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「隠れ貧乏」とは十分な収入があって、豊かな生活を送っているように見えても、実はローンや生活費の負担が原因で生活が苦しいことをいいます。きちんと返済計画を立てて、金融機関で審査を受けて住宅ローンを借りたのに、その返済で隠れ貧乏になってしまう人がいますが、その原因はどこにあるのでしょうか? ここではその理由と、隠れ貧乏にならないための住宅ローンの借り方についてお伝えします。

「隠れ貧乏」とはどんな状況のことを言うの?

「隠れ貧乏」という言葉をご存知ですか? 隠れ貧乏とは、収入は十分あっても、ローンや日々の浪費が原因で、お金がない状態になっていることです。ですから、住宅ローンで隠れ貧乏になるというのは、住宅ローンを借りてマイホームを購入し、一見幸せそうな生活をしているのに、実は家計は火の車の生活をしている人。またはそのようになりかけている人を言います。

まだ、自分が隠れ貧乏だという自覚のある人は、隠れ貧乏から脱却する対策を打って立ち直ればいいのですが、中には自分が隠れ貧乏だという自覚のない人もいます。知らないままに隠れ貧乏が進行してしまえば、住宅ローンを完済できたとしても、その後に必要な老後資金の確保に苦労したり、最悪の場合には「老後破綻」に陥ったりということになりかねません。

そこで、住宅ローンで隠れ貧乏にならないために大切なことをお伝えいたします。

住宅ローンで隠れ貧乏になる人はどんな人?

では、一体どんな人が隠れ貧乏になるのでしょうか。

住宅ローンの返済計画を立てて返済を始めたものの、住宅ローン以外に必要な費用を予算化していなかったため、家計がまわらなくなり「隠れ貧乏」になる場合です。たとえば、住宅ローン返済中に子どもの教育資金で家計が圧迫される状態や、返済が退職後も続く計画で融資を受けてしまい、年金収入しかなくなった時に家計収支が圧迫されるような状態になる人です。

次に、住宅ローンを完済する返済計画ができてないうちに、住宅を購入して返済を始めてしまった人です。今まで住んでいた賃貸の家賃と同じくらいの返済額だと安易に契約していざ返済を始めたら、住宅関連費として家賃同額以外にも固定資産税などの税金、室内のメンテナンス費用などが積み重なると、まとまった家計の支出となります。この状態が続いて行くと、「隠れ貧乏」になります。

また、しっかりとした返済計画を立てて資産価値のある家を購入したものの、いわゆる高級住宅地に住んでしまったばかりに、ご近所と同じような生活をするために、高級車を購入したり、子どもを小学校から私学に通わせたりと、想定外のご近所付き合いや見栄で思わぬお金がかかり、「隠れ貧乏」になってしまう人もいます。

<「隠れ貧乏」になるケース>
・住宅ローン以外に必要な費用の影響で、家計がまわらなくなる場合
(子どもの教育資金や退職後の年金収入だけでの返済など)

・住宅ローン完済の返済計画がないのに、住宅購入して返済を始めてしまった場合
(固定資産税などの税金、室内のメンテナンス費用など)

・高級住宅地に住んだ影響で、ご近所の生活水準に合わせた生活の場合
(高級車の購入、子どもを小学校から私学に通わせる、想定外のご近所付き合いなど)

無理のない額を借りたはずなのに、なぜ隠れ貧乏になるのか?

住宅ローンの借入額を決めるときに、よく「金融機関が貸してくれる額と、無理なく返済できる額は違う」という話をしますが、最大いくらまで融資を受けることができるかと、いくらまでなら滞りなく返済できるのか、同じ無理のない額を借りても融資額の算定のしかたを誤ると「隠れ貧乏」になってしまいます。

住宅ローンを組もうとする場合、「まず購入物件を決めてから融資額を決める」のか、「毎月無理なく返済して完済できる額を考えてから購入物件を決める」のか、この違いが問題になるのです。

融資額は、融資を受ける人の収入や勤務先それに購入物件などから金融機関が審査をして決まります。融資額は、時として滞りなく返済できる額より多く借りられる場合もあります。ここに「隠れ貧乏」になる要因があるのです。くどいようですが、いくらまでなら融資してくれるのではなく、いくらまでなら滞りなく返済できるか、後者で融資額を決めることが大切です。

参照記事:住宅ローンの適正な返済比率は? “借りられる金額”と“借りていい金額”はどう違う?

