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この記事は、金融機関で10年以上債権回収業務に携わっている担当者が、住宅ローンを組んだ後、返済できなくなってしまった方の経緯を紹介する全2回の連載コラムです。

金融機関の債権回収業務に10年以上従事する担当者に、住宅ローンの滞納にまつわるエピソードをお伺いするこの企画。前回は、離婚や税金の滞納を原因に家を手放してしまった方々のお話でした。今回は、様々な滞納者のお話とともに、滞納者とならないための心構えも教えていただきました。

(前編はこちら)住宅ローン滞納の転落人生・前編「金融機関担当者が目の当たりにしたエピソード集」

【ケース5】手紙と鍵を残して国外逃亡!?

外国人の方のエピソードですが、日本では考えられない対応をしてくるケースも。

神奈川県で住宅を購入して、3,500万円借り入れをした外国人の方ですが、借り入れから半年後、当社に手紙と自宅のカギが入った封筒が届きました。「住宅ローンの支払いができないので、国に帰る」という衝撃の内容。連絡が付かないため手続きが難航しましたが、最近になって物件が競売にかけられました。

アメリカでは、担保を返せば残債の支払を免れることのできるローンがあるそうですが、日本では通用しませんのでご注意ください。

【ケース6】連絡が付かない債務者から手紙が……。

住宅ローンの支払いを延滞している方とは、とかく連絡が途絶えがち。一方的に手紙が送られてくるケースもあります。

過去には、自宅が競売にかけられることが決まった債務者から「今まで支払いの約束を散々破った自分が悪いのは百も承知だが、こんな私にもう1度チャンスが欲しい」という手紙を受け取ったことも。延滞を重ねている方の場合、契約書で規定されている延滞月数を超えると、分割返済の権利を失い、残債を一括で返済する義務を負うことになります。この方の場合、こちらからの電話に出て、誠意を見せていただければ多少は猶予することができたかもしれませんが、競売が決まってからでは手遅れ。ご自宅は売却されてしまいました。

【ケース7】長期間延滞していているのに、悪びれもしない社長

最後は、延滞を続けているのになぜか余裕のある素振りを見せる債務者の話です。

大阪府の高層マンションにお住まいの自営業の社長ですが、3~4ヶ月ほど住宅ローンを滞納していました。何度も電話でやりとりしましたが更に滞納が進んだため、ご自宅まで伺うと在宅で、部屋まで通してもらって話を伺う機会がありました。いかにも高そうなマッサージチェアでくつろぎながら「このままローンを払わなかったら競売になるんやろうか?今日はこれから飲み会やから、今後の支払については後日連絡しますわ」と、何とも危機感に欠ける対応に唖然とするしかありませんでした。その後、連絡も返済も全く無し。もちろん、マンションは競売により処分されました。

自分が「滞納者」とならないためにすべきこと

――ここまで、様々な延滞者のお話を伺いました。マイホームが競売に掛けられるだけでも辛いのに、ほとんどの方がその後も残債を抱え、賃貸住宅の家賃を払いながらローンの支払いを続ける……恐ろしいですね。

住宅を処分した後の残債は、無担保の債務となります。知り合いのサービサー(債権回収会社)から聞いた話によりますと、年14%程度の遅延損害金が残金に付加されるため、今まで以上に支払いが厳しくなるケースが多いそうです。ただ、金融機関や、金融機関から依頼されたサービサーは「早期・極大回収」を望んでいますし、滞納者も、全部終わらせてすっきりとしたいところ。

そこで、現在の価値で引き直し計算をして、一括返済して支払いを終了できる額を提示するのだそうです。親族などからお金を借りて、対応される方が多いようですよ。

――利息14%で返済を続けるよりは完済した方が良いでしょうが、家族を巻き込むのも心が痛みます。こうした事態に陥らないために、住宅ローンを組むタイミングで気を付けるポイントはありますか?

事前に無理のない返済計画を立てることに尽きると思います。収入面等の条件を満たして審査が通れば住宅ローンを組むことは可能ですが、延滞者から話を聞くと、実は返済開始当初から余裕はなかったという事例も少なくなく、こうした場合、臨時の出費があるとローンを延滞してしまう危険性が発生します。

また、ローンを組んだ後に子どもが産まれれば支出は当然増えます。お子様の進学にともなう学費の工面を延滞理由として挙げる方も多いです。これらは将来起こりえることとして想定できるはずです。月々の返済金額は、無理のない範囲に設定しておくことをお薦めします。

――肝に銘じておきます(笑)。それでも万が一、返済を続けることが難しくなってしまったら……どのように対応したらいいのでしょうか?

延滞が続くお客様にはこちらから何度もご連絡をしますが、「電話に出ない」「書面が届いても、自宅を訪問しても無反応」の状態が続き、いざ競売が決まった時点で慌てて連絡を下さるケースも見受けられます。こちらからの連絡に応答し、事情を説明していただければ、多少の猶予をすることができる場合もあります。支払いができない状況で連絡をするのは勇気がいると思いますが、“音沙汰なし”は避けるべきですね。

(前編に戻る)住宅ローン延滞者の転落人生・前編「金融機関担当者が目の当たりにしたエピソード集」はこちら

<連載>幸せ家族が手に入れたマイホームからの“転落人生”
前編:金融機関担当者が目の当たりにした! 住宅ローン延滞者の転落人生1
後編:ずさんな返済計画と不誠実な対応が引き起こす! 住宅ローン延滞者の転落人生2

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この記事の筆者
斎藤若菜 住宅ライター

ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。ARUHIマガジンでは、「住宅購入者ストーリー」などを担当中。

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