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「手元の資金を増やしたいけれども、預貯金ではなかなか増えない」そんな悩みを抱えている方が、多いのではないでしょうか。投資信託や株式投資など投資方法はさまざまですが、「レバレッジ」を利用することで少ない資金から大きな利益を得られる可能性を秘めているのが、FX投資です。

FX投資の基礎知識を学ぶとともに、FXが個人向けに解放された当初から取り引きを続けているFX投資家のMさんに、FX投資の極意を伺いました。

FX投資の基礎知識

まずは、「FX取引って何をするの?」という方のために、FXの基本的なルールと注意点をまとめました。

<FXとは?>
FXとは「Foreign Exchange」の略称で、正式名称は「外国為替証拠金取引」と言います。FX投資のルールはシンプルで、外国通貨の値動きを予測しながら売買を行い、為替レートの差額で利益を得ます。例えば、1アメリカドルが100円の時、手数料を加味しなければ1ドルを購入するのに100円必要です。これを1ドル90円の時に売れば10円損をしてしまいますし、110円の時に売れば10円得をします。安く買って高く売れば良い訳です。

「円高・円安」という言葉をよく耳にすると思いますが、100円が90円になった時のことを、円の価値が上がったことを示す「円高」、100円が110円になった時のことを「円安」と言います。

<まずは「通貨ペア」を決める>
米ドルと日本円など、2つの国の通貨を組み合わせることを「通貨ペア」と言い、ドルやユーロを始め、世界各国の通貨を選択することができます。通貨ペア選びも、FX投資を成功させるための重要なポイントです。例えば、馴染み深い米ドル/円は価格の変動幅(ボラティリティー)が小さく、ポンド/円は値動きが激しいことで知られています。

<少ない資金で大きな取り引きができる「レバレッジ」>
FXの大きな特徴として「レバレッジ」という仕組みが挙げられます。事前に「証拠金」として一定のお金を預けて担保とすることで、預けた額の最大25倍もの金額の取り引きを行うことができます。手持ちの資金が少なくても大きな取り引きができる訳です。

例えば、10万円の証拠金に10倍のレバレッジをかければ、100万円として取り引きができます。大きな利益を狙うことができますが、損失も大きくなります。

<レバレッジで大損しないための「ロスカット>
損益が一定レベルまで達した時、これ以上損失が拡大することを防ぐため、強制的に決済する制度を「ロスカット」と言います。あらかじめ設定されているロスカットレベル(必要証拠金維持率)はFX会社によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。

<スワップポイントでも利益や損失が出る> 
2つの国の通貨を取り引きするにあたり、それぞれの国によって金利が異なります。日本が低金利な時に、金利の高い通貨を購入すれば、保有している間は「スワップポイント(金利差調整分)」が毎日利益として受け取れます。ただし、金利が逆転すればスワップポイント分の支払いが生ずるケースもあります。

<FX会社に支払う手数料「スプレッド」>
 外国通貨を買う時の値段と売る時の値段の差額を「スプレッド」と言います。これは手数料とほぼ同義で、FX会社のホームページに「スプレッド0.3銭」と書いてあれば、1ドルあたり0.3銭の手数料を払っていることになります。スプレッドは通貨によって異なるため、自分が取り引きしたい通貨の手数料が安い(スプレッドが狭い)FX会社を探すことが大切です。尚、まれにスプレッドと別に、取引手数料がかかるFX会社もあるため注意しましょう。

ここからは、FXの個人取引が行えるようになった当初からFX取引を続け、安定した利益をあげているMさんにお話を伺いましょう。

為替ディーラーに憧れてFX投資を開始した、FX投資家Mさんインタビュー

――そもそも、なぜFX取引を始めようと思ったのですか?

Mさん:FX(外国為替証拠金取引)に興味を持ったのは、中学生の頃にテレビで「為替ディーラー」特集を観たことがきっかけでした。為替のチャートを見ながら売買するディーラーの姿を見て「こんな職業があるのか、かっこいい!」と思ったのです。その後、銀行に就職し営業職に就きましたが、為替ディーラーへの興味を失うことはありませんでした。

当時は個人で為替の取り引きをすることができませんでしたが、1998年4月に「改正外為法」が施行され、個人で取り引きが行えるようになったことを知り、FX投資をスタートさせました。

ポリシーのない取り引きを続けても上達しない

――FX投資を始めた当初は、どのようなスタンスで取り引きをしていましたか?

Mさん:はじめは、最小取引単位(ロット)の証拠金を入れてスタートしました。1万円程度です。暇つぶしで、何となく買って、何となく売ることを2~3年ほど続けていましたね。当時はスマートフォンが誕生する前の、いわゆる“ガラケー”時代。パソコンがなければFX取引ができなかったこともあり、取引状況をチェックしない日も多々ありました。「気づいたら負けていた」ということも多かったです。損失額が預けた証拠金の額を上回ると自動的に決済(ロスカット)されてしまうため、「もう1万円、証拠金を追加しよう」といった行為を繰り返し、トータルで20万円程度のマイナスを出してしまいました。

「まずはやってみることが勉強になる」と思っていましたが、今にして思えば見よう見真似で売買し、記録も取っていませんでしたので、あまり学んだことはありません。

心を入れ替え、分析ツールを活用して戦略的に取り引き

――そこでFX投資を止めず、再チャレンジしたのですね?

