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低金利の今、全期間固定金利型の住宅ローン【フラット35】が注目を集めています。返済が終わるまで、ずっと金利が変わらないため返済額が変わらず、低金利の恩恵を最大限に受けることができるからです。さらに【フラット35】は単に金利が変わらない住宅ローンというだけでなく、一定の要件を満たせば利用できる金利優遇制度も大きな魅力です。ここでは、その代表格である【フラット35】Sについてご説明します。

住宅ローン【フラット35】Sとはどんな制度?

【フラット35】といえば、全期間固定金利型住宅ローンの代表格と言えます。低金利の今、低い金利が返済完了まで続くというのは大きな魅力ですが、そこからさらに金利優遇を受けることができるのが【フラット35】Sです。

【フラット35】Sは、技術基準に優れた住宅を購入する場合、当初借入期間の5年間、もしくは10年間、金利優遇を受けられるという制度です。【フラット35】の融資を受けるためにも一定の技術基準を満たす必要がありますが、それに加えて、より厳しい技術基準に適合する必要があります。

では、【フラット35】Sでは、どれくらい金利優遇を受けられるのか、その引き下げ幅を見てみましょう。「金利Aプラン」と「金利Bプラン」の2つがあり、金利引き下げ幅と引き下げ期間は次のようになっています。

<【フラット35】Sの金利優遇>

金利プランの名称 金利引き下げ幅
【フラット35】S(金利Aプラン) 平成29年9月30日以前の申し込み受付分:借り入れ当初10年間マイナス0.3%
平成29年10月1日以後の申し込み受付分:借り入れ当初10年間マイナス0.25%
【フラット35】S(金利Bプラン) 平成29年9月30日以前の申し込み受付分:借り入れ当初5年間マイナス0.3%
平成29年10月1日以後の申し込み受付分:借り入れ当初5年間マイナス0.25%

なお、【フラット35】Sは平成30年3月31日までの申し込み受付分に適用されますが、【フラット35】Sには予算金額があるため、予算金額を超えた場合、予定より早く受付が終了します。受付終了日については、終了する約3週間前までに住宅金融支援機構HP【フラット35】( http://www.flat35.com/ )に通知されるので、利用を考えている方は注意してください。

【フラット35】Sの適用要件は?

上述したように、【フラット35】Sの金利優遇を受けるためには、【フラット35】の技術基準を満たすことに加えて、一定の技術基準を満たす必要があります。

具体的には、

(1)省エネルギー性
(2)耐震性
(3)バリアフリー性
(4)耐久性・可変性

の4項目に定められた基準のうち、いずれかひとつでも満たせばよいとされています。

金利プランB(金利優遇期間が5年)の適用を受ける場合には、比較的緩やかな基準となり、金利プランAの適用を受けるためには、より厳しい基準を満たす必要があります。

また、この4項目に関する技術基準は新築住宅・中古住宅共通のものですが、この他に、省エネルギー性とバリアフリー性を軸にした中古住宅特有の基準があり、中古住宅の場合は共通基準にかえて中古住宅特有の基準を選択することができます。なお、詳しくは後述しますが、中古住宅については【フラット35】リノベという優遇制度もあります。

返済額はどのくらい軽減するのか

金利が0.3%優遇されることで、返済額はどの程度変わってくるのでしょうか? 通常の【フラット35】と比較してみましょう。

<借入額:3,000万円(融資率9割以下)、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なし、借入金利年1.10%の場合>

  【フラット35】

【フラット35】S(金利Aプラン)

【フラット35】S(金利Bプラン)

借入金利  全期間1.1% 当初10年間0.80% 11年目以降1.10% 当初5年間0.80%

6年目以降1.10%

毎月返済額 86,091円 81,918円  84,930円  81,918円  85,513円
総返済額  36,157,985円  35,309,202円   35,699,922円 
差額 ▲848,783円 ▲458,063円

参考:住宅金融支援機構HP【フラット35】Sより( http://www.flat35.com/loan/flat35s/index.html

総返済額の差もさることながら、当初の返済額が抑えられるメリットは大きいといえるでしょう。というのも、住宅を購入する世帯は、小さな子どものいる世帯が多いと思われます。そして、子どもが小さいうちは教育費の負担が少ないため、一般的に「教育費の貯め時」と言われています。この時期に住宅ローン金利の優遇が受けられて、返済負担が軽減された分をしっかり貯蓄に回せば、より合理的に教育費が準備できるからです。もちろん、教育費に限らず老後資金や余裕資金として貯蓄しておくのもいいでしょう。

