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自己破産は、裁判所に「破産申立書」を提出し、免責許可をもらうことで、すべての借金の支払いを免除してもらう手続きです。もしも、自己破産してしまったら、返済中の住宅ローンとマイホームはどうなってしまうのでしょうか。また、同じく借金を減らす手続きである「個人再生」と「自己破産」はどう違うのでしょうか。住宅ローンで自己破産してしまう前に取り組んでおくべき対策についてもご説明します。

自己破産とは? 自己破産は住宅ローンが払えないときの最終手段

自己破産すれば借金がなくなるという話を聞いたことがあるのではないでしょうか。

自己破産は、債務整理(借金がかさんで返済できなくなった場合に合法的に借金を減らす手段のこと)の一つで、認められれば、住宅ローンだけでなく、すべての借金を帳消しにすることができます。まさに、住宅ローンが払えない場合の最終手段と言うべきものでしょう。

改めて説明すると、自己破産とは、裁判所に「破産申立書」を提出し、免責許可をもらうことで、借金を免除してもらう手続きです。ただ申し立てをすればいいのではなく、裁判所が申し立てをした人の負債額や収入、資産状況など見て、「支払い不能」であると判断した場合に、すべての借金の支払い義務がなくなるというものです。

自己破産しても借金がなくならない場合もある?

自己破産の手続きの流れは以下の通りです。

(1)自己破産の申し立てと書類の提出
手続きに必要な書類を用意して、管轄の地方裁判所に提出し、自己破産の申し立てを行います。

(2)破産の審尋
申し立ての後、裁判所で「審尋」が行なわれます。裁判所で裁判官と面接して、破産の申し立てをした理由などを質問されます。

(3)破産手続きの開始の決定
破産の審尋で特に問題がなければ、破産手続きが開始されます。申し立てをした人に大きな財産がなく、自己破産に至った理由にも特に問題がない場合には、破産手続き開始と同時に手続きは終了します(同時廃止といいます)。ちなみに、個人が自己破産する場合には、多くの場合、同時廃止となります。

(4)免責審尋
破産手続の後、約2カ月ほどで免責審尋が行われます。裁判所で裁判官と面接し、問題がなければ免責手続きが開始されます。この免責手続きが非常に重要で、裁判所で免責が認められないと、借金の返済義務はなくなりません。

(5)免責許可決定とその確定
免責審尋からだいたい1週間以内に裁判所から「免責許可決定」が出ます。これが出て初めて借金の返済義務が免除されることとなります。なお、このタイミングで氏名と住所が官報に掲載されます。免責許可決定から1〜2カ月すると、免責許可決定が確定し、手続きはすべて終了となります。

ここで見たように、借金の返済義務が免除となるためには、免責許可を受けなければなりません。単に破産手続きを行っただけではなく、あくまでも免責許可決定が出されることが必要です。

自己破産したら住宅ローンと家はどうなる?

自己破産を申し立てて免責が認められれば、すべての借金の返済義務が免除されるので、当然、住宅ローンも返済しなくていいことになります。ただし、自己破産して免責許可決定を受けても、借金自体がなくなるわけではないので、代わりに保証人が返済義務を負うことになります。

また、自己破産した場合、住宅ローンが残っているかどうかにかかわらず、家を残すことはできません。住宅ローンが残っている場合には、住宅ローン債務者(金融機関など)によって処分されることになりますし、住宅ローンを完済している場合でも、財産とみなされて処分されてしまいます(原則として20万円以上の財産は処分されてしまいます)。つまり、自己破産を選んだ時点で、家は手放すことになるのです。

その他、自己破産するとブラックリストに載ってしまうので、5~10年間は新たにローンを組むことも、クレジットカードを作ることもできません。また、前述した通り、氏名と住所が官報に掲載されてしまいます。

個人再生と自己破産は何が違うの?

