この記事は、約5分で読めます

将来の金利がどう動くのかわからないのに、固定金利を選ぶか、変動金利がよいのか、住宅ローンの金利タイプの選択には迷いますよね。固定金利か変動金利か、どちらを利用するのがよいのか、向いているのはどんな人か、について考えてみましょう。

金利選択の「正解」がわかるのは、返済終了後

住宅ローンを選ぶとき、まず迷うのが“金利のタイプ”ではないでしょうか。「変動金利だと将来金利が上がったら返済額が増えるのよね」「でも、金利が上がらなかったら、金利負担は低いままだからお得」「でも、やっぱり金利は上がるかもしれないし」・・・考えるほど、迷いが深まります。

しかし、住宅ローンの返済が終わる数十年後までの間の金利が実際にどうなるかは、だれにも分かりません。「低金利が続いたから変動金利を選んでよかった!」となるのか、「金利がどんどん上がっていったから、固定金利を選んでよかった」となるのか。金利タイプ選択の「正解」は、ローン返済が終わるまで分からないのです。

ですから、金利タイプの選択は、「正解」をみつけるのではなく、期待したとおりに金利が動かなくても、無理なくストレスなく返済が続けられるプランを見出す作業になります。ライフプランや今と将来の家計、ご自身の性格や考え方も合わせて、検討してみましょう。

借入時の金利が低い「変動金利型」

住宅メーカーや不動産業者の方が試算してくれるのは、大抵の場合、「変動金利型」の住宅ローンです。なぜ変動金利型で試算するかといえば、「固定金利型」よりも金利が低いからです(※表1を参照)。

返済プランを試算して、「今の家賃並の負担でマイホームが手に入りますよ」と住宅購入を進めるなら、より低い金利で試算したほうが、有効ですよね(※表2を参照)。

<表1:2017年7月の住宅ローン金利の例>

   金利タイプ  金利
 A銀行 変動金利
(金利優遇適用後の金利)
 0.497%
 B銀行  0.525%
 C銀行  0.625%
 【フラット35】
(返済期間21年~35年、融資率9割以下)
 全期間固定  1.090%~1.640%
※最も多い金利:1.090%

<表2:金利の違いによる返済額の違い>
・借入金額3,000万円、元利均等返済、毎月返済のみ、35年返済の場合

 金利  毎月返済額  総返済額
 0.5%  7.8万円  3,271万円
 1.0%  8.5万円  3,557万円
 1.5%  9.2万円  3,858万円

※住宅金融支援機構【フラット35】ホームページより筆者試算

家計とライフプランから考える、変動金利型を選んでもいい人

しかし、変動金利型の場合は半年ごとに金利は見直される(※表3を参照)ので、試算どおりの「総返済額」には収まらない可能性も高いため、金利が上昇した場合に対応できるかも考えておくことが大切です。

表4は、金利1%の全期間固定金利型の毎月返済額や総返済額と、当初金利0.5%であった変動金利型が、金利上昇した2つの場合を比較したものです。

5年経過後、10年経過後に0.5%ずつ金利上昇した場合の総返済額は、全期間固定金利型よりも変動金利型のほうが大きくなります(※表4 変動金利型【1】を参照)。5年経過後に1%、15年経過に0.5%上昇した場合には、総返済額は約250万円も全期間固定型よりも多くなります(※表4 変動金利型【2】を参照)。

<表3:金利のタイプ>

 金利種類  特徴
 変動金利型 返済期間中に金利が変動するタイプ。金利の見直しは半年ごとに行われるが、金利を反映した返済額の変更は5年ごとであるタイプが一般的(金利見直しごとに返済額が変更されるタイプもある)。
 固定金利選択型 当初3年・5年・10年など一定期間の金利が固定されるタイプ。固定金利期間終了後は原則として変動金利(半年型)になるが、再び固定金利を選べる場合もある。固定金利期間終了後の毎月返済額は、固定金利期間終了時の金利で見直される。
 全期間固定金利型  返済期間中、金利が一定のタイプ。返済期間中、毎月返済額は変わらない。【フラット35】が代表的。

