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住宅ローンは20年、30年と長い時間をかけて返済するため、その間には金利も家計も大きく変化します。お子さんの教育費がかかる時期に収入が上がらない、事故や病気で収入が下がった、など当初は予想していなかった出来事も起こることもあります。 また、現在のように低金利が続くと、自分が借りている住宅ローンの金利と、これから新規で借り入れする人の住宅ローン金利とのギャップに驚き、不満を持つ人も多いのではないでしょうか? 「現在の住宅ローンに不満を持っているがどうしたらいいのかわからない」という方のために、不満を解決する住宅ローン見直し術についてお話ししたいと思います。

住宅ローンを見直す方法は大きく3つ

住宅ローンを見直す方法は、「借り換え」「繰り上げ返済」「金利プランの変更」の3つです。それぞれの見直し方法についてまとめておきましょう。

1.「借り換え」による見直し

“現在借りている金利よりも低い金利の住宅ローンに借り換えをする”方法と、“今後の安心のために、低金利の今のうちに変動金利から固定金利に借り換える”方法が考えられます。

特に当初の固定金利期間が終了して優遇幅が小さくなり、金利が上がるタイミングや、【フラット35】Sの当初金利優遇が終了するタイミングなどは見直し時です。

また、借入期間20年以下になると【フラット35】の金利は21年以上と比べて低くなります。【フラット35】から【フラット35】への借り換えも可能ですので検討してみましょう。

借り換え後の金利を選ぶポイントは、“今後10年間で教育費の負担が終わる”なら「当初10年固定金利型」に、“子どもが小さく今後20年はローンの返済額を固定したい”なら「当初20年固定金利型」や「全期間固定金利型」など、長期の固定金利に借り換えるのも一つの方法です。

低金利が続いているうちに安心して返していける金利を選ぶことがポイントです。

また、民間の金融機関の場合、「団体信用生命保険」への加入が必須です。大きな病気をすると、借り換えをしようと思っても健康状態によっては借り換えできなくなります。安定した収入があり健康な時にしっかりと借り換えをしておきましょう。

2.「繰り上げ返済」による見直し

家計費や教育費を貯めても余力があれば、繰り上げ返済も住宅ローンの総返済額を減らす有効な手段です。教育費がかかり家計が厳しいときは返済額を減額する「返済額軽減型」、利息を大きく減らしたければ返済額は変わらなくても返済期間を縮める「期間短縮型」を選びます。
“住宅ローンの残高が多い”“金利が高い”“残年数も多い”場合に大きな効果があります。

3.「金利プランの変更」による見直し

「変動金利」から「固定金利」に、「固定金利」から「変動金利」にプランを変更します。

「変動金利」から「固定金利」に変更することはいつでもできますが、「固定金利」から「変動金利」への変更は、固定金利期間終了時にしか行えない金融機関も多くあります。高い固定金利で固めてしまわないように低金利のうちにプランの変更を行うことが大切です。

総返済額で「借り換え」効果を見える化しよう

住宅ローンの3つの見直しの方法をお伝えしましたが、ここでは「当初10年固定金利型」の固定期間終了時に、「全期間固定金利型」で借入期間20年以下だと金利が一段と下がる【フラット20】に借り換えた場合の効果を見てみましょう。

なお、【フラット20】の借入期間15年以上20年以下となっています。

【借り換え前のローンの条件】
・当初借入金額3,000万円、返済期間30年、当初10年固定金利2.0%、現在残高2,192万円、残返済期間20年、元利均等返済、ボーナス払いなし、11年目から変動金利2.075%
【借り換え後のローンの条件】
・借り換え額2,192万円、返済期間20年、【フラット20】全期間年利0.99%、元利均等返済、ボーナス払いなし

 

 
借り換え前
借り換え後
効果
残高
2,192万円
2,192万円
毎月返済額
11万1,666円
10万711円
1万955円
返済期間
30年
20年
- 
年利
2.075%
0.99%
- 
今後20年間の総返済額
2,680万679円
2,417万526円
- 
借り換え諸費用
- 
101万3,700円(※)
- 
諸費用を入れた総返済額の効果
2,680万679円
2,518万4,266円
161万6,453円

※融資手数料・機構団信特約保険料など。うち当初費用26万1,400円

借り換えのメリットは、金利だけではなく融資手数料や団信保険料、保証料などの諸費用を含めた総返済額を比べることがポイントです。上の例では、ローン残高2,192万円、残返済期間20年、金利差1.085%で約162万円の効果が出ました。

「全期間固定金利型」の場合、完済までの総返済額は確定しますが、「変動金利型」や「当初固定金利型」は金利上昇という不確実性があります。金利上昇の条件を借り換え前と借り換え後で同条件にして比べてみてください。

「繰り上げ返済」や「金利プランの変更」の効果は?

