この記事は、約4分で読めます

夫婦で住宅購入をする場合、夫か妻のどちらか一人の収入で住宅ローンを借りようとしても、希望の融資額に届かないケースがあります。そんな時には「夫婦で住宅ローンを借りる」ことで、融資可能額を増やすことができます。ここでは、夫婦の収入を合わせて住宅ローンを借りる場合の3つの方法と、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。また、夫婦で住宅ローンを借りる場合の注意点もご説明します。

夫婦で住宅ローンを借り入れするメリットは?

金融機関は、住宅ローンを申し込んだ人の収入をベースに貸出金額を決めています。そのときの指標となるのが「返済比率」です。

返済比率とは“融資を申し込んだ人の年収(税込)に対する年間返済額の割合”のことで、金融機関によって異なりますが、【フラット35】の場合、年収400万円未満の人は30%、400万円以上の人は35%が融資の上限になっています。当然といえば当然ですが、収入の多い人のほうが融資の上限額が大きいのです。

共働きの夫婦の場合、どちらか片方だけでなく、夫婦の収入を基準に住宅ローンを組むことができます。たとえば、夫の年収が500万円で、妻の年収が400万円だった場合、合計900万円を世帯年収として住宅ローンを借りることができます(妻の収入は2分の1までしか合算できない場合もあります。金融機関によって対応が異なるので確認してください)。

このように、借入可能額を大きくできることが夫婦で住宅ローンを組む最大のメリットと言えるでしょう。

「連帯保証」「連帯債務」「ペアローン」の3つの方法がある

夫婦で住宅ローンを借りるには、「連帯保証」「連帯債務」「ペアローン」の3つの方法があります。「連帯保証」「連帯債務」は2 人の収入を合算して借り入れをするもので「収入合算」といいます。

収入合算の場合、上で触れたように金融機関によっては、どちらか一人の収入は2分の1までしか合算できない場合があります。一方、ペアローンは、夫婦それぞれの収入に対して借入可能額が計算されるため借入額を最大にすることができます。

それぞれについて見ていきましょう。

<夫婦で住宅ローンを組む3つの方法の違い(夫がメインの債務者となる場合)>

  連帯債務者 連帯保証 ペアローン
契約上の立場

夫:主たる債務者
妻:連帯債務者

夫:債務者
妻:連帯保証人

夫:債務者
妻:債務者

住宅ローン控除 夫・妻ともに受けられる 夫だけ受けられる 夫・妻ともに受けられる
団体信用生命保険 【フラット35】では夫・妻ともに加入できるが、それ以外は夫のみ加入 夫のみ加入できる 夫・妻ともに加入できる

二人で1本のローンを組む「連帯債務」

連帯債務とは、ひとつの物件に対して、夫婦二人で1本のローンを組む方法です。夫の収入と妻の収入を合計した金額で審査を受け、融資額が決められます。

住宅ローンというひとつの債務に対して、一人が主たる債務者として、もう一人が連帯竿武者として借り入れした全額に対して返済義務を負うことになります。たとえば、夫が主たる債務者で3,000万円の借り入れをした場合、妻も連帯債務者として3,000万円の返済義務を負うのです。

連帯債務者での借り入れができる住宅ローンの代表は、【フラット35】です。民間金融機関でも一部取り扱いがありますが、その数はごく少数に限られてしまいます。

「連帯債務」のメリット:住宅ローン控除が受けられる

【メリット】

連帯債務のメリットとしては、「夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられること」があげられます。連帯債務の場合、夫婦それぞれの持分を設定しますが、たとえば3,000万円のうち夫の持分が2,000万円であれば夫は2,000万円に対して、妻は1,000万円に対して住宅ローン控除を受けることになります。住宅ローンの負担を少しでも減らすことを考えれば、これは大きなメリットと言えるでしょう。

【デメリット】

団信については、【フラット35】と民間金融機関では扱いが違います。【フラット35】は、夫婦共に団信に加入できますが、民間金融機関の場合、団信は主たる債務者(この場合は夫)にしか適用されないというデメリットがあります。仮に連帯債務者である妻が亡くなった場合、妻の持分のローンは免除されず、夫がすべての債務を引き継ぐことになります。

ですから、連帯債務で住宅ローン借り入れをするのであれば、【フラット35】がおすすめと言えるでしょう。【フラット35】では、団信に夫婦で加入した場合、特約料が1.56倍に抑えられる割引制度「デュエット」を利用することが可能です。詳しくは、住宅金融支援機構のサイトなどで確認してみてください。

民間金融機関での連帯債務の取り扱いが非常に少ないこともデメリットに感じるかもしれませんが、低金利時代の現在は、長期の固定金利で借りられる【フラット35】は非常に有利な住宅ローンと言えるので、【フラット35】以外の選択肢が少ないことはほとんど問題にならないと思われます。

