住宅ローンの一括審査はおすすめできる? メリット・デメリットは?

住宅ローンの融資を受けるには、審査を受ける必要があります。複数の金融機関で住宅ローン審査を受けたいと考えても、書類の準備や申し込みの手続きには手間も時間もかかります。そんな時に便利なのが住宅ローンの一括審査です。このサービスを利用すれば複数の金融機関の審査を一度に受けることができます。ここでは、この一括審査サービスの内容とメリット・デメリットについて見ていきましょう。

住宅ローンの一括審査とは?

住宅ローンの融資を受けるには、金融機関の審査を受けなければなりません。住宅ローンの利用を考えている人のなかには、何社かの住宅ローンの審査を受けたいという人もいらっしゃるでしょう。

住宅ローンの審査には、仮審査本審査がありますが、近年、住宅ローンの仮審査はインターネットからできるようになり、利便性が向上しました。とはいえ、審査を受けるために入力しなければいけない項目は多く、それなりの手間も時間もかかります。そこで注目されているのが、住宅ローンの一括審査です。

(参考記事:住宅ローンの「事前審査」と「本審査」の違いは?

通常、住宅ローンの審査を受けるには、それぞれの金融機関に個別に申し込みをしなければなりません。ですが、一括審査は1回の申し込みで、複数の金融機関の仮審査を受けることができます。

基本的に手数料はかかりませんし、特別な手続きも必要ありません。各金融機関の仮審査申し込みと同じように、インターネット上で必要な情報を入力するだけで申し込むことができます。また、新規借入だけでなく、借り換えについても審査を受けることが可能です。

なお、先にお伝えしたように住宅ローンの審査には仮審査と本審査がありますが、仮審査は本審査に進む前の審査で、事前審査とも呼ばれます。お金を貸し出す金融機関が事前に審査をし、保証会社の本審査を通ってやっと住宅ローンが組めるというわけです。

一度に複数の審査を受けても問題ないの?

ところで、住宅ローンの審査では、複数の金融機関で審査を受けると不利になる、とも言われています。そのように言われる理由は「信用情報の閲覧履歴」にあります。

住宅ローンの審査では、申込者の信用情報を確認します。過去にクレジットカードの延滞がないかなどがチェックされます。その際、信用情報が閲覧されたという履歴も一定期間残るため、短期間に複数の審査を受けると、「この人は審査に続けて落ちているのでは?」という印象を与えてしまう可能性があるのです。

確かに、金融機関の心象が悪化してしまうかもしれないという懸念はありますが、返済能力や信用力に問題がなければ、イメージや印象がそこまで審査に影響するとは思えません。何よりも一括審査においては複数の審査を同時に受けることを前提としたシステムですので、その点は金融機関も承知しています。そのためあまり気にする必要はないでしょう。

(参考記事:住宅ローンの審査に通りやすい金融機関はある? 審査を通すためのポイントは?

住宅ローンの一括審査のメリットは?

一括審査では、1回の申し込みで複数の金融機関の審査を受けられるため、手間がかからないというのは大きなメリットです。ですが、一括審査には、それ以外にもメリットがあります。どのようなメリットがあるのか見てみましょう。

<一括審査のメリット>

(1)効率的に住宅ローンを選べる
借入金利はもちろん、事務手数料の金額や保証料、繰り上げ返済手数料の有無、団体信用生命保険(団信)の手厚さなどは、住宅ローンは商品によってさまざまです。自分の希望に合った住宅ローンを選んで申し込みをしても、もしも仮審査が通らなかった場合、再度、住宅ローン選びをしなければなりません。しかし、一括審査であれば、一度の申し込みで複数社の審査結果がわかります。そのため、審査に通った複数の住宅ローンを比較検討して、最も希望に合う商品を選ぶことができるのです。

(2)時間的なロスをなくせる
また、時間的なロスがないという点も大きなメリットと言えるでしょう。住宅ローンの金利は日々変動しています。たとえば、A銀行の審査に落ちたのでB銀行に審査を申し込んで通った、というケースを考えてみましょう。

住宅ローンの融資が実行されるまでには一定の時間がかかります。しかも、A銀行の審査結果が出て、改めてB銀行の審査を受けることで、時間的なロスが生じてしまいます。そのために、住宅ローンの融資実行が遅れてしまい、その間に住宅ローン金利が上昇していたらどうでしょうか。最初から一括審査を申し込んでいれば、金利が上昇する前に融資を受けることができたかもしれません。

