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Q.資産を運用して老後の準備をしたいと考えています。株式の運用を考えていますが、個人でも老後の資金を形成することはできるのでしょうか?(30代/女性/会社員)

まずは老後資金の目標額を決める

個人でも老後の資金を形成することはできます。まずは目標額を決めて、計画的に形成をしていただきたく思います。

まだ先の老後の準備といえ、「何歳までにいくら貯めるか」を目標として決めることが大切です。ただ、貯蓄をすることで現在の生活が成り立たなくなってもいけませんので、まずは、今の家計収支も参考にしながら、現在またはこれから入ってくるお金で運用できる金額を決めて行きましょう。

一般的に、夫婦ふたりで老後の生活をするためには、退職時に“退職金を含めて3,000万円は必要”だと言われています。実際、下記の条件で試算すると、老後に必要な資金は約3,000万円という結果になります。

・毎月の生活費は28万円
・60歳の時に1,000万円の退職金をもらって退職
・60歳から65歳までは公的年金の支給はなく無収入
・65歳以降は夫婦で月19万円の年金で85歳まで生活する

したがって、目標の3,000万円から退職金の1,000万円を引いた2,000万円は現役中に貯めておくことが必要だと仮定もしているのです。

<収入>

貯蓄(60歳時) 退職金(60歳時) 年金(65~85歳) 収入の合計
2,000万円 1,000万円 5,700万円 8,700万円

<支出の合計>
28万円(生活費)×25年間(60歳~85歳)×12カ月=8,400万円

ただし、これはあくまでもモデルケースですから、実際に目標とすべき貯蓄額は、自分の老後に必要な金額です。

もし、60歳で退職して生活費を月20万円とすると、60歳から85歳までの支出は、20万円×25年×12カ月=6,000万円となります。

上の収入の表をご覧いただければわかると思いますが、そこから「退職金」と「年金」の額を差し引いた額が「貯蓄」の目標額となります。なお、公的年金の受給額については、日本年金機構のサイト【http://www.nenkin.go.jp/n_net/index.html】で確認できます。

この目標額が、とても貯蓄できる額でないのであれば、今から生活の水準を変えるとか、場合によっては転職などの対策を打つことが必要です。

この機会に現在の家計支出に無駄がないか、加入中の保険の毎月の保険料などの点検や必要があれば改善もしておきましょう。

資産運用を継続的にするために

目標額が決まったら、運用を始めましょう。
まず、運用に回す資金を継続的に確保しなければなりません。そのためには、給料天引きとか給与振込の口座から自動振替をするとか、簡単にそのお金が使えないように工夫をしておくことが大切です。

運用商品を選ぶ

資産を形成するには、金融商品を利用することが一般的です。その商品には、運用期間中に元本が減らないことや、支払時に元本が満額支払われることを保証している元本保証の商品と、元本保証のない商品があります。

運用を始める前に、その商品の特色を十分研究することが大切です。また株式投資や債券投資は、投資をする会社の業種や成長性などを見極めて投資をすることも重要です。

元本保証の金融商品:金利は低いが利益は確定している
・銀行の定期預貯金
・貯蓄型の生命保険(個人年金保険、終身保険、養老保険など)の一部
・個人向け国債
・日本の利付国債 など
※国債は元本保証ではありませんが、日本の国が崩壊しない限り保証されますので、元本保証に分類します。
元本保証のない金融商品:運用次第で利益が変動し元本割れもある
・株式投資
・債券投資
・投資信託
・外貨預貯金
・変額保険 など

運用をするのに大切なこと

毎月2万円ずつ30年間、元本が保証されている金利0.01%の定期預金と元本が保証されていない投資信託の商品で、利回り1%、3%、5%税金や手数料は考えない運用をした場合のシミュレーションをしてみました。

商品 金利・利回り 総受取額 うち利息分
定期預金 0.01% 721万円 1万円
投資信託A 1% 839万円 119万円
投資信託B 3% 1,160万円 440万円
投資信託C 5% 1,637万円 917万円

定期預金は、利息はないに等しいのですがお金は貯まります。一方、投資信託の場合、株価や債券価格が上下したり、2008年のリーマンショックのように突然暴落したりといった紆余曲折を経て30年間運用した平均の運用成果を仮定したのが上記の表の数値です。

長期に運用を続ければ一定の運用の成果が上がることは、多くの金融商品で実証はされてはいますが、すべての金融商品が運用実績を上げているわけではないのです。

もし、投資信託の商品で運用をするなら、その運用途中で基準価格(投資信託の値段)が下がりかけた時、その商品をそのまま運用を続けて行った方がよいか、それとも売った方がよいか、その見極めが自分で出来ればいいのですが、困難な場合は元本保証のない商品には早々に手を出さない方が無難です。

時を経て、商品内容を理解できる商品が増えれば、複数の金融商品に分散して運用することで、元本割れのリスクを分散する効果のある運用もできるでしょう。

しかし、そこまでの手の込んだ運用を望まないのであれば、定期預貯金で確実に資金を増やし、ある程度お金がまとまったころで、定期預貯金より利益率の良い、一払いの保険商品などにでも運用商品を変えていくのも一つの手です。

老後の準備をするために、ご自身にとって心理的にも負担にならない相性の良い、金融商品を見つけて資産を形成していくことが大切です。

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この記事の筆者
牧野寿和 ファイナンシャル・プランナー

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP(R)認定者
「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務の他、不動産投資、賃貸経営のアドバイスも行っている。著書に「銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法」(河出書房新社)がある。

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