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将来、マイホームを取得しようとしている人は、生命保険に加入する時には注意をしたほうがいいかもしれません。解約返戻金が受け取れる「終身保険」や、老後の資金準備のために「個人年金保険」などに加入すると、毎月払う保険料で家計が圧迫され、住宅ローンの返済との両立が困難になる場合があります。

要注意の生命保険は、終身保険、養老保険、個人年金保険、学資保険!

独身時代や、結婚しても共働きのときは、家計にゆとりがあるため、毎月積み立てながら貯蓄をしている方が多いのではないでしょうか。特に若い方は将来にさまざまなライフイベントが控えています。そしてどのライフイベントも実現するにはお金が必要です。家計にゆとりのある若いうちから将来に向けてしっかりと積み立てをして資金準備をすることは、豊かな生活を送る上でとても大切です。

資金準備の方法には「預金」や「投資」、「生命保険」などがありますが、長く続く超低金利のために預金でお金を増やすことはほとんど期待できません。かといって、値動きのある「株」や「債券」、「投資信託」などによる投資は、高い収益を期待できても元本保証ではないため、投資経験のない方は恐怖が先に立ってなかなか手を出しづらいでしょう。

一方、「生命保険」は元本が確保されており値動きもありません。そのうえ一般的には預金よりも高い利率で、万一の時には保障もついているため、魅力的に映ります。なお、ここでいう生命保険は、定期保険や一般的な医療保険、がん保険のような掛け捨て型の保険ではありません。終身保険養老保険個人年金保険学資保険などの貯蓄型の生命保険です。

将来マイホームを購入する予定のある方に注意してほしいのは、この魅力的に映る貯蓄型の生命保険です。

【主な貯蓄型の生命保険】

 生命保険の種類  概要
 終身保険 保険期間が一生涯の死亡保険。死亡・高度障害で保険金が受け取れる。一般的に保険料払込満了後に解約すると、払込保険料総額以上の解約返戻金が受け取れることから貯蓄の代用が可能。
 養老保険 保険期間が限定的な生命保険だが、保険期間中の死亡・高度障害で保険金が受け取れる。死亡・高度障害がなく満期を迎えると、払込保険料総額以上の満期保険金が受け取れることから貯蓄の代用が可能。
 個人年金保険 老後の資金準備のための保険。設定した年齢になると払込保険料総額以上を年金で受け取れることから貯蓄の代用が可能。年金受取開始前に死亡した場合は、それまでの払込保険料相当額を受け取れる。
 学資保険 子どもの教育資金準備のための保険。設定した時期になると払込保険料総額以上の学資金を受け取れることから貯蓄の代用が可能。契約者が途中で死亡した場合は、以後の保険料の払い込みが免除となる。

 

貯蓄型生命保険は、中途解約すると元本割れになる!

貯蓄型の生命保険は、掛け捨て型の生命保険と比較すると、毎月支払う保険料が割高です。なぜなら、下の例でいうと、掛け捨て型の定期保険は保険期間30年の間に死亡・高度障害がなければ、保険金の支払いはありませんが、貯蓄型の終身保険は、保険期間が終身のため必ず保険金の支払いがあるからです。下の例は、死亡保険金は同じ1,000万円でも、終身保険の月払保険料は2万1,740円、定期保険は2,203円と、実に約10倍の差があります。

【保険料比較】※条件:30歳男性、死亡保険金:1,000万円

 保険種類   保険期間  保険料払込期間  月払保険料
 貯蓄型  終身保険  終身  30年(60歳まで)  2万1,740円
 掛け捨て型  定期保険  30年  30年(60歳まで)  2,203円

しかし、家計にゆとりがあるうちは、月2万円の保険料の支払いもさほど大きな負担にはならないでしょう。現役時代に万が一死亡したときには1,000万円の保険金を遺族が受け取れます。60歳のリタイア後に死亡保障が不要だと判断して解約すれば、それまで払った保険料の総額を超える解約返戻金が受け取れ、老後資金として使えます。

しかし、これら貯蓄型生命保険は、保険料払込期間の終了前に中途解約すると元本割れをしてしまいます。つまり、それまで払った保険料総額よりも低い解約返戻金しか受け取れず、貯蓄の代わりにはならないのです。

困るのは、貯蓄型生命保険に加入したあとに、別の目的の貯蓄が必要になったり、家計の負担が増えて節約をしたりしなければならないときです。

たとえば、リタイア後に備えて個人年金保険に加入したあと、住宅購入に向けて頭金を蓄えようとした時、解約による元本割れを避けて個人年金保険を優先すると、頭金が貯まるスピードが遅くなり、それだけ住宅購入時期が遅れないとも限りません。

あるいは、住宅を購入して住宅ローン返済の負担が増え、加入している貯蓄型保険の保険料負担との両立が難しくなって、保険を解約すると元本割れになってしまいます。

他にも、子どもが成長して生活費や教育費が増えたとき、病気やけがなど突発的なできごとが起こって急にまとまった支出が必要になったとき、親の介護で経済的支援が必要になったときなど、貯蓄型生命保険より優先すべきことが起こった場合には、解約せざるを得なくなり、当初の貯蓄という目的を果たせなくなり、損をすることにもなります。

貯蓄型生命保険に加入するときの注意点

終身保険、養老保険、個人年金保険、学資保険などの貯蓄型生命保険は、多額の保険金額に設定せず、中途解約をしなくてもすむ程度の月払保険料にとどめ、長期的に家計の負担にならない加入の仕方をするのがポイントです。たとえば、終身保険であれば、保険金額を葬儀代程度の200~300万円、学資保険も大学入学時の必要資金200万円程度の保険金額が妥当でしょう。

現在は、市場金利の超低金利を受けて保険の利率も低くなっているため、生命保険に貯蓄の機能を期待するのも難しくなっています。そのため、貯蓄型生命保険には加入しなくてもいいかもしれません。生命保険の活用では本来の「保障機能」に特化させ、掛け捨て型の保険だけに加入して、安い保険料で大きな保障を確保するだけでもよいでしょう。

貯蓄は、元本割れがなくいつでも何の目的にも使える「預金」を中心に据えたほうがいいでしょう。そうすれば、貯まったお金はいつでも住宅の頭金や教育費、突発的な支出などに使え、必要に応じて積立額を減額して他の用途に振り向けることも簡単です。

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この記事の筆者
中村宏 ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、住宅ローンアドバイザー

個人相談、セミナー講師、新聞や雑誌・Webの記事執筆や取材協力が主な業務。
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FPオフィス ワーク・ワークス代表

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