<表4 全期間固定金利型と変動金利型の返済額 金利が上昇した場合>
借入額3,000万円、元利均等返済、毎月返済のみ、返済期間35年

 金利タイプ  金利  毎月返済額  総返済額
 全期間固定  1.0%  8.5 万円  3,557 万円
 変動金利【1】
(a)当初5年間
(b)b.6〜10年目
(C)11〜35年目
 
(a)0.5%
(b)1%(+0.5%)
(C)1.5%(+0.5%)
 
(a)7.8 万円
(b)8.4 万円
(C)8.9 万円
 3,635 万円
 変動金利【2】
(a)当初5年間
(b)6〜15年目
(C)16〜35年目
 
(a)0.5%
(b)1.5%(+1%)
(C)2%(+0.5%)
 
(a)7.8 万円
(b)9 万円
(C)9.5 万円
 3,806 万円

※住宅金融支援機構【フラット35】ホームページより筆者試算

つまり、変動金利型を利用してもよいのは、「金利上昇による返済額増に耐えられる人」ということになります。あるいは、借入額が少なくて返済期間が短く、金利上昇する前にローン残高を大きく減らしたり返済を終わらせたりして、「金利上昇の影響を受けにくい人」でしょうか。

住宅ローンの返済期間中に金利が上昇した場合でも、返済が続けられるかどうか、住宅購入後のライフプランを考えてみましょう。お子様の進学や親の介護などによって支出が増える時期、勤務状況の変化で収入が減少する時期などが想定されれば、そのときの家計状況でも無理なく返済できる毎月返済額がいくらなのかを考えてみてください。

また、変動金利型を選ぶなら、金利動向にも敏感でなければなりません。「金利が上昇しはじめたら、固定金利型に変更する」という方も多いのですが、そもそも「金利が上昇し始めた」ことに気づかなければ、金利タイプの変更もできません。なお、金利が上昇し始めたときには、一般に、変動金利型だけでなく固定金利型の金利も上昇しています。借入時に固定金利型を選んだ場合よりも、高い金利が適用される可能性が高いでしょう。

さらに、変動金利型は、心配性の方には向きません。「金利が上がったらどうしよう」と長い返済期間中、心配して過ごすのはつらいですよね。

安心重視なら、全期間固定金利型

一方、全期間固定金利型の場合は、金利上昇の心配をする必要はなく、返済期間中の毎月返済額は変わりません。住宅購入後のライフプランを考えて、その毎月返済額が将来に渡って無理なく家計から捻出できる金額であるかが確かめられていれば、安心して返済を続けられるでしょう。もしも金利下落が続き、借入中のローン金利が割高に感じられてきたら、借り換えを検討することはあるかもしれません。

あとは、金利上昇しなかった場合に「ずっと低金利だったのだから、変動金利を選べばよかった」と後悔しないかどうか、という心理面がポイントです。「多少は金利負担が重くても、金利上昇の心配なく、安心して返済が続けられてよかった」と思えそうなら、全期間固定金利型の選択が向いているといえるでしょう。

金利上昇時まで見越して「変動金利型」か、金利上昇を気にせずに返済できる「固定金利型」か。今と将来のあなたにとって、家計に無理なく、ストレスなく返済を続けられるのはどちらか、検討してみてください。

関連記事

住宅ローン情報

住宅ローンをご検討中の方

この記事の筆者
大林香世 ファイナンシャル・プランナー

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP(R)認定者

ライフプランから見て無理のない住宅購入計画やローンプラン、保険や相続、資産運用などの相談支援業務を行っている。各種セミナー講師、新聞・Webサイト等へのコラム執筆でも活動中。

おすすめ記事
"