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住宅ローンの借り換えをしようと思うときにやはり気になることが「審査基準」ですよね。はたして新規での“借り入れ”と“借り換え”の場合に住宅ローンの審査基準は変わるのでしょうか? 今回は“借り換え”時の審査で気を付けたいポイントを見てみましょう。

“新規借り入れ”と同様に返済比率には要注意

まず、住宅ローン審査では「貸したお金を確実に返してくれるか?」という点が金融機関にとっての最重要事項です。したがって、借り換え時も新規借り入れ時と同様に、年齢、収入、勤続年数や勤務先、正社員か契約社員か自営業かなどの属性、他の借入状況、収入に対する返済額の割合(返済比率)などは審査で見られるポイントです。

ちなみに借り換えでは、過去の返済に延滞がないかも重視される(返済用口座の通帳の返済履歴のコピーなどで確認します)ので、過去に延滞記録があると借り換えは非常に難しいでしょう。

“返済比率”が審査基準でもっとも重要視される

審査基準の中でも重要視されるのが、収入に対する返済額の割合「返済比率」です。この返済比率は住宅ローンの返済分だけではなく、教育ローンや自動車ローンなどのその他のローンも含めた総返済比率で審査されます。具体例で見てみましょう。

【借り換え時】住宅ローン残高:2,700万円 残期間:25年間 
 借り換え先のローン条件  金利:当初10年固定金利型 0.7%《当初金利優遇型(審査金利3.5%)》
 借り換え時年齢  45歳 年収500万円
 その他の借入  自動車ローン月3.5万円(年間42万円)

【借換金額2,700万円 借入期間25年 元利均等返済 ボーナス返済なし】
 ●月返済額:3,634円×2,700万円÷100万円=9万8,118円

【A銀行の収入要件(総返済比率基準)】

 年収  250万円未満  250万円以上400万円未満  400万円以上500万円未満  500万円以上
 基準  25%以内  30%以内  35%以内  40%以内

※返済比率を計算する際の審査上の金利は3.5%とする。
※100万円借入金に対する月返済額
 審査金利3.5%、期間25年:5,006円
 適用金利0.7% 期間25年:3,634円
※諸費用や返金される保証料、借り換え時の未払い利息などは含めない。
ARUHI住宅ローンシミュレーション調べ

このケースでの総返済比率は、年間返済額204万2,016円(審査金利でのローン年間返済額162万2,016円+自動車ローン年間返済額42万0,000円)÷年収500万円×100=約40.8%となり、収入要件を満たさないので借り換えは難しいといえます。 では、仮に自動車ローンの返済がなければどうでしょうか?

返済比率は162万20,16円÷500万円×100=約32.4%となり、収入要件を満たすことができます。したがって、新規借り入れと同様に、その他の借入を整理しておくことも大切です。ちなみに、審査の際に利用する金利は適用金利ではなく、審査金利です。金融機関によっても異なりますし、民間ローンと【フラット35】でも変わります。近頃の低金利状況では、適用金利で計算してくれる【フラット35】の方が審査金利は低い傾向にあります。

また、案外ネックになるのがキャッシング機能が付いているクレジットカードの借入枠です。クレジットカードの融資枠の中でキャッシング枠は、使っていなくても融資されているとみなされ、融資可能額が減らされてしまうケースがあります。使っていないキャッシング機能付きクレジットカードは解約するなど、余計な融資枠は持たないようにしておくとよいかもしれません。

なお、転職直後の借り換えや会社の業績が悪いなどの理由で、借り入れ当初よりも年収が下がっている場合には借り換えができないこともあります。

また借り入れ当初は共働きで収入合算をしていたところ、途中で妻が会社を辞めて世帯収入が減っているケースです。夫の収入のみでは借り換え基準を満たさない可能性もあるので、借り換えを検討するのであれば、配偶者が会社を辞める前に検討しておくと良いですね。

借り換えでは担保評価も重要視される!

借り換えでは「物件の担保評価」と「借り換え希望額」とに大きな差がないかも重視されます。例えば、物件を購入してから時間が経過する中で、物件の評価額が大きく下落してしまい、オーバーローンになっている場合には審査を通るのは難しいでしょう。

※参考記事:住宅ローンの「オーバーローン」ってどんなもの?

借り換えでは「物件の担保評価」と「借り換え希望額」とに大きな差がないかも重視されます。例えば、物件を購入してから時間が経過する中で、物件の評価額が大きく下落してしまい、オーバーローンになっている場合には審査を通るのは難しいでしょう。

過去に、大規模なマンションの住宅ローンの借り換えで、その地域のマンションに売り物件が多く物件評価額がさらに下がる可能性があるとして借り換えを引き受けてくれない、ということもありました。

また、物件評価が大きく下落していなくても、新築物件購入当初、頭金を入れずにローンを組んでいるケースでは借り換え時にオーバーローンになりやすいので要注意ですね。

もちろん、その場合には現金を追加して借入額を下げることで借り換えができることもあります。金融機関に相談してみましょう。

なお、メガバンク、地方銀行、信用金庫やネット銀行など金融機関によっても審査の基準は変わりますし、【フラット35】など商品によっても異なります。

実は借り換え時の審査には、収入や担保評価など基本的な基準は満たしていることが前提ですが、その他、これといって明確な基準があるわけではありません。

一般的には、会社や収入状況など個別に判断される傾向があり、A銀行では通らなかったけれど、B銀行では通ったというケースも多々あります。

したがって、ひとつの金融機関の審査に落ちたからといってあきらめずに、複数の金融機関に申し込みをしてみましょう。必要書類を準備するなど手間はかかりますが、あらかじめ複数の金融機関に申し込みをしておくことをおすすめします。

ちなみに、一般的には金利やコスト面での条件が良いメガバンクや保証料をとらないネット中心の銀行はやや審査が厳しくなる傾向があるので、メガバンクなどで通らなかった場合には、地元の銀行や信用金庫に申し込みをして金利などは交渉してみるのも良いでしょう。

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この記事の筆者
金子千春 ファイナンシャル・プランナー

千春コンサルティング事務所 代表
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級ファイナンシャル技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー

新生銀行を経て2004年より独立。ライフプランや住宅ローンセミナー、個別相談、宅建講師、企業の従業員向け投資教育、小中学校や児童館での金銭教育など、「知らないで損をする」ことのないようにという観点から、講師や執筆を中心に活動中。

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