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民間の住宅ローンを借りるには、団体信用生命保険(団信)に加入しなければなりません。団信に加入していれば、契約者が亡くなった場合、住宅ローンの返済がなくなりますが、団信に加入するためには過去にかかった病気や健康状態を告知する必要があります。ガンなどの重い病気にかかったことのある人は団信に加入できず、住宅ローンを借りることができないのでしょうか?

住宅ローンを借りるには団体信用生命保険への加入が必要

ご存知の方も多いと思いますが、民間の住宅ローンを借りる場合には、必ず団体信用生命保険(団信)に加入しなくてはなりません。言い換えれば、団信に加入できないと住宅ローンを組むことはできません。

団信とは、住宅ローンの契約者(債務者)が、返済中に万一死亡した場合や高度障害になった場合、ローンの残債を保険金で完済してくれる生命保険です。

住宅ローンを申し込むと金融機関や保証会社が審査を行いますが、それとは別に、保険会社が団信の審査をします。金融機関や保証会社の審査はもちろん、この保険会社が行う団信の審査に通らないと住宅ローンを借りることはできないのです(ただし、後述するように【フラット35】では団信への加入義務はありません)。

ガンや重い病気にかかったことがあると団信に入れない?

生命保険に加入するには、健康状態や過去の病歴、体の障がいなどを保険会社に告知しなければなりません。これは団信も同じです。具体的には、「告知書」という健康状態を告知するための書類提出するのですが、告知の際には、事実を伝えないと告知事務違反となり、告知をした人=住宅ローンの契約者が亡くなった場合に、団信の保険金で残債を完済することができなくなります。

ですが、告知書で問われていないことまでをわざわざ告知することはありません。詳しくは後述しますが、告知しなければならないのは「過去3年以内」の病気についてです。

したがって、過去にガンや重い病気にかかったことがある人でも、その病気が完治した時期によっては団信に加入できる可能性があります。

また、団信に加入できない健康状況の人でも、すでに生命保険に加入していて、その保険金額が住宅ローンの借入額に見合う額であれば、この生命保険を担保に住宅ローンを組めないか金融機関に相談してみるのもいいでしょう。

たとえば、住宅ローンの融資希望額が2,500万円で返済期間が35年だった場合、生命保険の死亡保険金額が2,500万円以上あり、保険期間が35年を上回っていれば、条件的には団信と同様に万が一の場合、保険金でローンの残債を返済することができるので、金融機関としても検討してくれる可能性はあるでしょう。

もちろん、住宅ローンを返済しながら、その生命保険の保険料を滞りなく支払っていける家計状況が求められるのは言うまでもありません。

なお、糖尿病、高血圧症、肝機能障害など健康上の理由で、通常の団信の審査に通らない場合のために、加入条件が緩和されたワイド団信という商品もあります。しかし、この商品は保険料が高いので、私としては、おすすめは致しません。

告知しなければならない病歴や治療歴はどんなもの?

団信で告知しなければならない内容は、民間の保険会社の生命保険や医療保険の告知内容よりシンプルだと思われるかもしれません。保険会社ごとに告知する内容は若干異なりますが、おおむね次の3つになっています。

【1】最近3ヶ月以内に医師の治療(診察、検査、指示、指導を含む)投薬を受けたことがありますか
【2】過去3年以内に下記の病名(病名の一覧あり、ここでは省略します)で、手術を受けたこと、または2週間以上にわたり医師の治療(診察、検査、指示、指導を含む)投薬を受けたことがありますか
【3】手・足の欠損または機能に障がいがありますか。または、脊髄(脊柱)・視力・聴力・言語・そしゃく機能に障がいがありますか

上記の質問内容に該当しなければ、特に問題はないでしょう。もし、該当する項目がある場合には、現在治療中の病気があれば、その病名、治療開始年月、治療期間などを、服用している薬があればその薬名と服用期間を。また、入院歴があればその病名、手術の有無、入院年月と期間、通院の状況や完治の年月などを記入して告知する必要があります。

ただし、告知の必要があるのは、【1】については最近3ヶ月以内、【2】については過去3年以内の事実に限られています。

がんは、基本的に【2】で告知しなければならない病気に含まれていますが、過去にがんになっていても完治してから3年以上が経過していれば告知する必要はありません。

上でも書きましたが、告知の際には事実を正しく伝えなければなりません。

告知をしたからと言って、即、団信に加入できなくなるわけではなく、あくまで保険会社の審査基準により、加入できるかどうかが判断されるため、なかには定期的に薬を飲んでいる人でも審査に通ったケースもあるようです。

逆に、事実を伝えずに告知事務違反となってしまうと、団信に加入できたとしても保険金が支払われなくなってしまいますので、必ず事実を告知することが大切です。

【フラット35】なら団信に加入しなくてもいい

冒頭でも少し触れましたが、【フラット35】であれば団信に加入しなくても住宅ローンの契約が可能です。

だからといって、団信を利用できないわけではなく、機構団体信用生命保険(機構団信)に任意で加入することができます。機構団信に加入した場合、機構団信特約料を年1回、支払うことになります。

特約料については、機構団信特約料シミュレーションでシミュレーションをすることができますので参考にしてください。

なお、機構団信も民間の住宅ローンの団信と同様に健康告知が必要で、健康状態によっては機構団信に加入できない場合もあります。

参考記事:団信に加入できなかった時の住宅ローン借り入れ術

ガン保障付特約住宅ローンもある

民間住宅ローンの団信や、機構団信の保険料が支払われるのは、住宅ローンの契約者(債務者)が万一死亡した場合や高度障害になった場合ですが、現在では、この保障に加えて三大疾病(ガン、心筋梗塞、脳卒中)のいずれかにかかった場合や、三大疾病に生活習慣病(高血圧性疾患、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変)も加えて、7大疾病を保障する団信もあります。

ただし、保障が厚くなる分、保険料が金利に上乗せされてしまいます。また、機構団信でも三大疾病を保障した商品がありますが、同様に保障が厚くなる分が特約料に上乗せされます。

保障が厚くなるとはいえ、保険料、特約料の負担が大きくなるため、それぞれの保険商品について説明を受ける、約款を読むなどして、どのような場合に保険料支払いの対象となるのかを理解した上で、加入するかどうかを慎重に検討されることをおすすめします。

なお、【フラット35】では、平成29年10月1日申込受付分から制度改正が行われ、機構団信の保障内容が見直されるとともに、団信特約料を別払いする必要がなくなる予定です。詳しくは、【フラット35】のホームページを参照してください。

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この記事の筆者
牧野寿和 ファイナンシャル・プランナー

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP(R)認定者
「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務の他、不動産投資、賃貸経営のアドバイスも行っている。著書に「銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法」(河出書房新社)がある。

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