上でもお伝えしたように、自己破産した場合、家を残すことはできません。家を残したいのであれば、自己破産ではなく個人再生の手続きを選択したほうがいいでしょう。個人再生とは、自己破産と同じく債務整理の一つで、裁判所に申し立てを行って、債務を減額してもらう手続きです。

住宅ローンを除いた債務の総額が5,000万円以下であること、将来にわたって継続的に収入を得られる見込みがあることなどの条件はありますが、認められれば債務の額を5分の1(下限は100万円)に減額することができます。

個人再生であれば、家を手放さずにすみますが、住宅ローンについては、その返済を続けていく必要があります。

個人再生の手続きを取っても住宅ローンの返済が困難な場合には、「住宅資金貸付債務に関する特則(住宅ローン特則)」を利用して、住宅ローンの返済が続けられるよう、返済スケジュールの組み直しなどが認められることがあります。これも自己破産にはない大きなメリットと言えるでしょう。

この住宅ローン特則の主な適用要件は次の通りです。

(住宅ローン特則の主な適用要件)
1.個人再生を申し立てた本人についての要件
 ・本人が居住用の住宅として所有していること
2.住宅についての要件
 ・床面積の2分の1以上が自己の居住用に利用されていること
 ・住宅ローン以外の債務で抵当権が設定されていないこと
3.住宅ローンについての要件
 ・住宅の新築、購入、リフォームに必要な資金のローンであること
4.その他の要件
 ・住宅ローンが保証会社によって代位弁済された場合には、そこから6ヶ月以上が経過していないこと

なお、個人再生した場合でも、自己破産した場合と同様に官報に住所と氏名が掲載されてしまいます。また、ブラックリストに掲載されて、やはり5~10年は新たな借り入れをすることができなくなります。

自己破産したら住宅ローンは組めなくなる?

自己破産した場合、前述の通り、5~10年間は住宅ローンを借りることはできなります。ですが、ブラックリストに掲載され、新規の借り入れなどが制限されるのは自己破産した本人だけです。ですから、家族や配偶者には影響がないので、家族や配偶者が住宅ローンを組むことは問題ありません。

ただし、これも前述した通り、自己破産しても債務が消えてしまうわけではありません。たとえば、家族や配偶者が住宅ローンの保証人になっていた場合には、保証人が返済義務を負うということは認識しておいていただきたいところです。

自己破産する前に取れる対策は?

住宅ローンと自己破産について見てきましたが、自己破産は債務を整理するための最終手段です。住宅ローンの返済ができないという理由だけで自己破産する必要はないと言えるでしょう。

自己破産してしまう前に、住宅ローンの支払いを続けることがむずかしくなった時点で、早急に融資を受けている金融機関に相談することが大切です。金融機関と話し合って、一時的な返済額の軽減や返済期間の延長を認めてもらえる場合もあります。

また、自宅を賃貸に出して、その賃料収入を住宅ローンの返済にあてるという方法もあります。民間金融機関の住宅ローンの場合、住宅ローンの残った自宅を賃貸に出すには、金融機関の承諾を得る必要があります。ですが、住宅金融支援機構の「家賃返済特約付き【フラット35】」を利用すれば、問題なく「移住・住みかえ支援機構(JTI)」の「再起支援借上げ制度」を利用して自宅を賃貸に出すことができます。

(参考記事:将来の返済困難時に備える!家賃返済特約付き【フラット35】の活用法

その他、自己破産という手段を選ばなくとも、上でご説明した個人再生の手続きや、任意売却といった手続きを取ることも可能です。 住宅ローンの返済が厳しくなったら、できるだけ早く、融資を受けている金融機関に相談して、家を失わずにすむよう、最善の策を検討されることをおすすめします。

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この記事の筆者
小島淳一 ファイナンシャル・プランナー

日本FP協会AFP(R)認定者、相続診断士
住宅相談全般(購入・リフォーム・ローン)の他、保険や相続、老後・教育資金形成、資産運用のコンサルティングを手掛ける。各種セミナー講師としても活躍中。

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