隠れ貧乏にならないための住宅ローンの借り方は?

大切なことなので、もう一度申し上げますが、「隠れ貧乏」にならないためには「滞りなく完済できる額」を借りることです。滞りなく完済できる額がいくらなのかは、年収に占める年間返済額の割合である「返済負担率」から算定できます。この返済負担率については、借りる人の年収に応じて、金融機関ごとに20〜40%くらいの幅で上限が決められています。

ここで、【フラット35】を例に返済負担率と返済額について見てみましょう。【フラット35】の返済負担率については、年収400万円未満の場合は30%以下、400万円以上の場合は35%以下と定められています。たとえば、年収450万円の人は、返済負担率が35%以下ですので、年間の返済額が約157万円まで、1カ月あたりの返済額が約13万円までなら借りられるということです。

借入期間35年、固定金利1%として、返済負担率の上限である毎月13万円を返済する場合と、ローン返済以外の支出も考慮して毎月8万円を返済する場合とを比較すると、借入額や返済総額は次の表のようになります。一般的に、年収に対する返済負担率は20〜25%程度に抑えるのが望ましいと言われていますので、毎月8万円の返済であれば、返済負担率は21%程度と適正な範囲に収めることができます。

<35年間固定金利 金利1%の返済額シミュレーション>

借入額 毎月の返済額 毎年の返済額 総返済額 内利息分
4,610万円 130,133円 1,561,596円 54,655,860円 8,555,860円
2,850万円 80,451円 965,412円 33,789,420円 5,289,420円

年収450万円であれば、所得税などの税金や社会保険料を引いた手取りの年収は約380万円となり、1カ月あたり約31万円の現金が手元に残ります。そこから毎月の住宅ローン返済である約13万円を差し引くと、毎月18万円が生活費となります。ここから食費や光熱水費を支払って、子どもの教育費や今後の生活のために蓄えをすると想定してみてください。今後、収入が増加していくと考えれば、机上では返済計画は成り立つかもしれません。ですが、冷静に考えると本当にそれで生活が成り立つのか疑問に感じる人は少なくないように思います。

一方、毎月の返済額を約8万円に抑えた場合、毎月23万円が生活費となり、だいぶ生活に余裕が出ると言えるのではないでしょうか。 住宅を購入するには、物件価格以外にも、購入時の諸経費や年間の税金を含めた維持費、修繕のための積立金といった費用が必要になります。住宅ローンの返済だけを考えるのではなく、物件価格以外に必要な費用を計算し、将来の家計収支をシミュレーションした上で、無理なく返済できる住宅の購入額を決めれば「隠れ貧乏」は防げるはずです。

すでに住宅ローンを借りている場合の対処法は?

すでに住宅ローンを借りている人で、隠れ貧乏になってしまった、もしくは隠れ貧乏になりかけているという場合には、住宅ローンの借り換えや返済額の見直しをすると同時に、家計収支全体の見直しも同時にすることが必要です。

現在は、住宅ローン金利が低い水準にあるので、借り換えをするにはいいタイミングと言えますが、借り換えをするためには事務手数料や抵当権の登記に関係する費用等がかかりますし、融資の審査を受ける必要もあります。かつては、住宅ローン残債が1,000万円以上で返済期間が10年以上残っている場合、また金利の差が1.0%以上ある場合などと言われていましたが、現在のような低金利では、実際に借り換えのシミュレーンをした上で借り換えをするべきかどうか判断する必要があります。

また、入院や介護などで思わぬ支出があり、短期的に返済が厳しくなった場合や、転職などをして収入が減り、しばらくのあいだ返済が苦しくなることがわかった場合には、すぐに融資を受けている金融機関に相談に行くことをおすすめします。早目に相談に行って、返済が苦しいことを伝えれば、元本の返済を猶予してくれるなど金融機関が返済見直しに応じてくれる場合もあります。ただ、猶予をしてもらった分の利息は後に支払わなければなりません。

「隠れ貧乏」にならないためには、滞りなく完済出来る価格の住宅を購入すること。また購入後も無駄な支出をしないなど、家計収支の見直しも定期的に行っていくことも大切です。

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この記事の筆者
牧野寿和 ファイナンシャル・プランナー

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP(R)認定者
「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務の他、不動産投資、賃貸経営のアドバイスも行っている。著書に「銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法」(河出書房新社)がある。

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