この記事は、約4分で読めます

Q.新築タワーマンションの購入を考えています。引き渡しは2018年以降です。高層階は増税され、低層階は減税されると聞きましたが、購入するなら真ん中より下の階が狙い目なのでしょうか?(30代主婦)

固定資産税等にかかる改正の概要を知ろう

最初に、タワーマンションの固定資産税等にかかる改正の概要を見てみましょう。今年(2017年)4月1日から税制が改正され、高さ60mを超える居住用超高層建築物(いわゆるタワーマンション)の固定資産税及び不動産取得税の見直しが行われました。なお、固定資産税と同じ課税標準額を使用する都市計画税も見直しの対象となります。

内容としては、税額計算の根拠となる課税標準額(不動産評価額)の算出方法を変更したものです。マンション一棟の合計の課税標準額は変わりませんが、高層階と低層階の按分比率を分けることにより、高層階と低層階の実際の取引価格の傾向を踏まえて、課税標準額を補正する仕組みです。

その結果、簡単に言ってしまえば、高階層は課税額が大きくなり、低階層は課税額が小さくなります(1階に比べると30階は約7.4%、40階は約10%税額が高くなります)。この措置は不動産取得税についても同様です。

また、適用時期は、「2018年度から新たに課税されることとなるもの(2017年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものを除く。)」とされています。つまり、改正の対象となるのは、これから引き渡しとなる新築物件で、上記の要件を満たすものに限られます。

購入を検討しているマンションは新たな課税方法の対象になる?

まずは、購入を検討されているマンションが、この税制改正によって新たな課税方法の適用を受けるマンションかどうかを確認する必要があります。

ここで改めて、新課税方法の適用要件をまとめると、次の2つになります。

(1)高さ60mを超える居住用超高層建築物
(2)2018年度から新たに課税されることとなるもの(2017年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものを除く)

(1)については、高さ60mを超えるものとなっているので、おおむね20階建て以上であれば、要件を満たすと思われます。ただし、建物によっては階高の高いマンションもあり、20階建て以下でも該当することがあるので注意が必要です。

(2)については、「2018年度から新たに課税されることとなるもの」とありますので、一般的には、2018年1月1日現在で所有していることが条件となります。

ここでのポイントは、「2017年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものを除く」という部分です。つまり、引き渡しが2018年1月1日以降の物件であっても、2017年(今年)の4月1日より前に1件でも売買契約が締結されたマンションであれば、改正の適用外となるのです。

検討されている物件の引き渡しは2018年とありますが、その物件で2017年3月31日までに1件でも売買契約を締結していれば、ご自身の売買契約が今年4月1日以降であっても今回の改正の対象とはならないということになります。

完成が2018年以降のマンションでも、ある程度建築が進んでいる物件であれば、適用外になる可能性がありますので、販売担当の方にその物件の最初の売買契約がいつ行われたかを確認するといいでしょう。

長い目で見れば税金の支払額に100万円以上の差がでる可能性も!

次に、今回改正の適用条件に該当するマンションの場合を考えてみましょう。

たとえば、40階建てのマンションであれば、1階と最上階である40階との固定資産税等の差は約10%となります。補正率は1階から加算されていく方式なので、中心階である20階前後が改正前とほぼ同額になり、1階部分は改正前と比べて約5%減税、最上階は約5%増税となる計算です。

したがって、今回改正が適用となるタワーマンションを購入するなら、中心階よりも下の階であれば、減税となります。たとえば、改正前の固定資産税の計算で税額が30万円となるタワーマンションであれば、改正後の計算では1階は年額で約1万5,000円が減税となります。

固定資産税の評価額は3年毎に見直しとなり、実際には部屋ごとに面積が異なるため、どれだけ減税効果が得られるか一概には申し上げられませんが、不動産取得税や都市計画税も変わって来ますので、数十年という長い目で見れば、物件によっては税金の支払額に100万円以上の差が出てくるものもあるでしょう。

少しでも減税効果の恩恵を受けたい場合は、中心階より下の部屋がおすすめとなります。

最も大切なのは納得して購入すること

仮に、今回の税制改正が適用となるタワーマンションの高層階をご希望されているなら、希望する部屋を購入することの満足感と、増税額とを比較して検討してみてはいかがでしょうか。増税額を負担してでも、そこに住むことへの満足感が得られるなら、購入してもよいのではないでしょうか。

ご自宅は一生の買い物です。前述したように長い目で見れば、税金の支払額に差が出てきますが、最も大切なことはご自身が納得して購入することだと思います。是非、悔いのない選択をしていただきたいと思います。

関連記事

住宅ローンをご検討中の方

この記事の筆者
秋津智幸 ファイナンシャル・プランナー

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ファイナンシャル・プランニング技能士2級、公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士
住宅供給公社、不動産投資専門の仲介会社などを経て、不動産コンサルタントとして独立。不動産投資、住み替え、融資など多岐にわたる不動産に関する相談・コンサルティングを行なう。セミナー講師、書籍、コラム等の執筆にも取り組んでいる。主な著書に、「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)、「失敗ゼロにする不動産投資でお金を増やす!」「賃貸生活A to Z」(アスペクト)がある。

おすすめ記事
"