借り換えができれば、諸費用がかかっても大きくメリットが出る場合があることがわかりました。しかし、誰もが借り換えできるわけではありません。

例えば、住宅購入時には妻も正社員で働いていてペアローンを組んだのに、出産後に専業主婦となった場合、正社員以外の働き方をしている場合、転職等で収入が下がった場合、病気をして団体信用生命保険に加入できない場合などでは、借り換えができないケースがあります。

繰り上げ返済の効果

このような時、もししばらく使う予定がない預貯金があれば「繰り上げ返済」をしましょう。現在は【フラット35】を含めほとんどの金融機関でネットを使えば手数料無料で繰り上げ返済ができます。

「期間短縮型」と「返済額軽減型」の繰り上げ返済の効果を比べてみました。

【借り入れ中のローンの条件】
・当初借入金額3,000万円、返済期間30年、当初10年固定金利2.0%、現在残高2,192万円、残返済期間20年、元利均等返済、ボーナス払いなし、11年目から変動金利2.075%
【繰り上げ返済の条件】
・10年目に100万円を期間短縮型で繰り上げ返済をした場合
・10年目に100万円を返済額軽減型で繰り上げ返済をした場合

 

 
繰上返済なし
期間短縮型
返済額軽減型
11年目以降毎月返済額
11万1,666円
11万1,666円
10万6,571円
11年目以降年間返済額
133万9,992円
133万9,992円
127万8,852円
繰り上げ返済額
97万6,318円
100万円
返済期間
30年
28年11か月
30年
完済までの総返済額
4,010万5,992円
3,962万1,730円
3,988万3,348円
利息の軽減効果
48万4,262円
22万2,644円
返済年数の短縮
1年1ヵ月

上の表より、借り入れから10年後に約100万円の繰り上げ返済を行うと、期間短縮型で約48万円、返済額軽減型で約22万円の利息が減ります。

繰り上げ返済は、借り入れ後の残高も多く、残返済期間も早い時期ほど、毎月の返済額に対して利息の返済割合が高いので利息の軽減効果が高くなります。

手数料が無料であれば、教育費や生活費をしっかりと確保したうえでゆとりがあれば、100万円未満の額でも、こまめに繰り上げ返済するのと効果的です。

「金利プランの変更」の効果

金利プランの変更については、同じ金融機関内で「変動金利」から「固定金利」に変更すると、借り換えの時のように金利の優遇幅が大きくなく、結果的に高い金利で固めてしまう可能性もあります。

“固定金利期間中に変動金利に変更することができない”または“手数料がかかる”場合もありますので、金利タイプの変更は慎重に行う必要があります。

固定金利期間終了時や変動金利で借りている間は、金利の状況にアンテナを張り、「借り換え」や「繰り上げ返済」と比べながら、自分に合った金利タイプを選びましょう。

まとめ

以上、住宅ローンの見直しについて「借り換え」「繰り上げ返済」「金利タイプの見直し」の3つについて考えてみました。

住宅ローンは早く、少なく返すことだけが目的ではなく、「家族が幸せに暮らしながら完済すること」が目的です。子どもの教育費や家族で楽しむためのお金はしっかりと確保したうえで、計画的で効率的な返済計画を立てていきましょう。

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この記事の筆者
有田美津子 ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー、相続診断士
銀行での住宅ローン相談、住宅販売、損保会社を経て独立。現在は人生と仕事の実務経験を活かし、子育て世代の住宅購入とシニア世代の住替え相談を行う。ライフプランに沿った資金計画から物件の引き渡しまで一貫したサポートが好評。共著・監修に「トクする住宅ローンはこう借りる」(自由国民社)。

50代からの住まい専門FP

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