なお、前述の通り、民間金融機関を利用する場合には、連帯債務者は団信に加入できないため、別途、生命保険に加入することをおすすめします。

一人が債務者になる「連帯保証」

連帯保証とは、夫婦のどちらか(たとえば夫)がローン契約をして債務者となり、もう一方(たとえば妻)が連帯保証人になる方法です。夫婦の収入を合計して融資を受けることができますが、返済は債務者となったどちらか片方が行います。

仮に、ローン契約をして債務者となったのが夫であれば、夫が返済を行い、連帯保証人である妻は、夫の返済が滞った時だけ返済の義務を負う形になります。ただし、妻(連帯保証人)は、住宅ローン控除を受けることはできませんし、団体信用生命保険(団信)に加入することもできません。

「連帯保証」のメリット:妻の収入を合算して融資を受けられる

【メリットとデメリット】

妻が借り入れをしなくても借入額を増やせることはメリットと言えますが、妻が住宅ローン控除を受けることができないのは大きなデメリットでしょう。

返済が滞らない限り、妻に返済義務はありませんが、妻の収入を合算して融資を受けているわけですから、実質的には妻の収入からも返済を行っていることでしょう。それにもかかわらず、妻が住宅ローン控除を受けられないことは、2人分の控除を受けられる「連帯債務」と比べると大きなマイナスと言えます。

夫の死亡時には団信によって借入残高はゼロになるので、妻はローンを返済する必要はありません。しかし、妻が死亡した場合には、妻の収入で返済していた分も夫が1人で払い続けなければならなくなります。そのため、妻も別途、生命保険への加入を検討することをおすすめします。

連帯保証人は、債務者の返済が滞った場合に返済の責任を負うだけで、住宅ローン控除も団信も利用できません。できれば、連帯債務もしくは、次にご説明するペアローンを利用できる金融機関を選択されることをおすすめします。

夫・妻それぞれが借り入れをする「ペアローン」

ひとつの家に対して、2本のローンを組む方法がペアローンです。夫と妻がそれぞれ借り入れをして、返済も別々に行います。

夫婦それぞれがローンを組むので、住宅ローン控除はそれぞれの借入れ金額に応じて、別々に受けることができます。また、団信についてもそれぞれ加入することができます。

なお、ペアローンを申し込むには、原則として同居していることが必要ですが、どちらかが単身赴任の場合でも利用が可能です。

「ペアローン」のメリット:借入額を最大限にでき、夫婦で団信の加入も可能

【メリット】

ペアローンでは連帯債務と違い、それぞれの収入に対して融資可能額が計算されます。そのため、借入額を最大限にできることがメリットです。また、夫婦共に住宅ローン控除の恩恵を受けられるほか、夫婦とも団信に加入することができるため、夫もしくは妻が死亡した場合には、亡くなった人が組んでいたローンの返済義務がなくなります。

【デメリット】

デメリットとしては、2本のローンを組むので事務手数料などの諸費用が2本分かかってくることがあげられます。ただ、住宅ローン控除も2人分受けられるので、諸費用についてはそれほど大きな問題にはならないと言えるのではないでしょうか。

ただし、夫婦のうちのどちらかが何らかの事情で離職した場合は要注意です。1人の収入で2本のローン返済を続けていかなければなりませんし、肩代わりしたローン返済に贈与税がかかってくることも考えられますので、この点については、融資を受ける前に十分に認識しておいてください。

夫婦で住宅ローンを組む場合の注意点は?

夫婦の収入を合わせて住宅ローンを組むことで、1人で借りるよりも融資を受ける額を無理なく増やすことができます。

ただし、ペアローンのところでもご説明したように、どちらかが離職したり、収入が大きく減ったりした場合には、当然、ローン返済は苦しくなります。そうしたリスクも十分に検討した上で、借入額決めるようにしてください。

また、住宅の持分についても注意が必要です。2人の収入で住宅を購入するわけですから、それぞれの持ち分を適正に決めておかなければなりません。具体的には、お金を出した割合に合わせて、住宅の所有権の割合を決めて登記する必要があるのです。

一般的に、夫婦間のお金については、同一家計であることもあり、税務署は比較的ゆるく見ているようです。とはいえ、夫婦であっても、持ち分が適正ではないと判断された場合には、贈与税の課税対象となってしまいます。このことは十分に認識しておいていただきたいところです。

最新金利での住宅ローンシミュレーション【無料】はこちら>>

関連記事

住宅ローン情報

住宅ローンをご検討中の方

この記事の筆者
小島淳一 ファイナンシャル・プランナー

日本FP協会AFP(R)認定者、相続診断士
住宅相談全般(購入・リフォーム・ローン)の他、保険や相続、老後・教育資金形成、資産運用のコンサルティングを手掛ける。各種セミナー講師としても活躍中。

おすすめ記事