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この記事は、サラリーマン大家としてワンルーム経営を行っているYさんの“賃貸経営術”を紹介する、全7回の連載コラムです。第4回目の今回は、「不動産投資物件の具体的な購入基準を伝授編」をお届けいたします。

前回は、投資物件の立地についてお話を伺い、Yさんは「アクセスのよい街」「成熟した街」「再開発などでブランディングされた街」に着目していることが分かりました。今回は更に一歩踏み込んで、安定した収益を上げることができる物件の選び方をご紹介します。

街の動向を知るための情報収集

――前回は、どんな街に着目すべきかをお聞きしました。エリアの目星を付けたら、次にすべきことは何ですか?

Yさん:その街の動向を知ることですね。大手住宅情報サイトの投資家向けのページをチェックすれば、エリアごとの最多希望価格帯や求めている部屋の広さ、最寄り駅から徒歩何分以内までの物件にニーズがあるのかといった情報が分かり、投資判断に役立ちます。空室率も、犯罪の認知件数も明記されていますので、しっかりと読み込みましょう。

必読! 中古ワンルームマンションのチェックポイント

――その街で求められている物件のアベレージを知れば、お得な物件も見つけやすそうですね。Yさんは、どんな条件で投資物件を探しているのですか?

Yさん: マンションを選ぶ際に大切なのは、入居者のニーズを把握することです。私は中古のワンルームマンションを探す際、「最寄り駅から徒歩7分以内」「新耐震基準もしくは同等の耐力がある」「20平米以上40平米以下」「総戸数30戸以上120戸以下」といったスペックを目安にチェックしています。

――かなり具体的な条件ですね。それぞれの理由を教えて下さい。

Yさん: 不動産広告で表示されている「駅徒歩1分」は、女性がハイヒールで80メートル移動できる時間を基準にしています。駅から物件までの直線距離で計算するので、信号待ちや曲がった道の状況は考慮されていません。皆さんも、「実際に歩いてみたら記載されていた徒歩分数よりも時間が掛かった」なんて経験をしたことがあるのではないでしょうか? 徒歩10分以内を目安にする方が多いのですが、広告表示を見て探す際は「最寄り駅から徒歩7分以内」程度で探した方が無難です。

次に「新耐震基準」についてですが、1981年6月に施行された「新耐震基準」を満たすマンションであれば、震度7まで耐えられる躯体に設計されています。ある程度の安心材料になるでしょう。注意しなければならないのは、1981年以降に完成した建物の中には、法律が施行される前に許可されたマンションもあること。1983年までに建てられたマンションについては、新耐震基準であることを確認しましょう。

旧耐震基準のマンションが全てダメという訳ではなく、耐震診断をクリアしている、もしくは耐震改修を実施している物件であれば問題ありません。耐震改修工事には国から補助金が出るため、実は新耐震基準をクリアしている物件もたくさんあります。そうした物件が割安価格で売りに出ていれば「お宝物件」の可能性もありますよ。

投資物件として最適な平米数と総戸数は?

「20平米以上40平米以下」にこだわる理由は、専有面積が極端に小さいとリフォームの範囲が限定されてしまうからです。例えば、ユニットバスをバストイレ別にするには最低20平米程度の広さが必要です。入居者がある程度の広さを望んでいることを考えても、一定の広さがあった方が良いでしょう。40平米近くある物件なら、広々と使いたい単身者だけでなく、DINKSの利用も見込めます。

最後に「総戸数30戸以上120戸以下」という建物規模について。総戸数が多いほど修繕積立金の合計額が増えますので、充分な修繕計画を立てることができ、維持管理がしやすくなります。しかし、総戸数が多過ぎると、賃貸募集をする際に同じマンションで競合する住戸が出てきて、値下げ合戦になる可能性があります。立地が良ければ例外はありますが、基本的には大きすぎず、小さすぎないマンションを探してみて下さい。

敬遠されがちな物件、実はお得かも!?

――だんだん、購入条件が絞られてきましたね! ところで、通常のマンション購入でも賛否が分かれる1階の物件は、投資対象としていかがですか?

Yさん:防犯上やプライバシー面1階の物件を避ける投資家が多いのですが、立地さえ良ければ購入に値する物件はあります。実際、私が区分所有するマンションのうち3戸は1階の物件です。ただし、割安だからと飛びつくのではなく、「買い」であることを見極める必要があり、やや上級者向けです。

私が所有する物件を例とすれば、オーナーチェンジで購入した日本橋のワンルームマンションは、総戸数の約半数が法人利用。安定的な需要と入居者の質が、ほぼ担保されています。白金高輪の1DKマンションは広い庭に面し、樹木で覆われているのでプライバシーが保たれています。綱島の1DKマンションも、奥まった場所にあり鉄の扉に遮られているため、外からの視線が気になりません。3物件とも購入前にしっかりと現地調査をした上で、「1階でも買い」と判断しました。

――借地権の物件に関してはいかがでしょうか?

Yさん:借地権は「旧借地権」「普通借地権」「定期借地権」に分類されます。契約更新を続ければ半永久的に契約を継続できる「旧借地権」でしたら、投資物件として購入する選択もアリでしょう。地代は必要なものの、所有権とほぼ同様の権利を持つ「地上権」も問題ありません。

ただし、所有権のある物件と比べてローンの借り入れが難しいため、注意が必要です。また、売却時の手続きが煩雑なため、頻繁に売買をしたい方にも向きません。私のように「一度購入したらよほどのことがない限り売らない」という投資スタンスの方は、検討してみてはいかがでしょうか?

過去の取引事例を確認し、割安な物件を狙う

――これだけの購入条件を満たした物件なら、「買い」と考えても良さそうですね?

Yさん:最後に、物件価格が妥当かチェックして下さい。「家賃収入=インカムゲイン」を重視するとは言いましたが、相場よりも割安で購入できれば、年間収入を購入価格で割った「利回り」が高くなります。

割安かどうか調べる方法はいたって簡単。価格査定サイトにマンション名や階数、部屋の広さなど一定の条件を入力するだけで、賃貸価格や売却価格、表面利回りの相場を調べることができます。ほとんどのサイトで無料会員登録が必要ですが、過去の取引事例から相場を掴めば、投資判断の役に立ちますよ。

【続きはこちら】連載第5回目「物件購入前に、現地に足を運んで確認すべきポイント」

<連載>サラリーマン大家の“秘密のワンルーム・賃貸経営術”
第1回:首都圏の中古ワンルーム物件で安定して収益を出す賃貸経営術とは?
第2回:不動産投資は目的意識が大事! 「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」
第3回:不動産投資物件を買うなら立地に注目! 街の成熟度と成長度を見極める
第4回:駅近? 築浅? 広さは? 不動産投資物件の“具体的な購入基準”を伝授
第5回:マンションは“管理”を買うべし。購入前の現地調査で後悔のない買い物を
第6回:買付証明書を出して迅速に交渉。ローンの借り入れはレバレッジ効果を狙え!
第7回:正しい知識があれば怖くない! 不動産投資のあらゆるリスクに備えた賃貸経営を

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この記事の筆者
斎藤若菜 フリーライター

ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。ARUHIマガジンでは、「住宅購入者ストーリー」などを担当中。

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