もちろん、逆に金利が下がるケースもあるかもしれませんが、時間をかけることで金利変動リスクが大きくなることは事実です。

(3)付帯サービスが受けられる
住宅ローン一括審査のサイトでは、住宅ローンの申し込みのほかに、火災保険の無料見積りや保険の見直しなどができるものもあります。また、ファイナンシャル・プランナーによる無料相談を受けられるサービスもあります。保険や家計の見直しなど、住宅ローンを借りる上での不安を解消できるのは嬉しいですね。

ある一括審査サービスでは、借入希望金額や返済期間(返済年数)、物件が所在する都道府県などを入力して、変動金利や固定金利など金利タイプを選択すると、審査申し込みができる金融機関の金利や毎月支払い額、総支払額などのシミュレーションが一覧で表示されます。審査の申込みをする前に、こうした比較ができるのは安心につながるのではないでしょうか。

住宅ローンの一括審査にデメリットはある?

利便性が高く、メリットも多い一括審査ですが、デメリットもあります。 その一つが「取り扱い金融機関が限られる」という点です。一度の申し込みで、6社程度の審査が受けられますが、すべての金融機関が一括審査を受け付けているわけではありません。一括審査を受けられるのは、そのサービスに加入している金融機関だけで、たとえば住信SBIネット銀行、イオン銀行、ソニー銀行といったネット銀行が中心になっています。

「利便性の高いネット銀行がいい」「対面で相談したいので店舗があり、信用力もあるメガバンクがいい」「地域密着型の信用金庫や地銀がいい」など、申込者それぞれの希望によってベストな金融機関は変わってきます。

一括審査を受けられる金融機関の中に、自分の希望条件に合った金融機関あればいいですが、そうでない場合には、一括審査のメリットも帳消しになってしまいます。

また、人によっては個人情報の取り扱いが気になるところかもしれません。金融機関であれば、もともとお金の取引や預貯金を扱う会社ですから、個人情報に関する取り扱いについて厳しい規定が定められています。会社規模が大きいという信用もあることでしょう。 一括審査サービスを取り扱う会社が信用できないということではありませんが、比較的新しいサービスなので、情報流出などのリスクが心配だという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

申し込みの際は、個人情報の取り扱いについての規定をよく確認し、納得した上で申し込みましょう。

安易な利用は避けたい

一括審査サービスを利用する上で最悪なのは、申し込んだ結果、すべての金融機関の審査に落ちてしまうというケースです。先ほど、一括審査サービスはネット銀行が中心とお伝えしましたが、ネット銀行の審査は厳しいと言われています。そのためか、私の知っている範囲でも、軽い気持ちで審査を受けてみたという人の中には、実際に全滅してしまったというケースもあります。

住宅ローン審査に落ちてしまう理由としては、以下のようなものがあります。

・収入に対して借入額が大きい
・自動車ローンや家電ローンなど、借入中のローンがある
・共働きなのに、夫だけの収入で申し込んでしまった
・過去の延滞履歴があった

最後の「延滞履歴」だけは、信用情報上の履歴が消えるのを待つしかありませんが、それ以外については、希望の借入額を減らしたり、借入中のローンを返済したりといった対策を取ることができます。

仮に、一つの金融機関で申し込みを行ったのであれば、たとえ審査に落ちたとしても、対策を講じた上で、別の金融機関へ申し込むといったこともできます。ですが、一括審査で全滅してしまうと、次に申し込みができる金融機関の選択肢が大きく減ってしまいます。 審査を通る自信がなくて不安だという場合には、あえて一括審査を利用しないという選択も有効と言えるのではないでしょうか。

(参考記事:住宅ローンの審査に落ちた! その要因と解消する方法をFPが解説

内容を確認して上手に活用しよう

上でも触れましたが、一括審査サービスを利用するには、インターネット上の一括審査サイトで申し込むことができます。注意点としては、類似サービスとして、住宅ローンの借り換え代行サイトや、住宅ローン借り換え比較アプリなどもありますので、内容を確認してから利用しましょう。

住宅ローンの一括審査は、比較的新しいサービスです。そのため、「気にはなるけれど身近に利用者がいない」「本当にいいものかわからない」という声が多いようです。 一括審査サービスのメリット、デメリットをしっかり理解した上で、ご自身にとってメリットが大きいかどうかを考えながら、上手に活用したいところです。

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(最終更新日:2020.12.08)
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