優遇金利の期間に注意

ただし、金利優遇期間が5年間の金利プランBを利用する場合には、注意しておきたいことがあります。

新築住宅を購入した場合、固定資産税の軽減が受けられるのですが、この軽減期間が3〜5年間となっています(原則は3年間ですが、耐火、準耐火、長期優良住宅など一定の基準を満たす住宅の場合は5年間の軽減が受けられます)。つまり、金利の優遇期間が終わり、毎月返済額が上がるタイミングで、毎年の固定資産税も上昇する可能性があるのです。

固定資産税の軽減を受けられるのは、建物部分に限られますが、減免額が2分の1と大きいので、軽減期間が終わった後に生じる家計への負担は大きいはずです。金利優遇、税制優遇は家計にとってうれしいことですが、いつまで優遇が受けられるのかを意識しておきましょう。そうでないと、優遇期間が終わった後は逆に家計の負担感が増すことになってしまうからです。

中古住宅であれば【フラット35】リノベの利用も検討しよう

先ほど、中古住宅の金利優遇制度である【フラット35】リノベについて触れましたが、ここで改めて制度の内容についてご説明しておきましょう。

この制度は、
・中古住宅を購入してリフォームを行う場合
・リフォーム済みの中古住宅を購入する場合
に【フラット35】の金利が優遇されるというものです。

【フラット35】Sと同じく2つのプランがあり、金利Aプランであれば10年間、金利Bタイプであれば5年間にわたって【フラット35】の金利から0.6%が優遇されます。

【フラット35】リノベは、住宅性能を向上させるリフォームが対象になりますが、求められる技術基準については【フラット35】Sとほぼ同じ内容になっています。そのため、中古物件を購入して【フラット35】Sを利用しようと考えている人は、【フラット35】リノベを利用したほうが金利の優遇が大きいです。

なお、【フラット35】リノベを利用するには、技術基準を満たす他に、所定の物件検査を実施するなど、一定の条件があります。詳しくは、住宅金融支援機構HP【フラット35】( http://www.flat35.com/ )で確認してください。

【フラット35】子育て支援型が創設

もうひとつ、【フラット35】の新しい金利優遇制度をご紹介しましょう。それが、【フラット35】子育て支援型です。これを一言で説明すると、若い子育て世帯を対象に、【フラット35】の金利を当初5年間、0.25%引き下げるという制度です。

地方公共団体と住宅金融支援機構が連携し、地方公共団体による財政的支援とあわせて、【フラット35】の金利を引き下げるもので、これを利用するためには居住している地方公共団体が、住宅支援機構と協定を締結していることが必要です。取扱可能な地方公共団体や、利用が可能になる要件については、住宅金融支援機構HP【フラット35】( http://www.flat35.com/ )で確認ができます。

また、【フラット35】子育て支援型は、【フラット35】S、【フラット35】リノベとの併用が可能です。たとえば、【フラット35】Sと併用した場合、当初5年間は金利が0.55%(0.25%+0.3%)引下げられます。また、【フラット35】リノベと併用した場合は、【フラット35】リノベの引き下げ分が適用され、金利引き下げは0.6%となりますが、金利が引下げられる期間が変わります。具体的には、【フラット35】リノベ(Aプラン)と併用した場合には、当初10年間が12年間に、【フラット35】リノベ(Bプラン)と併用した場合には、当初5年間が7年間に延長されます。

若い子育て世帯にとっては非常に恩恵の大きい制度ですので、要件を満たすことのできる場合は、積極的に利用されることをおすすめします。

このように、【フラット35】には、【フラット35】S以外にも複数の優遇制度があります。ただし、適用を受けるためには満たすべき要件があるので、利用を考えている方は早めに確認しておきましょう。

【参考記事】住宅ローン【フラット35】S、【フラット35】リノベの2017年度の継続実施が決定
【参考記事】【フラット35】の新しい金利優遇制度、「子育て支援型」「地域活性化型」が2017年4月よりスタート!

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この記事の筆者
横山晴美 ファイナンシャル・プランナー

ライフプラン応援事務所代表 AFP FP2級技能士 住宅ローンアドバイザー
2013年にFPとして独立。企業に所属せず、中立・公平の立場で活動する。新規購入・リフォーム・二世帯住宅を問わず、家に関することなら購入額から返済計画まで幅広く対応。また、住宅購入は家計・教育費・老後資金・相続など多くの視点が必要なため、ライフプランを見据えた相談を行う。
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