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住宅ローンの「審査」に落ちた場合、その理由は金融機関からは明かされず、とまどう方も多いようです。今回は住宅ローンの審査項目などを確認し、審査に落ちる要因やそれを解消する方法を考えてみましょう。

住宅ローンを安心して貸せるのは、どんな人?

 住宅ローンの審査基準や項目について具体的に考える前に、金融機関が「住宅ローンを安心して貸せる人」がどんな人かを考えてみましょう。お金を貸す立場から考えれば、大切なのは「貸したお金に利息をつけて、きちんとと返してもらうこと」。

つまり、「住宅ローンを安心して貸せる人」は、次のような人です。

 ・完済まできちんと返済が続けられる人
 ・万一(病気やけが、死亡、失業等)のことがあっても、ローンが回収できそうな人

こういう「安心して貸せる人」かどうかを判断するために、さまざまな項目から審査されるわけです。続いて、審査項目について確認してみましょう。

住宅ローン審査の項目

 国土交通省は、民間金融機関に対して住宅ローンの実態に関する調査を行っており、どんな点を審査項目としているかについてもアンケートをとっています(下記表1)。

「きちんと返済を続けられるか」を判断するための項目と考えられるのは、「勤続年数」「年収」「雇用形態」「返済負担率」「カードローンなどのほかの債務の状況や返済履歴」など。

返済を続けるには、一定以上の継続した安定収入が得られることが必要だと考えられるので、転職したばかりだったり、派遣社員や自営業だったりして収入が不安定だと判断されると、ローン商品によっては審査に通らないこともあるわけです。

また、返済額が大きすぎて家計を圧迫するようでは返済を続けられないので、返済負担率※もチェックされます。その他のローンなどの借り入れ状況や返済履歴も、無理なく返済が続けられるかの判断の資料にされます。

  • ※返済負担率:年収に対する1年間の債務返済金額の割合。

「万一のときにローンを回収できるか」を判断するために確認される項目は、「健康状態」「担保評価」「融資可能額(融資率)」「連帯保証」などの項目です。

ほとんどの民間金融機関の住宅ローンは、契約者が死亡した場合にもローンが回収できるように、団体信用生命保険(団信)への加入が必須とされています。健康状態が悪く団信に加入できない場合には融資が受けられません。

また、万一、失業等で収入がなくなり返済が滞った場合には、金融機関は担保物件を任意売却したり競売にかけたりしてローンを回収するので、担保となる不動産の価値についても確認されます。

<表1:融資を行う際に考慮する項目>

完済時年齢
99.3%
健康状態
98.4%
担保評価
97.8%
借入時年齢
97.5%
勤続年数
96.4%
年収
95.6%
連帯保証
92.6%
金融機関の営業エリア
92.4%
融資可能額(融資率)①購入の場合
90.7%
融資可能額(融資率)①借り換えの場合
88.4%
返済負担率
87.4%
カードローン等の他の債務の状況や返済履歴
77.5%
雇用形態
77.1%
所有資産
68.0%
国籍
64.9%
申込人との取り引き状況
59.5%
業種
38.4%
雇用先の規模
30.1%
家族構成
29.9%
性別
21.1%
その他
6.6%

平成27年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書(国土交通省住宅局)より

http://www.mlit.go.jp/common/001122119.pdf

審査通過のために、前もってできること

審査に落ちる原因として、思い当たる審査項目はありますか? 住宅ローンを申し込む前に、不安要素はなるべく改善しておきましょう。

・我が家に無理のない「返済負担率」に

返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)の対象となる「返済額」には、これから借りる住宅ローンの借入額だけでなく、利用中のカードローンなど返済額も含めて考えます。

したがって、現在利用中のローンの返済額が大きければ、返済負担率が高くなり、住宅ローンの審査を通らない場合もあります。できればローン申し込み前に、現在利用中のローンは完済しておきましょう。

