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住宅ローンの返済ができなくなって家計が破綻してしまう人がいます。金融機関の審査を受けているはずなのに、なぜ破綻してしまうのでしょうか。「住宅ローン以外に必要な住宅の維持費を考えていなかった」、「見栄を張って支出をしすぎてしまった」など、理由はさまざまですが、ここでは住宅ローンで破綻してしまう典型的なケースについて紹介するとともに、破綻を防ぐためのポイントについて解説します。

なぜ住宅ローン破綻してしまう人がいるのか?

毎月の住宅ローン返済ができなくなり、せっかく購入したマイホームを手放す人がいます。金融機関の審査を受けて、返済できると判断されたから住宅ローンを借りることができたはずなのですが、なぜ、そのようなことになってしまうのでしょうか。
住宅ローンの返済額は、毎月の家計支出のなかで大きなウエートを占めています。そのため、住宅ローンを組む前に、20年、30年余りにわたって、毎月の返済額を無理なく支払っていけるか、また生活をしていく上でも支障はないか、家計収支をシミュレーションした上で、借入額と返済計画について慎重に検討しなければなりません。
ですが、それを怠り、「金融機関の審査が通ったのだから何とかなるだろう」と安易な思いで住宅ローンを組んでしまうと、将来、住宅ローンで破綻することになりかねないのです。

住宅ローンで破綻してしまう典型的なケースとは?

そこで、住宅ローンを組んだために、家計が破綻してしまう典型的な3つのケースを見てみましょう。

<ケース1>返済できる裏付けのないままに住宅ローンを組んでしまう

サラリーマンであれば、人によって差はありますが、年を経るごとに給与は増えていくことが多いでしょう。そのため、住宅ローンを組んでも、問題なく返済していけるだろうと考える人がいます。
しかし、そうした人の多くは、大切なことを見落としています。それは、収入は増えても、家族の成長とともに支出も増えていくということです。
子どもが生まれれば、その成長とともに教育費の支出も増えていき、高校から大学に通う頃には家計の支出はピークになります。

また、夫婦共働きで返済する計画を立てても、妻が出産し、育児に専念する期間は、収入が減少することも考慮しておかなくてはいけません。
毎月かかる生活費の他、子どもの教育資金や老後の生活資金も含んだ、生涯の支出額をシミュレーションすることもなく、「なんとかなるだろう」と返済できる裏付けのないままに住宅ローンを組めば、家計破綻を招きかねないのは当然と言えば当然のことではないでしょうか。

【参考記事】:住宅ローンで生活が苦しい! そんな時どうすればいい?

<ケース2>おだてられて契約を決めてしまう

マンションのモデルルームや不動産会社に行くと、営業マンが簡単な住宅ローンのシミュレーションをしてくれます。そのシミュレーションを見ながら、「お勤め先や収入から見ても、住宅ローンは問題なく組めると思います」などと言われると、つい購入を決めたくなってしまうものです。

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大企業に勤めている人や公務員の人など、収入が高くても住宅ローンで破綻してしまう人がいるのですが、私の知る限りでは、「勤務先がしっかりしているから大丈夫」と言われて高額の住宅ローンを組んでしまうケースが少なからずあるようです。
実際、そのようにして購入を決めたものの、いざ契約日が迫ってくると、本当に住宅ローンを返していけるのか心配になり、私のところに相談にくる人もいます。
そこで、改めて家計収支をシミュレーションしてみると、もちろん、計画通りに退職前に住宅ローンを難なく完済できるだろうという人もいますが、いろいろと問題が見えてくる人も多くいるのです。
たとえば、毎月の返済額がギリギリで教育費の貯蓄をする余裕がないため、子どもの教育費が多くかかる時期には、教育費と住宅ローン返済のダブルパンチで家計が破綻することが目に見えているケースは多くあります。

また、完済予定の年齢が70歳を超えていて、年金生活に入っても現役中と同じ金額を返済していくような返済計画が書かれた住宅ローンの提案書を持ってきた人もいます。これでは、年金の一部を住宅ローン返済にあてがわなくてはならず、住宅ローンは完済できても、ご自身が75歳とか80歳といった年齢になったときに、それこそ老後破綻に陥ってしまうでしょう。

「借り入れができる金額」と「無理なく返済できる額」は違います。営業マンが口にする根拠のないおだてに乗ってしまうと、「借り入れができる額」を基準に住宅ローンを組んでしまうことになりかねません。そのような借り入れをしてしまえば、当然、住宅ローン破綻の可能性が一気に高まってしまいます。

<ケース3>見栄を張ってしまう

年収が600万円くらいの人と、1,000万円くらいの人を比べると、年収1,000万円の人はだいぶ生活に余裕があるように思えるかもしれません。ですが、収入が多い分、所得税などの負担も多くなるため、実は家計支出に回せるお金に大きな差はないと言われています。

しかし、年収1,000万円くらいの人の中には、家計支出が必要以上に増えてしまっている人もいらっしゃいます。高級住宅街や高級マンションにマイホームを購入し、子どもを小学校から私立に通わせたり、不必要な外車を購入したりすることで、支出が増えてしまうのです。

また、住宅を購入する際に、業者が勧めるままに数百万円とか数十万円もする高価な家具や家電品を購入する人もいます。
そういった消費行動をする人の話を聞くと、周囲の人たちと同等か、それ以上の生活レベルを維持したいという意識が働いている、つまり見栄を張って高額の消費を続けている印象を受けることが少なくありません。
もちろん、少々値段が高くとも気に入ったものを購入したいという気持ちはよくわかりますが、度を越した支出が続けば、当然、家計は破綻してしまいます。厳しい言い方になってしまいますが、見栄を張っても家計が傾くだけで何も残らないということです。

住宅ローン破綻を回避するためには?

では、住宅ローン破綻を回避するためにはどうしたらいいのでしょうか。住宅ローンで破綻しないためのポイントを以下にあげてみましょう。

(1)住宅ローン返済以外の住宅の維持費を考えておく
(2)共働きであれば、出産、育児などで収入が減る時期の備えをしておく
(3)住宅ローン返済中に他の融資を受けなくてもいいように貯蓄しておく

マイホームを購入すれば、固定資産税や修繕費など、住宅ローン以外にもいろいろな費用が発生します。マンションの場合、修繕積立金を支払いますが、これは共用部の修繕に使うお金です。専用部分であるご自身の部屋のリフォームや修繕には、別途、お金がかかります。
こうした住宅の維持費を確保するために、リフォームのタイミングや費用を把握しておき、必要な金額を貯蓄しておきましょう。

また、住宅費用以外にどのくらいのお金が必要か、生涯にわたる家計収支のシミュレーションをしておくことも大切です。
住宅ローンの返済を始めてから、出産を迎える家庭もあるでしょう。出産、育児休業後に職場復帰し、フルタイムで働くことを計画していても、何らかの事情で収入が減ってしまうことも考えられます。共働きの収入が続くことを前提にして、身の丈を超えた高額な物件を購入することは避けましょう。

また、転勤などでマイホームに住み続けられなくなるケースもあります。そうした場合に備えて、売却しやすいかどうか、賃貸に出しやすいかどうかという視点から、資産価値の高い物件を選ぶことも大切です。
マイホームは一生の買い物です。決して買い急ぐことなく、十分な時間をかけて慎重に購入を検討しましょう。そのことが、将来の住宅ローン破綻を防ぐことにもなるのです。

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この記事の筆者
牧野寿和 ファイナンシャル・プランナー

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP(R)認定者
「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務の他、不動産投資、賃貸経営のアドバイスも行っている。著書に「銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法」(河出書房新社)がある。

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