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この記事は、金融機関で債務引受契約(夫婦間の債務者を変更する契約)の業務を行っている担当者に、住宅ローンを組んだ後に離婚をされた方の経緯を紹介する全2回の連載コラムです。

住宅ローンの借り入れをしている状況で離婚をすると、物理的に財産を二分できないため、様々な問題が生じます。残債を支払いながら、ご夫婦どちらかが購入した家に住み続けるケースの手続きや、収入合算やペアローンで契約をしている場合の処理は特に大変です。今回も引き続き、離婚を巡って起こる様々なトラブルの対応にあたっている金融機関の担当者にお話を伺います。

前編はこちら>>「離婚後の住宅ローントラブル【前編】金融機関担当者が教える体験談」

安易に連帯債務者を設定すると、後々で困ったことに!?

――最近は共働きの家庭が多いので、収入合算やペアローンを利用している方が多いですよね?

「住宅ローン控除をフルで受けたい」という想いから、軽い気持ちで収入合算やペアローンで借り入れをする方が多いのですが、よく考えて契約すべきです。【フラット35】で借り入れをする場合、連帯債務者を設定することができ、連帯債務者を増やせば借入金額を引き上げることができます。しかし、安易に設定してしまうと、抜けるのは大変です。購入時、名ばかりの連帯債務者になってしまったばかりに、「再婚して新居を購入したいのに連帯債務者になれない」とお困りの方も少なからずいらっしゃいます。

――他にも、離婚が原因で住宅ローン手続きに苦労してしまうケースはありますか?

連帯債務の収入合算で住宅を購入すると、債務引受契約をするにしても、売却して清算するにしても、関係者全員の合意がなければ手続きが進みません。契約者がどこにいるか分からず連絡が付かないケースですと、身動きが取れなくなってしまいます。また、DVを理由に離婚した場合は、引っ越し先の住所を知られたくないという方が多いです。書類は相手側が記入した後で書いて手続きするなど、相手方には控えを受け取る権利があります。不動産謄本を見られてしまう可能性もあり、手続きを進められないケースもありますね。

手続きが進まない間に、夫婦関係が修復!?

――早く再スタートを切りたいでしょうに、歯がゆいですね。

再スタートが切れないケースとしては、マイホームを購入後、1年も経たずに離婚してしまったケースも挙げられます。住宅ローンの支払い実績が1年以上ないと、変更の手続きができないからです。また、離婚のタイミングで転職をする方が多いのですが、原則同じ会社での勤務実績が1年以上必要なため、潤沢な収入があっても手続きができません。そうした場合は、時が経つまで従来通りの返済を続けるしかありません。もっとも、その間に復縁する方もけっこういらっしゃるのですが(笑)。

――それは、ある意味ハッピーエンドですね(笑)。具体的な離婚トラブルで、記憶に残っている事例はありますか?

例えば、50歳くらいで結婚し、連帯債務の収入合算で住宅を購入した老夫婦。現在はリタイアして、年金の一部を住宅ローンの返済に充てています。よくケンカをするご夫婦で、その都度離婚の話が出て、相談の電話がかかってくるんです(苦笑)。離婚を考えては仲直りをする繰り返しでしたが、最近になって離婚の意志を固めた様子。繰り上げ返済で月々の返済額を減らした後、単独債務に変更。今後は奥様の連帯債務を外し、ご主人が一人で居住・返済も続けるようです。

所有権を移転しても、連帯債務の責任は消えない

――繰上返済をできる余力があれば、道が開けてくるということですね。他の事例も教えてください。

ご夫婦で中古住宅を収入合算で購入後、離婚。離婚調停の結果、住宅ローンの残債はご主人が支払うことになったそうです。その頃から住宅ローンの延滞が続いていたため、奥様にご連絡しました。奥様曰く、既に所有権をご主人に移転していて、家も出ているとのこと。そのため「支払い義務はない」という認識でしたが、連帯債務の責任は消えていません。今後は売却するようですが、残債次第では破産も視野に入っているようです。

他にも「家庭裁判所の調停調書があり、残債は夫が全て支払うことになっている」「公正証書を作成し、家は自分が所有することになっている」といったご連絡をいただくことがあるのですが、住宅ローンの債務関係について、金融機関がご夫婦の取り決めに拘束されることはありません。証書の内容は当事者間の主張でしかないことを、知っていただきたいですね。

住宅購入前に、あらゆるシチュエーションに応じた資金計画を立てよう

――今回は、住宅購入以前に結婚に尻込みしてしまいそうなお話もありましたが(苦笑)、これから結婚、マイホーム購入を控えている方が注意すべきポイントはありますか?

住宅ローン契約を結ぶ際は、事前に資金計画を立てて、余裕を持った返済計画を立てて下さい。離婚を想定して家を買う方はいらっしゃらないと思いますが、ご夫婦それぞれの収入をアテにしていると、出産や育児で休職した際にも行き詰まりがちです。どちらかお一人で返済できる程度の返済額に抑えておけば、いざという時にも安心でしょう。収入合算やペアローンで購入したマイホームは、「ご夫婦の収入があったからこそ手に入った」ということを、くれぐれも忘れないでくださいね。

<連載>永遠の愛を誓った夫婦が手に入れたマイホームからの“泥沼人生”
前編:マイホームに住み続けるために必要な手続きとは? 離婚後の住宅ローントラブル・前編
後編:あなたは、連帯債務者になっても大丈夫? 離婚後の住宅ローントラブル・後編

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この記事の筆者
斎藤若菜 住宅ライター

ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。ARUHIマガジンでは、「住宅購入者ストーリー」などを担当中。

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