なお、金融機関の返済負担率の基準(30%~45%程度)を満たしていても、家庭によって無理のない返済負担率であるとは限りません。

年収1,000万円の3人家族なら返済負担率40%でも返済が続けられるかもしれませんが、年収300万円の5人家族なら返済負担率25%でも家計は苦しいかもしれません。

金融機関の基準を満たし、かつ、我が家の家計に無理のない返済負担率に収まるように、借入額や毎月の返済額、返済期間を考えましょう。

・カードローン等の利用歴も確認を

審査の際には、金融機関は個人信用情報機関に照会して、ローン申込者の借り入れや返済の状況などを確認します。審査を通らなかった原因がほかに思い当たらないなら、信用情報機関で「本人開示」の手続きをして(手数料1,000円)、登録内容を確かめてみたほうがいいかもしれません。

登録されている延滞の記録などが審査を通らない原因だと考えられるなら、再度のローン申し込みは、登録期間が過ぎてからのほうがよいかもしれません。

個人信用情報機関には、「全国銀行個人信用情報センター」「株式会社シー・アイ・シー」「株式会社日本信用情報機構」があります。

<表2:全国銀行信用情報センターに登録されているおもな個人情報と登録期間>

登録情報
登録期間
本人情報
氏名、生年月日、性別、住所(本人への郵便不着の有無等を含む)、電話番号、勤務先等
下記の情報のいずれかが登録されている期間
取引情報
ローンやクレジットカード等の借入金額、借入日、最終返済日等の契約の内容およびその返済状況(延滞、代位弁済、強制回収手続、解約、完済等の事実を含む)
契約期間中および契約終了日(完済していない場合は完済日)から5年を超えない期間
照会記録情報
センターの会員(金融機関等)がセンターを利用した日およびローンやクレジットカード等の契約またはその申込みの内容等
当該利用日から1年を超えない期間
不渡情報
1回目不渡りは不渡発生日から6か月を超えない期間、取引停止処分は取引停止処分日から5年を超えない期間
官報情報
破産手続開始決定等を受けた日から10年を超えない期間

・健康状態(団体信用生命保険)

団体信用生命保険に加入できなかった場合には、3つの対処方法が考えられます。

まず、現在の健康状態は問題ないが、過去に治療歴がある場合。その場合は、住宅購入・ローン借り入れを延期すれば、団体信用生命保険に加入でき、審査に通るかもしれません。団体信用生命保険の告知書で問われるのは、過去3ヶ月以内の治療歴や、過去3年以内の特定の疾病に関する治療歴などで、質問されていない治療歴などは記載する必要がないからです。

 治療継続中の病気のために団信加入ができなかったと考えられる場合は、借入利率が割り増しになりますが、引受基準の緩和された「ワイド団信」の利用できる住宅ローンも検討してみましょう。

 あるいは、【フラット35】などの、団体信用生命保険加入が必須ではない住宅ローンの利用も考えられます。ただし、契約者に万一のことがあった場合の対処方法(生命保険の死亡保険金を充てる、親族がローンを引き継ぐ、いざとなったら住宅を売却しても構わない等)を考えておく必要があります。

審査項目には、「改善」することができないもの、難しいものもあります。そんな場合は、ご自分の状況に合う住宅ローンを改めて探してみることも必要でしょう。住宅ローンの審査基準は、金融機関ごとに、ローン商品ごとに異なります。審査される点を改善することも大切ですが、自分の状況に合う条件の住宅ローンを選ぶことも、審査に通るポイントです。

また、審査に通り、住宅ローンを利用できても、無理なく返済が続けられるかは別問題です。審査だけでなく、今後のライフプランや家計についても考えた上で、住宅ローン申し込みに臨んでください。

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この記事の筆者
大林香世 ファイナンシャル・プランナー

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会CFP(R)認定者

ライフプランから見て無理のない住宅購入計画やローンプラン、保険や相続、資産運用などの相談支援業務を行っている。各種セミナー講師、新聞・Webサイト等へのコラム執筆でも活動中。

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