、融資期間:最高20年
使い道:住宅・土地の新規購入、リフォーム全般・空き家解体費用・住宅ローンの借り換え

金利は変動で2%前後、固定で2%後半からと高めですが、無担保で2,000万円までの借り入れができ、返済期間も長く取れることが特徴です。2,000万円を20年返済、変動金利2.2%で借りた場合の当初の返済月額は10万3,082円となります。安定した年収が150万円以上あれば審査対象となり、資金の使い道が幅広くなっています。

以上、無担保住宅ローンのメリット、デメリットや活用例について考えてみました。“借入希望額が少ない住宅ローンの借り換え”や“リフォーム資金の準備”では活用の価値がありそうです。しかし、一般的には有担保ローンよりも金利が高いため、リフォームローンや有担保住宅ローンと比較検討したうえで申し込みを検討しましょう。

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この記事の筆者
有田美津子 ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー、相続診断士
銀行での住宅ローン相談、住宅販売、損保会社を経て独立。現在は人生と仕事の実務経験を活かし、子育て世代の住宅購入とシニア世代の住替え相談を行う。ライフプランに沿った資金計画から物件の引き渡しまで一貫したサポートが好評。共著・監修に「トクする住宅ローンはこう借りる」(自由国民社)。

50代からの住まい専門FP

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