Mさん:ある日、「このまま取り引きを続けていても意味がない」と感じ、まずは記録を付けることにしました。試行錯誤で、何の記録を取ればいいのか分からない状況でしたが、どのタイミングで売買を行ったのか売買履歴を残し、自分自身に意識づけを行いました。売買履歴とチャートを照らし合わせると、自分がどこで失敗したかを客観的に見れるようになりました。ここがチャート分析への第一歩でした。

分析を行う際、相場を見る指標として、トレンドを示す「トレンド系指標」と、相場の過熱度合いを予測する「オシレーター系指標」に分けることができます。

代表的なトレンド系指標としては、一定期間の終値の平均値を線で結んだ「単純移動平均線(SMA)」や、移動平均線よりも間近の価格に比重を置いた「加重移動平均線(WMA)」などが挙げられます。

移動平均線で買いのサインと言われるのが「ゴールデンクロス」、売りのサインと言われるのが「デッドクロス」。

移動平均線は一般的に、短期線と長期線の2本、もしくは短期線と中期線、長期線の3本を組み合わせてトレンドを掴みます。中期線がなだらかに上がっていきそうなところに短期線が交わっているケースが「ゴールデンクロス」です。

オシレーター系指標の筆頭は、相場が上昇しているか、下降しているかをパーセンテージで示す「RSI(相対力指数)」や、間近な終値を重視する「RCI(順位相関指数)」でしょう。これらを合わせて考えることで、値動きを予測します。RSIが80%を超えると一般的に「買われ過ぎ」と認識されます。

こうしたことを念頭に、1年~1年半程度、試行錯誤の毎日が続きました。ちなみに私は、「トレンド系指標」は加重移動平均線と、移動平均線の上と下に線(バンド)を引いた「ボリンジャーバンド」、転換線・基準線・雲・遅行線を組み合わせた「一目均衡表」を使用しています。雲に入ると相場が荒れ、基準線を転換線が上回ると上昇トレンドの傾向にあり、遅行線が実線を下回ると売りのタイミング、といった具合にチェックします。

「オシレーター系指標」は前述のRSI(相対力指数)」と「RCI(順位相関指数)」を見ています。

大切なのは、マイルールを決めること

――分析ツールひとつで、たくさんのチェックポイントがあるのですね。

Mさん:分析ツールの何を見て、何を重視するかは人それぞれです。どういう分析方法が自分に合っているのか、見極める必要があります。私の場合は仕事中心の生活なので、行きと帰りの電車の中で分析ツールをチェックするのが日課になりました。

値動きをグラフ化したチャートは、時間足の設定も重要です。5分足、30分足、1時間足、日足、週足、月足と様々な時間足があり。足の時間が長いほどより大きな流れを確認できますが、振れ幅が大きいため、勝つ額も負ける額も大きくなります。私の場合は通勤時間を利用するので、日足を中心にチェック。一週間の日足の動きを予想しつつ、30分足、2時間足、6時間足、週足も見ています。

また、為替相場は、いろいろな人の群集心理により変動します。その要因となるニュースも頭に入れておく必要があります。

例えば、アメリカの金融政策を決定するFOMC(連邦公開市場委員会)絡みのトピックは要チェックです。ドルの金利が上がれば、みんなドルを買う方向に進みやすいなど、値動きを予測できるからです。(ただし、利上げは織り込み済みのため、利上げした瞬間にドルが売られることもあります。

「噂で買って事実で売る」パターンも多いので、そうした動向も含めて予想します)他にも、石油や国債の問題など、ブルームバーグのマーケットニュース(https://www.bloomberg.co.jp/news/markets)などのサイトで、日頃からチェックしています。

トレーダーのタイプとしては「分析を重視する人」「情報を重視する人」の大きく2つに分かれると思いますが、私の場合はどちらかに偏ることなく、両方を活用ようと思いました。その結果、「過去の分析結果」と「これから1週間のイベント情報」を元に、日曜日の段階である程度値動きのシナリオを作り、月曜日から金曜日の実際の値動きを見ながらシナリオを確認する今のやり方が定着しました。運用は順調で、毎年元本の3倍程度の利益を出しています。

FX投資に向いているのは、マイルールを守れる人

――Mさんのように、FX投資で安定した収益が出せるのはどんな方だと思いますか?

Mさん:FX投資に向いているのは、自分で決めたルールを守れる人です。どうなったらエントリーとエグジットを行うかをルール化するのですが、私の場合は、山形県酒田市の米商人、本間宗久が編み出した有名な投資手法、「酒田五法」を参考に、タイミングを決めています。 FX投資で失敗する人のほとんどが、ロスカットが出来ずに多額の損失を出しています。利益が出たときに確定するのは簡単ですが、損失を確定するには勇気がいります。また、小さい利益で確定してしまうのも、よくある失敗です。たとえ9勝1敗でも、少し利益が出ただけで確定していては、1敗大きく負けてしまっては、そこで生じたマイナスを回収できないこともあります。

これからFX投資を始める方は、自分に合うやり方を見つけるところから始めてほしいですね。

「見切り千両、損切万両」をモットーに、冷静なFX取引を!

Mさんは、「見切り千両、損切万両」という相場の名言を肝に銘じていると言います。これは「含み損を抱えた株式や為替があるならば、損失が少ないうちに見切りをつけることが大切」という意味です。

FX投資において、100発100中で利益を出すことは不可能に近い話です。Mさんのようなマイルールを見つけたら、あとは継続するのみ。その場の雰囲気に流されて思い付きで取り引きをするのは失敗の素です。ある程度の損が出ても焦らず、為替の値動きが好調でも期待しすぎず、フラットな気持ちでFX投資と向き合ってみてはいかがでしょうか?

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この記事の筆者
斎藤若菜 住宅ライター

ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。ARUHIマガジンでは、「住宅購入者ストーリー」などを担当中。

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